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心ときめく作品に出会える、瀬戸内の美術館めぐり

オリエント世界をのぞく小窓として美術品や風土を体感 岡山市立オリエント美術館

建物に入った瞬間、異国に来たような感覚になる。オリエントについて少し勉強してから来館するとより面白い。

世界で初めて農耕・牧畜を行い、人類最古の文明を築いたオリエント。現在の西アジア、エジプト地域を指し、高度な文化はやがて北アフリカ、ヨーロッパ、アジアへ伝わっていきました。岡山市立オリエント美術館は、西アジア、エジプトなどの考古美術品約5000点を所蔵し、オリエントの歴史と文化を理解できる公立として国内唯一の専門美術館です。
希少なのは「有翼鷲頭精霊像浮彫(ゆうよくしゅうとうせいれいぞううきぼり)」。世界で初めて古代オリエントを統一したアッシリア帝国の宮殿内壁を飾っていたレリーフで、これに隣接するものが大英博物館などにわずかに存在するのみです。教会などの床を飾っていたモザイクや、シリアのパルミラ遺跡から出土したとされる彫刻もあり、それらを現地の風土を体感しながら見られるのがこの美術館の素晴らしいところです。薄暗い石造りの建物の中で、中央ホールの天窓や壁から自然光が差し込み、刻一刻移ろう光で空間や美術品の見え方が変化します。まるで現地に佇んでいるようで、異国に思いをはせ、普段感じられない世界をのぞける場所です。

DATA

住所/岡山市北区天神町9-31
TEL/086-232-3636
開館時間/9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日/月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始、展示替え期間
料金/一般300円、高校生・大学生200円、小学生・中学生100円
※特別展は別料金です。

MAP

イベント情報

■別展「和ガラスの美を求めて-瓶泥舎コレクション-」

2017.9.16sat~11.5sun
4千年ほど前、古代オリエントのメソポタミアで作り出されたガラス。日本にも弥生時代に伝わりましたが、独自のガラス文化が発展するのは17世紀前半になってからです。和ガラスの特徴は、ガラス原料を型吹きや宙吹きにするもので、多様な生活道具がつくられました。現在では見られなくなった粋な和ガラス製品を紹介します。

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岡山の歴史と魅力がわかる、駅近ミュージアム 岡山シティミュージアム

航空写真で気になる場所をチェック。情報検索マシンでは拡大縮小ができ、お宝マークのある画面では情報も手に入る。16面マルチ大画面に流れる取材情報も見ごたえたっぷり。

岡山駅からすぐのところにある岡山シティミュージアムは、岡山についてさまざまな角度から知ることのできるスポット。歴史、文化だけでなく、自然や、匠の技、踊り、建物などなくなりつつある”今“を残し、未来に伝える展示が行われています。
展示室に入って最初に目に入るのが、江戸時代から昭和まで街の人々に時を告げてきた5分の1サイズの「鐘撞堂(かねつきどう)」。文化財修復を手がける宮大工や瓦職人などが集結してつくったもので、現代の匠の技を見ることができます。岡山城や祭りのみどころについて紹介した映像や、桃太郎伝説を紹介したコーナーも興味津々。岡山情報宝庫と名付けられたスペースには岡山市の航空写真が床一面に貼ってあり、情報検索マシンを操作して知りたい情報を得ることができます。
特別展も魅力で、体験型のものやアニメ、海外作品などジャンルにこだわらない展示が行われ、家族で楽しむことができます。

中東の香り漂うアラビックコーヒーで一息

オリエント美術館をゆっくり巡った後は、2階にある喫茶室イブリクでアラビックコーヒーはいかが。アラブではもてなしに欠かせないもので、カフェ文化の原点とされ、オスマン朝時代に一般化してヨーロッパへ伝わったといわれています。
極細挽きのコーヒー豆をカルダモン、砂糖と一緒に煮だし、小さなカップに移して、粉が沈殿するのを待って飲みます。すっきりしたカルダモンの香りとコーヒーが混ざりあい独特の味わいです。
アラビックコーヒー 450円

DATA

住所/岡山市北区駅元町15-1
(JR岡山駅東西連絡通路直結 Lit Cityビル南棟4・5階)
TEL/086-898-3000
開館時間/10:00~18:00(入館は17:30まで)
休館日/月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
料金/一般300円、高校生・大学生200円
※企画展、特別展の場合は料金が異なります。

MAP

イベント情報

■常設展「岡山の歴史と文化/常設内企画 岡山と鉄道展」

2017.9.15fri~11.26sun
機関車の部品、記念入場券、写真など、昔から今まで岡山の暮らしと共に歩んだ鉄道を紹介します。

■特別展「絵師100人展 04」

2017.9.15fri~10.22sun
世界から注目を集めるポップカルチャーとして人気の日本のマンガやアニメ。その分野で活躍するクリエーターは、江戸時代の浮世絵師になぞらえ「絵師」と呼ばれています。「かわいい」をテーマに描き下ろした「絵師」たちの作品を楽しめます。

■企画展 池田家文庫絵図展「池田光政と絵図」

2017.11.3fri~19sun
岡山大学附属図書館が所蔵する池田家文庫には、江戸時代の備前岡山藩が残した藩政資料が残っています。そのなかから「池田光政と絵図」をテーマに紹介します。

 

せとうち美術館ネットワークとは

瀬戸内の美術館が相互にネットワークを形成して、地域全体としてのアートの魅力を発信する組織が「せとうち美術館ネットワーク」です。今回紹介した2つの美術館を含め、魅力ある65の美術館・博物館が参加しています。ネットワークでは「子どものアート感想文」募集などを通じて、教育普及活動にも力を尽くしています。
HP/http://www.jb-honshi.co.jp/museum/

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