明石海峡大橋から西へ、丘の上に日本の標準時刻を示す大時計が見えてきたら明石だ。ここに来れば間違いなく瀬戸内のうまいもんを味わえる。
〝うおんたな〟と地元の人が親しむ魚の棚商店街には、昼のせり「昼市」で仕入れた活きのいい魚や、明石ならではの味がてんこもり。ほら、もうお腹が鳴ってきた。
にぎわう明石駅前の通りを南へ行くと魚の棚だ。東西約350mのアーケードの下には鮮魚、乾物、加工品の店や飲食店がひしめいて興奮する。だけどその前に昼市を見てみたい。
魚の棚を通りすぎ、明石港に向かう。公設地方卸売市場水産物分場前の港には夜中に漁に出た船が続々入ってきている。トロ箱の中はサワラ、タチウオ、ハマチなど冬が旬の魚がいっぱいだ。昼市で扱っているのは明石海峡でとれた〝まえもん〟の魚が中心で、潮の流れが速いため身が引き締まっておいしいのだとか。
午前11時半きっかりに鐘が鳴り、せりが始まった。せり人の呼びかけに買い付け人が値段を指で示し、次々とせり落としていく。その間わずか数秒。まわりでは少しでも早く運ぼうとトラックがスタンバイしている。魚の棚にもこのまま超特急で運ばれるというから新鮮なわけだ。
「こうてや」「味見していき」、魚の棚に戻るとあちこちから威勢のいい声がかかる。鮮魚店の店先では魚やエビがピチピチ跳ねている。明石ダコの練り物に、巨大なタコせんべい、明石海苔のキンパ巻きとどれもおいしそうでついつい手が伸びる。
横道をのぞくと、ピンと胸びれと尻ビレが立った見事な鯛の姿焼きがあった。魚秀の店の奥で焼いている。店主の三好規之さんに聞くと、毎朝4時から炭火で焼きはじめるらしい。ふっくらした身はジューシーで、年末には長蛇の列ができるとか。
香ばしい匂いをかいだら小腹が空いてきた。ここはやっぱり明石焼でしょ。元祖の味を守っている創業61年の「よこ井」へ。出てきた明石焼は焦げ目があって平べったく、だしが冷たい。すかさずおかみさんが「これが本来の明石焼。だしはさますためのものやからね。生地にしっかり味がついてるから」と笑う。口に入れると生地がふわっとほぐれ、卵とタコのふくよかな風味が広がる。1個、また1個と本物のおいしさに胃袋がゆすられ、食欲に火がついた。
タコ、タイなど“まえもん”を封じ込めたぺったん焼は香ばしくてスパイシー。店頭では実演も楽しめる。
【DATA】住所／兵庫県明石市本町1-2-9、Tel／078-912-3977、営業時間／10:00～18:00、定休／木曜日
明治45年創業。年中おいしい焼き鯛を提供するため、ニュージーランド産天然鯛を仕入れている。
【DATA】住所／兵庫県明石市本町1-4-3、Tel／078-911-2537、営業時間／6:00～18:00、定休／正月休み・盆休みのみ
明石焼の元祖といわれる向井清太郎の味を守り続けている。いい道具、味加減、火加減、おかみさんの腕が生み出す明石焼は絶品。
【DATA】住所／兵庫県明石市本町1-1-13、Tel／078-913-0068、営業時間／10:00～17:30、定休／木曜日
店先で焼いてくれた熱々のたこちくわをがぶり。マダコ丸揚げはタコが丸ごと一匹入ってボリューム満点。
【DATA】住所／兵庫県明石市本町1-1-11、Tel／078-911-2525、営業時間／8:00～18:00、定休／不定休
明石海苔、たこ味噌、魚の棚の平天など明石の食材を使った韓国風のり巻。甘口でごまの風味がきいている。
魚の棚でいろんな明石の名物を食べたけど、やはり鯛めしははずせない。というわけで鯛めしで有名な「いそざかな 一とく」に向かった。メニューはなく、食べたい料理と予算を伝えればあとはおまかせ。その日仕入れた魚で絶品料理を作ってくれるという。「明石は底物の魚がおいしいんですよ」と店主の曽我部隆徳さん。
まずは鯛のあら炊き。身がしまっているのにほくほくして、甘辛さがちょうどいい。太刀魚のからあげのあんかけにはまいった。淡泊な白身にすりおろしたカブラのあんの甘みがからみ、口のなかでとろけていく。待望の鯛めしは、一日いけすで休ませてストレスをとった鯛を切り身にし、皮を軽くあぶって土鍋で炊きあげる。鯛を丸ごと入れるとアクがでるらしい。なるほど鯛の上品な香りと皮の香ばしさ、昆布だしが溶けあい、あっさりしているのにあとをひくうまさだ。おいしい魚が食べたくなったら明石にこよう。いつでも歓迎してくれそうだ。
店主の曽我部隆徳さんは、なんとソムリエの資格の持ち主。日本酒はもちろん、料理にあうワインを選んでくれる
【DATA】住所／兵庫県明石市桜町13-6、Tel／078-912-2212、営業時間／17:00～22:00 昼は予約のみ、定休／日曜日
明石海峡を挟んで目の前に浮かぶ淡路島。ここで今、ブームになっているのが地元産の食材を使ったご当地バーガー。島の各地でさまざまなテイストを味わえる。大自然の中でかじりつくバーガーはさぞかしうまいに違いない。
明石海峡を挟んで目の前に浮かぶ淡路島。ここで今、ブームになっているのが地元産の食材を使ったご当地バーガー。島の各地でさまざまなテイストを味わえる。大自然の中でかじりつくバーガーはさぞかしうまいに違いない。
目指すは、日本一のご当地バーガー。南端の道の駅うずしおにあるという。東に西に次々と現れる美しい海の眺めや緑に癒されながら走っていると、やがて南あわじの広大なタマネギ畑が見えてきた。ここを抜ければもうすぐだ。
期待を胸に、あわじ島オニオンビーフバーガーにかじりつく。淡路ビーフと、たっぷりのタマネギがスライス、フライなどいろんな調理法で入っていて甘みとコクが広がる。食感の違いも楽しい。このうまさを知ったら他のご当地バーガーも食べたくなるな。淡路島には立ち寄り湯もたくさんあるから一緒に楽しむのもいい。いい味、いい湯で極楽気分だ。
淡路産ビーフとポークのパテにバジル入りタルタルソースがからみ、さわやかなおいしさ。ハーブティー、フライドポテト、サラダ付セット1,050円
【DATA】
レストランベルレーヌ
住所・Tel／パルシェ香りの湯と同じ、営業時間／11:30～16:30、17:00～は予約制
※淡路ハーブバーガーは15:00～16:30の喫茶タイムのみ提供、定休／不定休
たれで炒めた薄切り肉がジューシー。一番人気の焼き肉味のほか、塩だれやカレー味もある。1個400円
【DATA】道の駅あわじ 住所／兵庫県淡路市岩屋1873-1、Tel／0799-72-0001、営業時間／9:00～17:00頃、定休／年中無休（1月1日のみ昼の12:00～）
「とっとりバーガーフェスタ2013」で見事グランプリを獲得。1個600円
【DATA】道の駅うずしお 住所／兵庫県南あわじ市福良丙947-22、Tel／0799-52-1157、営業時間／平日9:30～16:30、土日祝日9:00～17:00、定休／不定休
