ホーム > 瀬戸マーレ vol.33 > 恵峰さんと巡ろう 四国八十八ヶ所霊場

阿波国の難所から望む、緑の山並み

鶴林寺と太龍寺は、昔から「一に焼山、二にお鶴、三に太龍」と言われ、阿波国の三大難所に数えられています。歩き遍路には苦労の多い順路ですが、そのぶん那賀川の清流や剣山山系の山並み、紀伊水道の眺望などとびきりの絶景が楽しめます。

第二十番札所 霊鷲山 鶴林寺

寺伝によると、桓武天皇の勅願により弘法大師が開創。大師がこの地で修業中に、雌雄2羽の白鶴が小さな黄金の地蔵菩薩像を守っているのを見て、大師自ら霊木で地蔵菩薩像を刻み、その胎内に黄金の地蔵菩薩を収めて本尊としました。これにより、寺名を鶴林寺と号したと伝わっています。境内の堂塔は、いずれも端正で洗練されており、深い森につつまれた清々しいお寺です。
【本尊】地蔵菩薩(伝弘法大師作)

木立の中の山門が美しい
本堂前には左右に青銅製の阿吽の鶴が立つ。山門にも、木彫の2羽の鶴が安置されている。
本堂

第二十一番札所 舎心山 太龍寺

縁起によると、桓武天皇勅願により堂塔が建立され、弘法大師が本尊の虚空蔵菩薩像をはじめ諸尊を造像して安置し、開創したと伝わります。弘法大師が著した「三教指帰」に、19歳の折、この山の舎心ヶ嶽で100日間の虚空蔵求聞持法を修法したことが書かれています。太龍寺の寺号は、龍神が修行中の大師を守っていたことに依るもの。仁王門の仁王像は鎌倉時代の作で、県下最大にして最古の像です。
【本尊】虚空蔵菩薩

【舎心ヶ嶽(太龍嶽)】
弘法大師が、虚空蔵求聞持法を修法されたという岩山からは、はるか紀伊水道から大鳴門橋、淡路島まで一望できる。今は岩上に「求聞持修行大師像」が座している。
御廟橋を渡ると正面に大師堂があり、その奥に御廟(写真)を設けて弘法大師のお像を納めている。高野山奥の院と同じ配置であり、古来「西の高野」と呼ばれてきた。
ロープウェイを降りてすぐの長い石段を上がると、そこが本堂。本堂は嘉永五(1852)年、阿波藩主蜂須賀氏が再建したもの。
持仏堂の天井には、修行中の弘法大師を守護したという大龍(龍神)が描かれている。
【太龍寺ロープウェイ】

西日本最長(全長2,775m)のロープウェイ。高低差は422m、100人乗り。所要時間約10分。
■運賃:大人往復2,470円(片道1,300円)、中高生往復1,800円(片道980円)、小学生往復1,200円(片道650円)
■運転時間:20分間隔で運行。
3~11月/7:20~17:00・12~2月/8:00~17:00
■定休日:年中無休

豆知識

遍路が歩いた「歴史の道」

鶴林寺・太龍寺の周辺には、数百年にわたって巡拝に利用されてきた古道があり、道端にはお遍路さんが迷わないように置かれた道しるべや丁石(里程標)、遍路墓、大師像、大師ゆかりの史跡などが今も遺されています。近年、太龍寺道・かも道(四国最古の遍路道)などが、地元自治体や有志により「歴史の道」として保存整備が進められています。
注)遍路道には険しい箇所もありますので、靴や金剛杖など装備をきちんと整えて安全に留意して下さい。

MAP
福田 恵峰(けいほう)さん

福田 恵峰(けいほう)さん

神戸市在住。会社勤めをしながら休日だけの札所めぐりを続けて、現在までに20回以上巡拝。そのほとんどが歩き遍路である。歩くたびに新しい出会いがあり、新しい自分を発見すると言う。四国八十八ヶ所霊場会公認先達。NPO法人遍路とおもてなしのネットワーク理事・女性お遍路相談員。www.omotenashi88.net

〈公認先達〉四国八十八ヶ所霊場巡拝を重ね、弘法大師の教えに帰依し、新しく巡拝する人たちにお遍路の心得などを指導し、手本となることができると認められた人。四国八十八ヶ所霊場会が審査、認定している。

TOPに戻る