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情報誌「瀬戸マーレ」

あ!見つけた 瀬戸内の味【しまなみ海道エリア】岩城島のレモンポーク

青い檸檬の島で育ったレモンポークは愛の味

岩城島で生産される「レモンポーク」。
その柔らかでジューシーな豚肉が今、全国から熱い視線を浴びています。

特産レモンから生まれた岩城島の新たな顔

愛媛県上島町の岩城島は、しまなみ海道の生口島からフェリーで5分、島内に信号機はなく、車だと15分ほどで一周できる小さな島のあちこちに、レモン畑を見ることができます。

この島で、レモンポークの養豚を営むのは松浦農場の松浦史拓さん。
岩城産レモンの絞りカスを飼料に育つレモンポークは、新商品として、今、注目を浴びています。

松浦さんは、広島市内で10年会社員として働いた後、5年前に実家を継ぐことに。
「サラリーマンは楽しくてやりがいもありました。でも、仕事=趣味=生活という第一次産業に、もっと充実した人生を見たんです」。

岩城はレモンの島だから、そこで育つ豚はレモンポークだと、ブランド化を考えたのがきっかけとなり、「レモンの加工後、大量に絞りカスが出るんですよ。これを飼料にするといいんじゃないかと」。試行錯誤の結果、ジューシーなレモンポークが誕生しました。「島内での循環農業も目指しています。レモンが豚の飼料になり、その排泄物が畑の有機堆肥に、再びレモンにと、ぐるぐる廻ります」。島ならではのこだわりを持っています。

「ストレスフリーな豚を育てています」と話す松浦さん
「ストレスフリーな豚を育てています」と話す松浦さん。
潮風を浴びるのも美味の秘訣

家族のように愛情いっぱいに育てる

「レモンポーク」は、2009年4月に、東京都の食肉産業展・豚肉部門で最優秀賞に輝きました。

レモンポークの味は、一度食べると忘れられません。さっぱりしていて旨みはしっかり、脂身までとろける柔らかさ。ほんのり甘さも感じられます。その秘密はレモンだけなのでしょうか?「一頭ずつ顔を見て餌をやっています。健康状態をチェックできますし、愛情もたっぷり注げます」と笑います。

さらに「重要なのは母豚です。普通、養豚場では、母豚を一頭ずつ入れる『ストール』で管理していますが、ここでは一定期間自由に歩かせています。放牧も行い、ストレスフリーで健康に育っているから、子どもたちが飲むお乳も滋養たっぷりです」と話す松浦さんは、「家に帰れば3人の子どもがいて、農場には2,000頭の子どもがいるんですよ」。スタッフと一緒に、餌だけでも半日かかって与えます。大変な作業を通し、手をかけているからこそ、愛ある味が生まれるのかもしれません。

人懐っこい豚の健康を、毎日厳しくチェック
人懐っこい豚の健康を、毎日厳しくチェック

次世代につなげたい 島の自然と産業と

豚が元気に育つ姿に、やりがいを感じている、松浦さん。「大変なことも多いですが、楽しみと喜びの方が大きいですね。私は、農業をする人はエリートだと思っているんですよ」。汗をかき、ドロドロになって、思いを込めて食材を生産する。日々勉強し、より良い物を作ろうと努力する心、これこそエリートだと話します。

「『出荷するのが辛くないですか』と聞かれることがありますが、出荷はイコール豚の生を全うしたということです。人間だとおじいさんおばあさんまで健康で長生きしたということ」。喜ぶべきことと言います。

島の小学校の給食にもレモンポークを提供し始めました。「子どもたちに、自分たちの住む場所の良さを伝えたいです。大きくなったとき、島には美味しい食べ物が沢山あったなと感じてもらえるように」。島で農業をしてみようかなと、少しでも思ってもらえればと願っています。

養豚場
養豚場。レモンの絞りカス入り飼料をふんだんに用いる

レモンポーク料理が島内外で大人気に

松浦農場よりレモンポークを仕入れているのが、民宿「よし正」併設の居酒屋。食事のみも楽しめます。島内外から通う人々のお目当ては、鮮魚料理はもちろん、「最近はレモンポークの人気が高いんです。これだけのために来られる方もいて」と、大将の砂川温尋さん。開業36年のこの店を、父親である先代から継いでいます。

レモンポークは「初めて食べたとき、うまい!と感激しました。肉質が柔らかく、脂身も甘いんです」と、大阪で10年修業した砂川さんも驚いた味。「ジューシーなレモンポークは、何に料理しても美味しいですよ」。

レモンポークのメニューも揃っていて、「ステーキ、とんかつ、しゃぶしゃぶ。お好みのものをどうぞ」。レモンポークを用いたギョーザやラーメンも好評です。

肉のうまみがしっかりつまった、レモンポークのステーキ
肉のうまみがしっかりつまった、レモンポークのステーキ

岩城島に「よし正」ありき

岩城島に来てこそ、肉の美味しさを味わえると話す、砂川さん。「不思議なんですが、都会にいるときより、ぐんと味が深く感じられるはずですよ」。お店には、岡山や広島から通うファンもいて、「地元の人間に混じってカウンターでくつろぐ、常連のご夫婦もいます。民宿もやっているので、料理をお待たせすることもあるのですが、おしゃべりを楽しんでもらっています」。

島の子どもたちが、他の島の子どもと島自慢をし合ったとき、「岩城には『よし正』がある!」と豪語したとか。そんな楽しいエピソードのある店内では、ゆったりとした時間が今日も流れています。

大将の砂川さんからの信頼もあつい、料理長の横宗隆之さん
大将の砂川さんからの信頼もあつい、料理長の横宗隆之さん
よし正

岩城漁港からすぐの「よし正」。
しゃぶしゃぶのタレは、島のレモンとライムと橙で作る、オリジナルぽん酢「島の香り」。(写真左)


住所/愛媛県越智郡上島町岩城1540
TEL/0897(75)2267
営業時間/午前11時~午後1時LO、午後5時~10時LO
休み/不定休
URL/http://www.yoshimasa.jp

(写真左)料理イメージ(写真右)よし正外観
でべそおばちゃんの店

もっとレモンを味わいたいなら、でしゃばりおばちゃんが作る「レモン懐石」。
農家レストラン「でべそおばちゃんの店」では、事前予約にて「レモン懐石(2,000円~)」を味わえます。レモン尽くしのメニューの中には、レモンポークを使った品も。でべそおばちゃんとは、でしゃばりおばちゃんの意味で、島の女性が心を込めて調理しています。


TEL/0897(75)2843

(写真左)レモンを使った懐石料理(写真右)でべそおばちゃんの店外観
レモンを使った懐石料理。レモンポークも
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おすすめ

●積善山展望台と遊歩道

展望台へ続く、山の南側からの「積善山遊歩道」は健脚向き。
山北側からは車道もあります。






積善山展望台と遊歩道
●いわぎ物産センター(売店)

レモンポークは、「いわぎ物産センター」にて販売。一部取り寄せも可能です。


住所/愛媛県越智郡上島町岩城2586番地
TEL/0897(75)3288
FAX/0897(75)3289
営業時間/午前8時~午後5時30分
休み/なし(FAX注文は土日祝休み)
URL/http://www.islands.ne.jp/iwagi/

いわぎ物産センター(売店)
●れもんはーと・レモンジェリー

「れもんはーと」は、岩城産レモンにバターと卵と砂糖を加えた、ペースト状のレモンジャム。パンやケーキなどにつけていただけます。
「レモンジェリー」は、青と黄の2種類がある、さらっとしたレモンジャム。
いわぎ物産センターで販売。



れもんはーと・レモンジェリー
●芋菓子

古来より、芋の生産が盛んな岩城島。芋菓子の技は今に受け継がれ、島独自の味として愛されています。いわぎ物産センターで販売。


製造/タムラ食品

芋菓子
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