うわあああ!と、大声が滑床渓谷に響く……いや、全てはボクの心の声。聞こえたのは、バッシャン!と水に飛び込む音のみ。
「何が起きたんだ!」と叫ぶと、「顔、笑ってますよ」と、インストラクターさんの声。頭から水をかぶりながら、確かにボクは楽しんでいた。
キャニオニングは渓流で行うアウトドアスポーツだ。滝や川を滑ったり、ロープを使って岩を降りたりと、スリル満点。究極の川遊びである。
もちろん、いきなり滝を滑ったりはしない。まずは2、3メートルの流れから試して体を慣らしていく。
いち、にの、さん!で、水の流れに身を任せる。「空を見上げて!」と、景色を楽しむようアドバイスされていたけれど、そんな余裕はなかなか出ない。無我夢中で、ひたすら滑るしかない。
水の上を滑っていると、足が途中の岩に当たりそうだ。距離が延びると緊張するし、体の向きが曲がらないように必死になる。
だが、回数を重ねるうちに分かってきた。うまく滑ろう、なんて思ってはいけないのだ。体の力を抜いて、ただ、水の流れに身を任せればいい…体がほどけていく。うん、これは面白い。水と一体になった気がする。
さあ、次は滝つぼダイブ。ちょっと怖いが足を前へと踏み出す。自然と一つになる感覚はクセになる楽しさだから。よし、ここは気合いだ!
- キャニオニングはフランス発祥のリバースポーツで、ここ滑床渓谷はキャニオニングの名所として注目されている。ウエットスーツ、ライフジャケット、ハーネスに専用ブーツを着用し、川や滝など天然のスライダーにトライ