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情報誌「瀬戸マーレ」
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せトラベル 旅に出て、冬を楽しもう!

海峡の潮流が育てた冬の美味がいっぱい

寒いからと引きこもっていても面白くない。
冬ならではのうまいもんを探しに行こう、と鳴門を目指した。
冬の海峡と言うと寒風吹きすさぶイメージだが、四国の冬は穏やかだ。
おまけに、この時季の鳴門には食いしん坊をうならせる、絶品の食材が揃っている。

観潮で大自然のパワーに圧倒された

船上から見上げた大鳴門橋の巨大さに息を呑んだ。そしてなんと海には滝ができている!! 瀬戸内海と紀伊水道の、海面の高さが異なっているのだ。干潮時には大きく盛り上がった瀬戸内海側から、海の水が滝のように流れ落ちる。2m近い落差があるという。この滝の近くで激流がぶつかり合ってできるのが鳴門の渦潮だ。海の滝と渦巻く潮流の眺めはまさに世界の奇観。大自然のパワーに圧倒されてしまった。

明石海峡には鹿ノ瀬と呼ばれる好漁場があり、えさが豊富でいろんな種類の魚がとれる
大鳴門橋の真下、瀬戸内海と太平洋の境目で潮の干満により渦潮が起こる。潮流は最大で時速20kmに達するときもあり、渦の大きさも30m近くにもなる。「うずしおクルーズ」は、咸臨丸と日本丸の2隻の帆船が交互に出帆している。潮の干満差は季節や時刻によって違うので、観潮の際は同社HPで、潮見表を確認しておこう。
うずしおクルーズ
【DATA】兵庫県南あわじ市福良港 うずしおドームなないろ館 Tel/0799-52-0054 URL/http://www.uzu-shio.com

自然の驚異に感激して、大いにテンションが上がったところで、いよいよ鳴門グルメ旅の始まりだ。この激しい潮流にもまれた鳴門鯛や、潮流が運ぶ豊かな養分で育つ鳴門わかめが代表格。なると金時やカキなどもあり、冬の食材には事欠かない。期待に胸を躍らせながら鳴門へ向かう。

(株)芝原水産

鳴門のワカメは、平安時代の昔から阿波の国の貢物として朝廷に納められたという記録もある、筋金入りのご当地産品


ワカメの太い茎と葉を切り離す「芯取り体験」が親子の体験学習ツアーなどで人気。
ベテランのスタッフさんが教えてくれる。

【DATA】
住所/徳島県鳴門市鳴門町土佐泊浦字大谷58、Tel/088-687-0787、営業時間/9:00~16:00、不定休。芯取り体験は1年中可能(要予約)

海の砂でつくった〝里むすめ〟は甘い!

冬はなんといっても、ホクホクの「なると金時」だろう。なると金時は、砂地の畑で栽培したサツマイモとしてブランド認定されている。形はきれいな紡錘形で、肉質はしっかりとして、上品な甘さが特徴だ。その生産地のひとつ、鳴門市東南部の里浦町を訪ねた。この町で生産されている、なると金時は「里むすめ」という名の一級品だ。

整然と手入れされた畑には、海水を含んだ砂が定期的に運び込まれている。手で掘ると、すぐにポロポロと崩れた。水はけが良く、海のミネラル分をたっぷり含んだこの砂地が、里むすめの美味しさの秘密である。

茎と葉を刈り取り、盛り土の上に顔を出した芋をトラクターで収穫していく。手で掘る「芋掘り体験」は例年8~9月頃実施。お問い合わせは、JA里浦(Tel/088-685-2111)へ
9月に収穫した芋が、2~3か月ほど定温貯蔵されて、12月頃から市場に出回る。なると金時は定温貯蔵することで芋の水分がとび、甘味がぐんと増す

町内の「料亭にし野」では里むすめづくしの料理が食べられるという。その名も、芋御膳だ。コロッケや大学芋は、里むすめのやさしい甘さが印象的。珍しかったのは白和えで、薄く切った芋の感触が新鮮だ。鳴門鯛の刺身の、つまが芋の細切りだったのはサプライズ! しゃきしゃき感に驚いた。さすがに本場だ、こんなにいろんな料理に芋が合うとはね。芋を見直した、いや、里むすめの器量に惚れてしまったと言うべきかな。

料亭にし野


芋御膳は要予約で、2,000円より(季節により料理内容が多少異なる)。ほかにも、鳴門の旬の食材を使った郷土御膳などがある。

【DATA】
住所/徳島県鳴門市里浦町里浦字花面350-11、Tel/088-685-1919、定休/第3月曜日、営業時間/11:00~21:00
URL/http://www.tv-naruto.ne.jp/nisino-ryu/

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目の前は海。波の音を聞きながら豪快に食べる!

いまや、日本国中どこの食べ物でも電話やメールで取り寄せられる時代だが、やはり地元に行かないと味わえないもの、地元ならではの食べ方というのがあるのだ。うまいもんを食べたかったら、産地へ行こう!食いしん坊の旅の醍醐味はそこにある。

ダイナミックな漁師めしは楽しい

鳴門ICから国道11号に下りて、高松方面へ10分ほど走ると海の眺望が一気に開けた。冬の海とは思えない穏やかさで、ここは鳴門海峡の西側、つまり瀬戸内海なのだ。その静かな海をすぐ眼の前に望む一等地にあるのが、海鮮料理の「びんび家」だ。海鮮と言っても高級ぶった店ではなく、一品のおかずがショーケースに並ぶ定食屋だ。漁師料理と言えばいいのか、その量たるや半端ない。天ぷらもブリのカマ焼きもとにかく大きいのだ。名物の鳴門わかめの味噌汁は、大きな汁椀いっぱいにドンとワカメを放り込んである。シコシコしたワカメの歯ごたえに鳴門を満喫した。

旨いのは、もちろん刺身だ。ご主人に聞くと市場を通さず地元の漁師から直接買い付けているという。ハマチ、タイ、ヒラメがおすすめだったが、特に、鳴門の冬場のヒラメは一番だとか。あれもこれもと、おかずを各自が持ち寄ったらテーブルいっぱいになってしまったが、浜で食べる漁師めしのような雰囲気に話も弾み、いつの間にかすっかり平らげてしまった。

鳴門海峡の急流とは打って変わって静かなウチノ海には、カキの養殖イカダのほかにも釣り客用のイカダがたくさん浮かび、釣り舟も行き交う。関西の釣り人に人気のスポットだ
人気店なので次から次に大勢の客が入ってくる。注文を告げる大きな声、厨房の
中の活気が食欲を高めてくれる。人気の鯛めしは毎日炊いているので、予約なし
でも食べられる。
汁よりもワカメのほうが多い! 芝原水産で養殖のお勉強をしたあとだから、ゆっくり味わいながら噛みしめた。磯の風味が楽しめる、鳴門ならではの味噌汁だ

【DATA】
住所/徳島県鳴門市北灘町粟田ハシカ谷20-2、Tel/088-682-0023、営業時間/9:00~21:00、年中無休

鳴門を離れる前に、地元の人に教えてもらったカキの食べ放題に挑戦した。大毛島と向かいの島田島との間の入り江がウチノ海で、ここにカキの養殖イカダがたくさん浮かんでいる。その漁師さんが、季節限定で開いている「かき焼き・うちの海」がその店だ。

10人は座れそうな大きなテーブルの鉄板に、バケツでカキを運んできてドサーッと拡げる。すごい数だ、120個はあると言う。これで4人前だ。あまりの迫力に驚いていると、なんと天井から吊るした大きなステンレスのフタを、クレーンを操作して鉄板の上に降ろした。

そのまま、待つこと15分。フタを上げると、ものすごい勢いで湯気が立ち上った。一瞬にして、カキ独特の磯の香りに包まれる。全員、軍手でカキ殻をつかみ、半分開いた貝を器具でこじ開けながら、ぷっくりした実を次々に頬張っていく。海水の塩分が効いているので、レモンを絞るだけでじゅうぶん。90分食べ放題、カキの追加は何度でもOKだ。なんとも豪快、なんとも愉快な気分にさせてくれる。帰りの車内は、カキの香りが充満! 食いしん坊の、鳴門の旅の締めくくりにふさわしい、幸せな気分に浸った。

カキめしと味噌汁も付いて、お代わり自由。自分の好きな調味料やアルコール類も、持ち込み可。カキ好きにはたまらない。あっという間に、カキ殻が山盛りに
  • かき焼き・うちの海
    【DATA】
    住所/徳島県鳴門市鳴門町土佐泊浦字大毛243-1、Tel/088-687-1361、料金/大人2,500円、小学生1,250円、幼児500円(時間制限90
    分)、営業時間/11:00~19:30(入店)、定休/月曜日、季節営業(11月1日~3月末日まで)/要予約
    URL/http://www.kakiyaki.jp

こんな楽しみも

お土産は鳴門の“天ぷら”

JR鳴門駅近くの商店街にある八木蒲鉾店で「天ぷら」を買って帰った。天ぷらというのは、このへんの呼び方で、一般に言う平天のこと。地元の評判を聞きつけて、最近は観光客も買いに訪れる。行列をしても食べたいという天ぷらを、その場でひとつ食べてみた。すり身がもっちり、フワフワと柔らかい。揚げ油の香ばしさといい、これは美味しい。並んでも買うはずだ、この街に住んだら毎朝食べたい。朝6時に開店してすぐに行列ができ、昼前後には売り切れてしまうので、行くなら早めに。作っているのは、天ぷらとごぼう天、竹輪の3種だけ。


すり身を型ですくい取り、次々にたっぷりの揚げ油に放り込む。ご主人の手の動きは何度やっても全く同じ。均等な量ですくい取っていく


天ぷら・ごぼう天80円、竹輪が90円、と安いのもうれしい

八木蒲鉾店
【DATA】
住所/徳島県鳴門市撫養町斎田字大堤220
Tel/088-686-2680
営業時間/6:00~売り切れ次第終了
定休/日曜日

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