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情報誌「瀬戸マーレ」

愛媛・森の国のアドベンチャー

滑床渓谷の大いなる自然を体感する

愛媛県北宇和郡松野町の山中にある、滑床渓谷。
なめらかな川床を持ち、巨岩があちこちに点在している。
大小の滝が水しぶきを上げて流れおちていく大自然の景観のなかで、
清流を全身でキャッチする爽快感は何ものにも代えがたい。
マイナスイオンをたっぷり浴びて、大いなる森を探検してみよう。

天然のスライダーに大興奮

うわあああ!と、大声が滑床渓谷に響く……いや、全てはボクの心の声。聞こえたのは、バッシャン!と水に飛び込む音のみ。

「何が起きたんだ!」と叫ぶと、「顔、笑ってますよ」と、インストラクターさんの声。頭から水をかぶりながら、確かにボクは楽しんでいた。

キャニオニングは渓流で行うアウトドアスポーツだ。滝や川を滑ったり、ロープを使って岩を降りたりと、スリル満点。究極の川遊びである。

もちろん、いきなり滝を滑ったりはしない。まずは2、3メートルの流れから試して体を慣らしていく。

いち、にの、さん!で、水の流れに身を任せる。「空を見上げて!」と、景色を楽しむようアドバイスされていたけれど、そんな余裕はなかなか出ない。無我夢中で、ひたすら滑るしかない。

水の上を滑っていると、足が途中の岩に当たりそうだ。距離が延びると緊張するし、体の向きが曲がらないように必死になる。

だが、回数を重ねるうちに分かってきた。うまく滑ろう、なんて思ってはいけないのだ。体の力を抜いて、ただ、水の流れに身を任せればいい…体がほどけていく。うん、これは面白い。水と一体になった気がする。

さあ、次は滝つぼダイブ。ちょっと怖いが足を前へと踏み出す。自然と一つになる感覚はクセになる楽しさだから。よし、ここは気合いだ!

キャニオニングはフランス発祥のリバースポーツで、ここ滑床渓谷はキャニオニングの名所として注目されている
キャニオニングはフランス発祥のリバースポーツで、ここ滑床渓谷はキャニオニングの名所として注目されている。ウエットスーツ、ライフジャケット、ハーネスに専用ブーツを着用し、川や滝など天然のスライダーにトライ
滑床渓谷キャニオニングツアー「フォレストキャニオン」

住所/シーズンオフィス=愛媛県北宇和郡松野町目黒滑床渓谷 万年荘内(宇和島市内より車で約50分)
TEL/0895(42)0063(代表:正木)
メール/info@nametoko.net
休み/なし
料金/半日コース(約3時間)=7,000円 1日コース(昼食付き)=10,500円
※いやし博キャンペーン価格 土日祝日は500円アップ
年齢/16歳以上の健康な男女
※小学3年生以上を対象にファミリーコースあり
URL/http://nametoko.net/canyoning/

フォレストキャニオン

五感を使ってフルに楽しむ森の国ネイチャーガイド

滑床渓谷にはもう一つ、「森の国ネイチャーガイド」がある。通常なら片道40分、往復で1時間半のコースをガイドさんの案内のもと3時間かけてゆっくりと歩くのだ。

森の緑、渓流の流れ、土を踏む足音。「渓谷の自然を五感で感じながらゆっくり歩きましょう」と、ネイチャーガイドの久保田慶蔵さん。ただ漠然と歩いているだけでは分からない、森の魅力をレクチャーしてもらう。

「これ、口に含んでみて下さい」と、手近の木からもぎ取ってこちらへ差し出されたのは、緑の小さな粒。飲み込まないで、と言われながら、おそるおそるかんでみる。香りが口中に広がった。サンショだ。なるほど。体の中に森が広がるような、清々しい気分になってきた。

子どもの頃からこの渓谷が遊び場だったという久保田さんの足取りは軽やかだ。その後に続きながら、おいしい空気を吸いつつ、見たことのない植物や虫、鳥などに目を見張る。

山の緑の谷間に、赤い屋根の「森の国ホテル」が見えた。山歩きでお腹もすいたし、地元の料理を味わうとしよう。

森の国ネイチャーガイドの久保田さん
森の国ネイチャーガイドの久保田さん。渓谷の岩で色が変わっている部分はなめらかで滑りやすく、この辺りの川床に特に多いことから、『滑床』の名がついた、と教わった
森の国ホテル・森の国ネイチャーガイド

住所/愛媛県北宇和郡松野町目黒滑床渓谷(宇和島市内より車で約50分)
TEL/0895(43)0331
休み/なし。但し、館内メンテナンス等により臨時休業あり
料金/午前9時~正午の3時間で1人2,500円。ガイド終了後にスイーツ&お茶のセット付き
URL/http://www.morinokunihotel.com

森の国ホテル・森の国ネイチャーガイド
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里山で深呼吸する

森の国とよばれる松野町。
のどかな里山の風景が広がる中で、
いつしか心は少年に戻る。

松野町をのんびり散策

滑床渓谷から車で25分下ったところにある、森の国の宿「やなせ」。山と川と田んぼに囲まれた、野中の一軒家である。

まるで絵本の世界のような、のどかでノスタルジックな日本の原風景だ。築50年のその家に上がり、さっそく畳の上で大きく伸びをした。窓からは山の緑が見えるのみ。隣の家なんて、ずーっと先の先にある。ぐるりと自然に囲まれて、なんて気持ちがいいんだろう。

周囲にある畑では、ピーマンやナスが顔をのぞかせている。野菜や松野町特産の桃などを自分の手で収穫する「農業体験」ができるらしい。土の上にしゃがみ込んでみた。青々とした葉っぱの陰に、真っ赤に熟れたトマトを見つける。手にとると、太陽の匂いがした。

山から風が吹いてきて、汗をかくのが不思議に心地よい。水のはねる音がする。すぐそばに広見川が流れていて、ウナギがとれるという。草の繁る道を川辺へと降りてみた。穏やかな水の流れは鏡のように透き通っている。のぞき込むと、遠い少年の日のボクが映っているような気がした。そうだ。欲しかったのは、多分、こんな時間。

森の国の宿「やなせ」は、民家一軒を丸ごと借りて滞在できるのが魅力
森の国の宿「やなせ」は、民家一軒を丸ごと借りて滞在できるのが魅力
森の国の宿やなせ

住所/愛媛県北宇和郡松野町吉野1441‐1
TEL/090(5713)3312
休み/年末年始
料金/大人素泊まり4,000円~、小人(1歳以上小学生以下)素泊まり3,000円~。1日1組、5名まで。別館「やなせあねっくす」は4名までで、計9名までの対応可。食事は自炊。バーベキュー等の準備は要予約。地元のぽっぽ温泉利用券込み(毎月第2月曜が温泉の定休日)。宿内のお風呂も利用可。予約は3日前までに
※農業体験は宿泊者のみ(別途有料)。石窯体験は土曜日限定で立ち寄り可、4名から、6,000円。5名からプラス1,500円。5日前までに要予約
URL/http://morinokuniyanase.blog104.fc2.com/

森の国の宿やなせ

もぎたて野菜で自然をほお張る

石窯体験ができると聞いて、少し離れたもう一つの宿「やなせあねっくす」へ向かう。ここには、オーナーの橋本賢一さんが丹精込めて作った石窯がある。窯の横には薪がずらり、整然と積み上げられていた。この窯でピザを焼くのだ。

窯の横の作業台で、生地を伸ばすところから始めた。すぐそばの畑から野菜をもいでくる。そしてトッピング。彩りを考えるのも楽しい。段々無口になってきた。キャンプにはしゃいだ子どもの頃に戻ったよう。さあ、窯に入れよう。

およそ300度になった石窯で焼くこと約5分。アツアツのピザの出来上がりだ。窯から取り出して、焼きたてをほお張る……うまいなあ。自分の手で作ったものを自然の中で食べるのは、何て愉快なんだろう。空気もおいしいし、どこにもない、この土地でだけ体験できる味なのだ。

のんびりと歩いて宿に戻る。稲穂が揺れて、蝉が鳴く、ずっと忘れていた光景だ。お腹もいっぱいになったし、まだまだ里山の時間はたっぷりある。永遠に続くといいなあ、なんて夢見ながら、濃い緑の薫る土の上をゆっくりと進んだ。

「やなせあねっくす」では石窯体験ができる
「やなせあねっくす」では石窯体験ができる。ピザのほか、パンやクッキーを焼くこともあり、石窯の薪はクヌギ・ナラなど地元の木材

みどころ

●森の国ぽっぽ温泉

JR予土線、松丸駅構内「ふれあい交流館」2階にある温泉。足湯もあり、観光客の立ち寄り場として人気。


住所/愛媛県北宇和郡松野町JR松丸駅内
TEL/0895(20)5526
営業時間/午前10時~午後10時(9時30分札止め)
休み/第2月曜。但し、8月に限り第1月曜のみ
料金/大人500円、小・中学生300円、65歳以上400円

森の国ぽっぽ温泉
●虹の森公園

広見川沿いの親水公園。レストラン、ガラス工房、物産館や青空市ほか、四万十川学習センター「おさかな館」、「森の国ファーム」も併設されている。


住所/愛媛県北宇和郡松野町大字延野々1510‐1
TEL/0895(20)5006
営業時間/午前10時~午後5時
青空市のみ午前7時30分~午後5時(季節により変更あり)
休み/水曜
※おさかな館入館料/大人800円、小人(小・中学生) 400円、幼児(3才以上) 200円
URL/http://www.morinokuni.or.jp

虹の森公園
●宇和島じゃこ天

宇和海ならではの鮮魚「ハランボ」という小魚などを骨・皮ごとミンチにしてすり潰し、油で揚げたじゃこ天。カルシウムたっぷりのじゃこ天は、火であぶってから大根おろしを添えて食べるのがおすすめ。宇和島市内に数ある蒲鉾店で購入できる。

宇和島じゃこ天
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