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心ときめく作品に出会える、瀬戸内の美術館めぐり

俳句に親しめ、学術研究の場にもなる一大俳諧コレクション 柿衞文庫

酒造りで栄えた江戸時代の伊丹では俳諧文化が華開き、多くの文人墨客が往来しました。
その地にある柿衞文庫は、俳書を中心とする書籍、軸物、俳人の直筆短冊など約一万千五百点を所蔵し、中世から近現代まで500年にわたる俳諧史の流れを体系的にたどることができます。これらは創始者の岡田柿衞が学術研究の一環として収集したものが軸になっています。
特別展、小企画展など年6回の展示替えが行われ、多彩なテーマで俳諧文化を紹介。郷土の俳人鬼貫(おにつら)や蕪村、一茶、正岡子規など誰もが知っている俳人の作品も多く、芭蕉の「古池や蛙飛び込む水の音」の原本はここにあり、目の前にすると感動します。すべて直筆ですから字体のクセを読み取って人となりを想像するのが楽しく、同じ俳人でも時代によって変化する字体が見られます。俳画も楽しめ、絵の大家で知られる蕪村の俳画は見事です。

DATA

住所/兵庫県伊丹市宮ノ前2-5-20
TEL/072-782-0244
開館時間/10:00~18:00(最終入館時間17:30)
休館日/月曜日(祝日の場合は翌日)、12/29~1/3、展示替え期間中
料金/小企画展 一般200円、大学・高校生100円、小・中学生50円※特別展、企画展は異なります。

MAP

イベント情報

■春季特別展「碧梧桐 へきごとう HEKIGOTOU」

期間/4月8日(土)~5月28日(日)
河東碧梧桐は、正岡子規に師事し、子規没後は高浜虚子とともに俳壇を担い、独創的な俳句で引退するまで活躍しました。その一生に迫る展覧会で、人生の節目で変化する俳句と書や、学生時代に虚子へあてた書簡など初公開資料が展示されます。

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村上三島を中心に膨大な書が集結、書の奥深さに触れる 村上三島記念館

文化勲章を受章した日本を代表する書道家・村上三島が生まれたのは瀬戸内海に浮かぶ大三島の上浦町。その高台に立つ村上三島記念館は、三島作品を中心に、同時代に活躍した著名な書道家の作品や書道用具を収蔵・展示する書の殿堂です。収蔵作品点数は約四千点と膨大で、三つある展示室のいちばん奥の大きな展示室は、三島の長条幅の長い作品に合わせて作られており、天井が高く、周囲も約百メートル近くあり全体を見通すことができ圧巻です。今開催中の展覧会では、著名な書道家の作品が並び、それぞれに得意とする書体や個性があり、自分の好みを探すのも楽しみのひとつです。
第一展示室には大阪府高槻市にあった三島のアトリエが移設され、創作時の雰囲気がうかがえます。三島が集めた中国の明・清代の古墨・硯も必見です。中国でもお目にかかれない貴重なものばかりで、美しい装飾や模様、形にため息が出ます。

DATA

住所/愛媛県今治市上浦町井口7505
TEL/0897-87-4288 開館時間/9:00~17:00
休館日/月曜日(祝日の場合は翌日)、12/29~1/2 、展示替え期間中
料金/一般500円、学生250円、高校生以下または18歳未満は無料

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イベント情報

■開館35周年記念「昭和書壇名家書展」

期間/2016年9月3日(土)~2017年6月25日(日)
1982年4月の開館にあわせ、村上三島の呼びかけで日本を代表する書道家135名から出品、寄贈を受けて「現代日本名家書展」を開催しました。当時はスペースがなく3期に分けての展示でしたが、開館35周年を記念し、それらの作品を一堂に展示します。

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せとうち美術館ネットワークとは

瀬戸内の美術館が相互にネットワークを形成して、地域全体としてのアートの魅力を発信する組織が「せとうち美術館ネットワーク」です。今回紹介した2つの美術館を含め、魅力ある64の美術館・博物館が参加しています。ネットワークでは「子どものアート感想文」募集などを通じて、教育普及活動にも力を尽くしています。
HP/http://www.jb-honshi.co.jp/museum/

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