ホーム > 瀬戸マーレ vol.4 > 地元通と歩く瀬戸内 【瀬戸大橋エリア】 小豆島の素麺
情報誌「瀬戸マーレ」

地元通と歩く瀬戸内 【瀬戸大橋エリア】小豆島の素麺

400年の伝統を誇る小豆島の手延べ素麺

約400年の歴史を持つ、小豆島の手延べ素麺「島の光」。
全国でも唯一ごま油を使用し、そのおいしさで多くのファンを持っています。

三輪から伝わった素麺作り
全国で唯一、ごま油を使用

小豆島を代表する〝こなもん〟と言えば、小豆島手延べ素麺「島の光」。ツルっとのど越しがよく、冷たくしても温かくしてもおいしいと味に定評があります。慶長3年(1598年)、島民が伊勢参りの道すがら、大和の国・三輪の素麺作りを見て農家の冬の副業に最適と考え、その技術を習得して小豆島に伝えたことが始まりと伝えられています。

「島の光」の大きな特徴は、熟成時間を十分にとった二日間工程と天日干し、熟成した素麺を伸ばす際にごま油を使用すること。文久2年(1862年)に書かれた文書には、「素麺の油は小麦一石に正胡麻油四合ずつ…」とあり、すでにごま油が使われていたことが伺われます。

「ごま油は酸化が遅いので、いつまでたっても味が変わらず、品質が保てます」と話すのは、小豆島手延素麺協同組合参事の木下成晴さん。小豆島には原料となる小麦粉・塩・ごま油があり、素麺作りが発展してきました。現在の生産高は、1位・揖保の糸、2位・島原素麺で、3位を三輪素麺と島の光が争っている状況。「もっと多くの人に知ってもらいたい」と話します。


小豆島手延素麺協同組合

住所/香川県小豆郡小豆島町池田1031
TEL/0879(75)0039
HP/http://www.shimanohikari.or.jp/

小豆島手延べ素麺「島の光」
小豆島手延べ素麺「島の光」

家内労働で守る伝統の味
父から息子へと伝承

昭和60年(1980年)には260軒あった製麺所が、今では約140軒に減少、生産者の高齢化が心配されています。

そんな中、土庄町の伊藤製麺所は、息子・雄二さんが父・義樹さんの技を受け継ぎ、親子二代の家族で手延べ素麺作りに従事しています。厳選した小麦粉・水・塩をその日と翌日の天候を考慮して配合し、混ぜ合わせる作業に始まり、板状にした小麦粉にごま油を塗り、徐々に伸ばして熟成させるまでが1日目の仕事。2日目は早朝から熟成した素麺を機械にかけて伸ばし、さらに熟成させ、引き伸ばしていきます。天日干しした麺を長いはしでほぐしながら伸ばしていく〝はし分け〟を行った後、束にして箱入で完了。「冬場は午前3時、4時から働きます。家族総出でないと良い素麺は作れません」

「冬の冷たい風に当てると、麺がしっかりする」と義樹さん。3㎝の中に32本~35本が入る細さの素麺だけが、「島の光」と名乗ることが許されます。

(写真左)義樹さんの技術は息子に伝わります(写真右)はし分け作業をする、伊藤雄二さん
(写真左)義樹さんの技術は息子に伝わります
(写真右)はし分け作業をする、伊藤雄二さん

伊藤製麺所
住所/香川県小豆郡土庄町甲1007-1
TEL/0879(62)3895

かどや製油発祥の地
町中に漂うごま油の香り

小豆島土庄港に入ると、大きな工場が目に入ります。ここがかどや製油小豆島工場。この工場で作られるごま油の香りが、土庄町全域に漂っています。

安政5年(1858年)、小豆島で創業したかどや製油。当時、小豆島の名産だった手延べ素麺用の油としてごま油を供給。小豆島には6、7軒の同業者がありましたが、それでもごま油が足りないことがあったほど、素麺作りが盛んで、ごま油が大量に使用されていました。

「創業時は素麺が大きな存在でした。ごま油以外の油も生産していたようでしたが、ごま油にシフトしたようです」と、かどや製油取締役常務執行役員・工場長の井藤龍平さん。「その後、大正から昭和にかけて、天ぷら用ごま油など小豆島の外に向かって発展していきました」

ゴマを焙煎するのに都合がよい亜炭(カロリーが低い石炭)が小豆島で取れたことや、優れた技術者がいたことなどがあって、同社のごま油はおいしいと信頼を得て、利用高が増加。現在は国内ごま油のシェア約50%を誇ります。

太平洋戦争まで島内に数軒あった油屋も、今はかどや製油だけに。
現在、小豆島手延べ素麺作りには、このかどや製油のごま油が使われています。

かどやごま油
かどやごま油

工場長の井藤さん
工場長の井藤さん

油作りの歴史を体感

かどや製油小豆島工場の資料室「今昔館」では、昔の搾油方法などが展示されていて、見学できます。希望すれば、純正ごま油の生産工程をDVDと係員の説明で紹介してもらえます。ごま油のテイスティングやプレゼントも。

時間は午前9時~正午、午後1時~4時(土・日曜、祝日、年末年始を除く)。所要時間は約30分~40分。無料。要予約。


土庄港にあるかどや製油小豆島工場
土庄港にあるかどや製油小豆島工場

昔の搾油方法
昔の搾油方法

かどや製油小豆島工場
住所/香川県小豆郡土庄町甲6188
TEL/0879(62)1133
HP/http://kadoya.com

土庄町の島愛会メンバーが素麺で島おこし

土庄町商工会青年部のメンバーが中心になって、「素麺で小豆島を盛り上げよう」と活動しているのが、島愛会(とうあいかい)。伊藤製麺所の雄二さんら、若い素麺生産者もメンバーに加わっています。

「小豆島も過疎化が進んでいます。何とか島全体を活性化したいと考えたとき、特産の素麺で島おこしをしていこうと考えました」と話すのは、会長の吉岡照隆さん。平成20年(2008年)3月に、土庄町商工会青年部のメンバーで島愛会を立ち上げ、小豆島の秋祭りの掛け声〝えいしゃげ〟を合い言葉に、64人が日々活動しています。

まず、メンバーが取り組んだのが、創作素麺料理の募集。「家庭食として長年食べられている素麺。もっとバリエーションが増えたら、消費量も増えるのでは」と、同会企画&事務班班長 岡野能之さん。島の内外1万人にアンケートをした結果、素麺巻き寿司やカレー素麺、豚しゃぶサラダ素麺など、ユニークなメニューがたくさん寄せられました。

現在数店舗で、オリジナル素麺メニューを出しています。


島愛会のメンバー

街の中で、島愛麺ののぼりが目を引きます
街の中で、島愛麺ののぼりが目を引きます

島愛会
住所/香川県小豆郡土庄町渕崎甲1389-12
TEL/0879(62)0427
HP/http://tonosho-shokokai.com/

HPや各地のイベントで多くの人にアピール

アンケートの結果を元に、ユニークメニューにあったラーメン風の食べ方を、即席めん「島愛麺」(1食400円)として、製造・販売に乗り出しました。「仲間に即席めんの製造を手がける人がいて、彼に依頼。メンバーで味見しながら、試行錯誤の中で完成させました」と岡野さん。本格鶏がらスープにコシがある素麺が絡まって、絶妙のおいしさ。お湯をかけて3分で出来る手軽さも魅力です。HPで紹介していて、かなりの人気とか。

一方で「1年で200回もの会議をしました」と、メンバーは各地で開かれる物産展などのイベントにも精力的に参加。島愛麺などの新メニューはもちろん、物産展では伝統の小豆島手延べ素麺・島の光のPRを必ず行っています。今後は創作素麺料理を出す店をさらに増やし、小豆島素麺食べ歩きマップの制作も、予定しています。

「小豆島の知名度が低すぎます。もっともっとアピールして、観光客を増やしたい」と吉岡さん。島内でも、「一目置かれる存在になってきている」という島愛会の活動は、〝えいしゃげ〟の掛け声とともに、その輪がさらに広がっていきそうです。

メンバーの努力で開発した、島愛麺
メンバーの努力で開発した、島愛麺
もっと写真を見る

見どころ

●小豆島オリーブ公園

ギリシャのムードたっぷりのゾーン。オリーブ記念館やハーブガーデン、宿泊ロッジなどがあります。無料。


住所/香川県小豆郡小豆島町西村甲1941-1
TEL/0879(82)2200
営業時間/午前8時30分~午後5時。無休


小豆島オリーブ公園
●銚子渓お猿の国

約500匹の野ザルが遊ぶ自然公園。寒さが厳しいとき、猿たちがギュと固まる姿は冬の風物詩に。大人370円。


住所/香川県小豆郡土庄町黒岩蛙子1841
TEL/0879(62)0768
営業時間/午前8時10分~午後4時50分。無休


銚子渓お猿の国
●エンジェルロード(天使の散歩道)

干潮時にあらわれる砂の道を渡ると幸せになると、恋人たちに人気のスポット。
※写真提供:(社)小豆島観光協会


住所/香川県小豆郡土庄町


エンジェルロード(天使の散歩道)
●土渕海峡

1996年に「世界で一番狭い海峡」としてギネスブックに認定された、全長2.5㎞の海峡。


住所/香川県小豆郡土庄町



土渕海峡
TOPに戻る