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情報誌「瀬戸マーレ」
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カタマランヨットで青い海の彼方に浮かぶ水軍の島へ

カタマランヨットで青い海の彼方に浮かぶ水軍の島へ

瀬戸大橋の周辺に浮かぶ塩飽諸島の中心、
本島はかつて瀬戸内海で活躍した塩飽水軍の本拠地だった。
今回の旅の目的は、そんな歴史ロマンいっぱいの島を満喫すること。
いざ、現代の帆船で水軍の島へ!

穏やかな瀬戸内の海を滑るように進む

カタマランヨットは、細長い船体を2つ並べてデッキでつないでいる双胴船だ。ライフジャケットを着用して、船に乗り込む。普段、ヨットに乗る機会なんてそう無いから、港を出ると一気に気分が盛り上がる。瀬戸内の海はあくまでも穏やかだ。ゆったりとした海面を、ヨットは滑るように進んでいく。

フロントデッキの椅子に体を沈めて足を前方に思いっきり伸ばした。正面から受ける風が気持ち良い。大きな船では味わえない、抜群の爽快感だ。

瀬戸大橋を走る特急列車が見える。
下から見上げると、さすがにデカイ!

船の舳先に張られた、ネットの上に寝転がってみると、海面はすぐ目の前、左右の船体が波を切る音が間近に聞こえる。時々、しぶきが上がると鼻先に潮の香りがパッと広がった。後ろのほうから船長の「少し揺れますよ」と言う声がして、顔を上げると大きなコンテナ船が遥か前方を横切っていくところだった。軽量なヨットは、ふわっと上下に揺すられる。ネットにしがみついて、思わず声を上げた。周囲からも歓声が上がる。

照りつける太陽は容赦ないが、大きな空と青い海、美しい島影が遠く近くに見えて、なんとも贅沢な気分に浸る。瀬戸大橋の下をくぐると、いよいよ本島だ。ひっそりと小さな港が見えてくる。近づくにつれて、人知れず水軍の本拠に潜入するかのような冒険気分が盛り上がってくる。


ヨットが好きでたまらないといった風情の船長が、ひとしきり航海中の注意点やヨットの構造、この日の海の状態などを解説してくれた。

外洋型のクルーザーで、しかも双胴型なので普通の天候なら大きく傾くこともなく、揺れも少ない。
【瀬戸内海ヨット体験クルーズ】

○本島の笠島港まで片道約2時間の体験クルージング。料金は、半日チャーター料が36,000円プラス乗船人数分の保険代金(680円/1人)。乗船人数16名まで。
帰路は、本島港から丸亀港までフェリーまたは旅客船がある(所要時間20〜35分)。
○同社の体験クルージングは、ほかに男木島、女木島、瀬戸大橋コースなど半日~1日のコースが用意されている。

【DATA】(株)風向

Tel/087(802)2284(予約・問合せ11:00〜18:00)
住所/香川県高松市川島東町293-5
Mail/info@foucault.co.jp
http://www.foucault.co.jp

【本島-丸亀港間の船便】

1日8便(フェリー4便・旅客船4便)運行。所要時間:フェリーで約35分、旅客船で約20分。
料金/片道(大人)550円(子ども)280円
Tel/0877(22)2782[本島汽船]

「島旅気分」が気軽に味わえる、素朴でのどかな島へ!

女木島
【鬼ヶ島大洞窟】

桃太郎が鬼退治をしたという伝説が、本当に思えてくるような迫力ある洞窟。内部には、鬼の人形が並んでいて微笑ましいが、夏でもひんやりと冷気が漂うパワースポットなのだ。港の「おにの館」から洞窟まで、フェリー到着時間に合わせてバスが運行。片道約10分。
料金/大人600円・子ども300円(往復)

【女木島観光の問合せ先】
鬼ヶ島観光協会
Tel/087(840)9055 時間/8:30〜17:00

男木島
民宿さくらの【タコ飯】

「民宿さくら」で食べた、旬の魚がいっぱいのランチ(要予約)。料金/2,160円(税込)。自然の甘みとコリコリした食感のタコが美味しい。タコ飯は事前に有無を確認のこと。港から徒歩5分。
Tel/087(873)0515

【アートの島】

東京のアーティストが島の竹を使って制作した作品を展示している「アキノリウム」など、空き民家を活用したアートの試みが楽しい。

【男木島観光の問合せ先】
男木交流館
フェリー乗船券、島の土産物などを販売。観光相談もできる。Tel/087(873)0006
時間/9:00~17:00 休/無休

【女木島・男木島へのアクセス】

両島への船便は、高松港から1日6便(夏期=8月1日~20日は臨時便も運航)
Tel/087(821)7912[雌雄島海運(株)]

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本当に脈々と流れている壮大な歴史物語。

塩飽諸島の周辺は潮流が複雑で、
古くから航海には水先案内人が必要とされた。
塩飽水軍の起源はそのあたりにあるのだろうか、
潮の流れを熟知した塩飽の人々は巧みな操船技術を見込まれて、
戦国武将たちの天下取りの争いの影の主役として活躍した。

海上交易で築いた莫大な富を誇っていた

ヨットを降りて、笠島港に上陸した。笠島地区には、江戸時代から明治期に建てられた家屋が30棟以上も残っている。路地は敵の攻撃に備えて、少し歩くと突き当たるように出来ていて、直線で見通せる箇所は少ない。道路脇の側溝や民家の礎石は、島で採石される立派な御影石だ。整然と組まれた石壁が美しい。京町屋のような千本格子の家など、まるで時代劇の舞台に迷い込んだような不思議な感覚にとらわれる。

塩飽水軍は信長、秀吉、家康という時の最高権力者の信頼を得て、朱印状により領地を保証されていた。そして、島の代表である4人の「年寄」が周囲の藩とは関わりなく、独立した一種の自治国家を運営していたという。江戸時代には幕府の御用船方として、米や物資を運ぶ一方で、みずから塩飽廻船を建造し、最盛期には470余隻も保有して交易を行った。塩飽水軍は時代の変化に対応して、海上交易集団へと変貌を遂げていたのだ。


本島には親子千本出格子窓の民家がたくさんある

歴史の大きな節目に登場し、活躍した塩飽の人々

塩飽勤番所には、塩飽諸島の膨大な歴史資料が保存されている。瀬戸内で海賊が横行した中世、武力抗争の戦国期、経済発展した江戸時代など、歴史の大きな節目に塩飽の人々が重要な役割を果たしていた。さらに、江戸から明治にかけて塩飽の船大工が各地で貴重な寺社建築に携わり、幕末には遣米使節を乗せた咸臨丸を塩飽の水夫が操船したことなど、知れば知るほど塩飽の歴史の奥深さに驚くほかなかった。この静かで小さな島に、まだまだ幾多の歴史物語が埋もれているようだ。


本島の石は大阪へ運ばれて、大阪城の石垣に使われた

焼き杉板の黒い壁は、潮風の塩害から家を守るためのもの

絶大な権力を持っていた「年寄」の墓は、こんなに大きい!
塩飽勤番所

塩飽諸島を管理していた4人の「年寄」が、交替でこの勤番所で執務した。重要な案件は合議制で決めるなど、自治制度が確立していた。

朱印状。

貴重な歴史資料を展示。

塩飽諸島と高松藩とで漁場をめぐって争いがあり、この時に幕府が定めた漁場の境界線が描かれている。

江戸幕府から授与された朱印状は、木箱に納められ、さらに耐火性に優れた石造の箱に入れて勤番所の蔵に保管されていた。
塩飽大工

塩飽では廻船による交易と造船が主要な産業だった。造船で鍛えた塩飽の船大工は、船の仕事が少なくなると、西日本各地に出て行き、民家の建築や寺社建築に腕を振るった。備中国分寺の五重塔、善通寺の五重塔なども塩飽大工がかかわっている

【吉田邸】

塩飽大工が手掛けた、築100年の古民家。 上/廊下の天井は手の込んだ数寄屋造り。 左下/刀のツバを埋め込んだ欄間。右下/ふすまの奥の隠し階段など、塩飽大工の技と遊び心がうかがえる。
料金/大人200円、小人100円 休/不定  Tel/0877(27)3320
【やかた船】

築140年の古民家を利用した民宿。 上/近くにある別棟は築210年。路地の形に沿って屋根を斜めに刻んでいるので、屋形船のように見える。 下/新鮮な島の食材を使った家庭料理が楽しめる。
◆宿泊(要予約)は、1泊2食付8,500円(税込)から。昼食だけの予約も可(1,500円から)。  Tel/080-3886‐9819
【三所神社・本殿】

島内一の腕前と言われた塩飽大工のみごとな彫刻が残る。
【千歳座】

木烏神社境内に、築150年の芝居小屋が残る。回り舞台など装置も精巧に造られているが、内部は現在、見学不可。
【正覚院】

真言宗醍醐派の大本山。庫裡の正面を飾っている精巧で豪快な彫り物は、塩飽大工の作品の中でも第一級のもの。
塩飽本島観光ガイド

島内を案内してもらったのは、塩飽大工の研究をしている三宅さん。島おこしのために現在3人の観光ガイドが案内を買って出ている。ガイド料は、人数に関係なく2,000円(2時間ごと)で、これは本島観光振興のための協力金に充てられる。
予約・問合せ0877(27)3222、本島コミュニティセンター気付「塩飽本島観光ガイド」まで。
Mail:shiwakuhonjima@gmail.com

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