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情報誌「瀬戸マーレ」

アートのすすめvol.4 創立80周年を迎えた日本初の西洋近代美術館 西洋絵画から古美術、現代アートまで

倉敷の街のシンボル、「大原美術館」。西洋だけでなく、日本の近代絵画や、東洋の古美術から現代美術まで、数多く展示されています。作品を楽しむ目を養えるよう、様々な企画や教育事業に力を注いでいます。

モネやピカソの作品で画学生の学びの場に

ギリシャ神殿風の建築
ギリシャ神殿風の建築。手前にはロダンの「カレーの市民」

倉敷の駅から、美観地区へ歩くこと10分、倉敷川沿いの道を進むと、重厚なギリシア神殿風の建築が見えてきます。

ここ、大原美術館は、日本初の西洋近代美術館として、昭和5年(1930年)に設立されました。創立者は、倉敷紡績の社長、大原孫三郎。彼からあつい信頼を寄せられていた画家・児島虎次郎が欧州で収集した作品を中心に展示されています。虎次郎がヨーロッパに留学した際、自分と同じく美術を目指す日本の人々のため「ぜひ本物を見てもらいたい」、という熱い想いが源流となって、これらの作品群は海を渡り、日本へと運ばれてきました。

大原美術館といえば、モネの「睡蓮」など印象派を思い浮かべます。ですが16世紀末から17世紀にかけて活躍したエル・グレコの「受胎告知」から、19世紀末から20世紀初めの西洋美術史を代表するセザンヌ、セガンティーニ、モディリアーニ、カンディンスキーにピカソまで、数多くの画家による作品が並んでいて圧巻です。
西洋美術を時代の流れに沿って鑑賞することができるのも楽しみ方の一つ。『本物』の絵画を間近に見ることが、心豊かな時間を与えてくれます。

多彩なコレクションが魅力 建築も味わい深い

倉敷川沿いに並ぶ蔵建築や町家
倉敷川沿いに並ぶ蔵建築や町家

西洋美術を中心に展示されている本館のほか、敷地内には分館、工芸・東洋館があり、別の敷地では児島虎次郎記念館も設置されています。

古い米蔵を改造した工芸・東洋館には、中国古美術の仏頭に、棟方志功の版画、濱田庄司や河井寛次郎の陶芸作品が揃います。
分館1階は日本近代洋画史に残る傑作の数々を誇り、地下スペースでは現代のアーティストによる最新の作品が目を引きます。

近隣には、柳の揺れる川沿いに大原家別邸の有隣荘、町家が並ぶ通りに西洋風の中国銀行倉敷本町出張所があります。
いずれも大原美術館本館と同じ建築家が手がけ、江戸時代からの伝統的建築群との不思議な調和が、ひときわ倉敷らしさを発信しています。

教育プログラムも実施

次世代を担う子どもたちに、美術館を身近なものとして接してもらい、自分の目で作品を見られるようになってもらいたいと、多彩なプログラムも実施されています。
学校訪問や、夏休みのワークショップ、さらにジュニア・アテンダント(学生ボランティア)の育成など、様々な試みを行い、倉敷から日本へ、日本から世界へ発信できることを目指しています。

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PROFILE

せとうち美術館ネットワークアドバイザー
岡山大学大学院 教育学研究科准教授
赤木 里香子

1962年鳥取生まれ。
芸術教育学専攻。近代日本の美術教育の歴史に関する研究、学校と美術館の連携に関する実践的研究を展開。神林恒道・新関伸也編著『日本美術101鑑賞ガイドブック』(三元社)などに執筆。

せとうち美術館ネットワークアドバイザー 岡山大学大学院 教育学研究科准教授 赤木 里香子

イベント情報

大原美術館では常設展・特別展ほか様々な企画を開催しています。
■チルドレンズ・アート・ミュージアム

毎年恒例の夏祭り。
美術館全体を会場にたくさんのワークショップが同時に展開されます。
日時/2010年8月21日(土)、22日(日)



創立80周年と大原孫三郎生誕 130周年記念行事
■大原BEST

所蔵作品のベストラインナップを展示
期間/2010年9月14日(火)~12月5日(日)


■大原孫三郎 日本美術への眼差し

大原孫三郎が収集した、国宝・重要文化財を含む
日本美術を紹介
期間/2010年10月30日(土)~11月7日(日)


■大原美術館の80歳をお祝いしよう!
プロジェクト

ランプをみんなで作り、それを並べて大原美術館80歳の誕生日のお祝いをします。


ワークショップ期間/2010年9月、10月の毎週末
午前10時~午後3時
対象/実施中、だれでもいつでも参加可能
ランプ点灯日時/2010年11月3日(水・祝)
午後5時以降(雨天順延)


■連続シンポジウム

日時/2010年11月5日(金)午後1時~5時

DATA

住所/〒710-8575 岡山県倉敷市中央1の1の15
TEL/086(422)0005
開館時間/午前9時~午後5時
休み/月曜 7月下旬~8月、及び10月~11月は休館日なし
料金/1,000円(児島虎次郎記念館と共通1,300円)
HP/http://www.ohara.or.jp

大原美術館 アクセスマップ

せとうち美術館ネットワークとは

瀬戸内の美術館が相互にネットワークを形成して、地域全体としてのアートの魅力を発信する組織が「せとうち美術館ネットワーク」です。ネットワークでは「子どものアート感想文」募集などを通じて、教育普及活動にも力を尽くしています。

せとうち美術館ネットワークの詳細については、ホームページにてご紹介しています。
http://www.jb-honshi.co.jp/museum/

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