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「美術館に行こう。」-私の美術館体験記 応募作品のご紹介

大阪市 伊藤さん(女性)

2017年4月8日

青春18きっぷを買った。東京から大阪まで、普通電車を乗り継いで帰ってきたという友人に触発され、何だか楽しそうで、行き先も決めずに買った。どこへ行こう。昨年、行きたいと思いながら行かなかったところが良い。

そうだ、四国に行こう!そうそう、久し振りに丸亀市猪熊弦一郎現代美術館に行こう!併設のカフェのランチが美味しい。月替りの「いのくまの昼飯」を食べに行こう!「いのくまの昼飯」は売り切れていた。その代わりに選んだのはたっぷり野菜のライスグラタンだ。こちらも美味しい。ゆったりとした店内の雰囲気も好きである。猪熊弦一郎ゆかりの作家イサムノグチのインテリア、同時代のデザイナーの家具・・・大変、大変、ここで時間を費やしては展示を観る時間が無くなってしまう。

開館25周年を記念したコレクション展を鑑賞した。過去の展示で感銘を受けた作品がずらりと並ぶ。石内都の桐生の銘仙の写真、須田悦弘の見落としてしまいそうな木彫の雑草、杉本博司の水平線・・・以前は転勤族だったから、時には広島から、福山から、岡山から、鳥取から、ここを目指した。瀬戸大橋線を走るマリンライナーに乗り、非日常の世界に出発する。丸亀駅南側に降り立つと、黄色や赤色のオブジェが見えて、猪熊弦一郎の壁画に心が躍る。近付いて、やっと、小さな入口があるのに気付く。設計した谷口吉生によれば、茶室をイメージしたそうだ。館内は広々として、自然光がふんだんに取り入れられているのが特徴。振り返ってみれば、いつも、少しだけ現実を離れてのんびりしたいとき、ここに来ていた。猪熊弦一郎の明るい色彩、子どものような好奇心、現代美術というジャンルの各作家の型にはまらない発想に、自然と私のこだわりがなくなる。

そして、うどんを食べて帰る。丸亀駅の近くで、坂出駅の近くで・・・
マリンライナーが瀬戸大橋を渡っていく頃には、新しいアイデアが浮ぶ。明日は、それを試してみようと思う。

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館

広島市 重藤さん(男性)

2016年9月20日

東山芸術の集大成・唐招提寺障壁画全68面が広島初公開との触れ込みに惹かれ、「東山魁夷-自然と人、そして町」という展覧会を広島県立美術館で鑑賞してきました。

東山魁夷画伯については、日本画の巨匠とか、戦後の日本を代表する国民的画家とか形容されていますが、今回の展覧会を観覧して改めて納得させられました。

また、これまでも市川市東山魁夷記念館や香川県立東山魁夷せとうち美術館などで、東山画伯の作品を数多くみてきましたが、このたびの観覧では、本格的な回顧展として初期の作品から絶筆となる「夕星」まで、詩情豊かな精神世界を思う存分に堪能することができました。

折しも広島市内では、現在、ひろしま美術館で「川端康成 珠玉のコレクション展」が開催されており、親交のあった東山画伯の「冬の花」(習作)や「北山初雪」などの作品をみることができます。

さらに、広島市現代美術館では「1945年±5年 戦争と復興:激動の時代に美術家は何を描いたのか」が開催されており、「戦時下の乙女」が出展されており、3館合わせて観覧することにより、東山画伯のひととなり、時代や社会との関わりなど、より多面的な理解が可能になるのではないかと思います。

さて、広島初公開となる唐招提寺の障壁画ですが、“素晴らしい”の一言につきます。およそ10年の歳月を費やして完成させたとの由、美術鑑賞の醍醐味を十分体験することができました。とりわけ今回の展示では、まるで実際の堂内で拝観しているかのような設え、照明等が施されており、東山画伯の鑑真和上への想いを込めた作図の意図がより一層感じられるよう工夫されていました。

ところで、広島県立美術館を訪れた時の楽しみは、関連プログラムが数多く開催されており、こうしたプログラムを合わせることにより、一層充実した美術鑑賞ができることや、国内の美術館の中でも最大級の規模と思われるミュージアムショップでお気に入りのグッズを見たり買ったりすることです。このショップは地元の老舗デパートが運営しており、広島ならではのグッズも多数揃えており、来館時の必見スポットになっています。

なお、美術鑑賞後に、隣接の広島藩主別邸の庭園だった縮景園を散策し、四季折々の季節を感じることができることもこの美術館の大きな魅力の一つとなっています。

広島県立美術館

広島市 宮原さん(女性)

2016年7月24日

「橋を渡って親子でアート鑑賞」。娘が小学校で配布された一枚の広告。母親である私の手が止まった。バスツアーがワンコインで、しかも親子で一緒に行ける。行き先は広島を代表する平山郁夫美術館。早速、娘に聞いてみた。しかしながら返事は「行かない」。娘にはただ絵を眺めるだけの行程は魅力がないようだ。

しかし、ここで母は策を練る。娘はただ、なんとなくで言っているに過ぎない。本当の価値は大人が教えるものである。母の案は娘のお友達を誘う事だった。それを伝えると、いとも簡単に進んだ。「行く」。娘の中で、途端に白黒のイメージがカラフルに彩られた。

その日は快晴。外界はいかばかりに暑いであろう中、空調の効いたバスは快走した。

瀬戸内らしい緑の木々のトンネルを抜け、白く青空にそびえる橋を渡ると、本当にあっという間に美術館へ着いた。この景色が平山郁夫の絵に盛り込まれるのだが、娘は見ただろうか。お友達とのおしゃべりに夢中である。

平山郁夫美術館は実に三十年振り、小学生以来である。子どもの頃は、知らない土地に思いを馳せる事など、至難の技であったのだが、この年齢になるとなるほど、あたかも目の前に絵の中の異国の建物や人物が、今そこに佇んでいるようである。更に自分が知っている瀬戸内に架かる橋が夜景にある様などは、見ている内に橋のライトや星までが、次第に瞬いて私に迫ってきた。

腕の良い描写は写真と変わらないと聞いた事がある。私には正確過ぎる絵を描くなら、写真で良いではないかという意味に聞こえた。それ以来、正確な描写と写真との境界線が、私の中ではあいまいだった。

ところが今回、生きて息づいた絵を観る事ができた。絵の中から風が吹いてくる様だ。

最も平山氏は若い頃、空腹を紛らわす為に描いていたという事だから、観る者に訴える意図は無かったかもしれない。しかし絵は息をしている。本物だった。

娘の方は、いささか目的を見失ってきたようなので、ガイドの機械をレンタルした。同じような年の頃に描かれた絵に感心したようだ。今はそれで良いのかも知れない。今後目にする事柄を、今回の本物と比べれば良い。

次の目的地の今治市大三島美術館では、アートのワークショップがあった。母は少しホッとしていた。黙ってじっとしていなくても大丈夫だからである。一通り館内を巡り、ワークショップに参加する。色々な素材を好きなように組み合わせ、プロジェクターで拡大し、大きな白い紙を木に見立て、素材を投映して一人ひとりの作品を皆で見る。簡単で館内も汚す事なく、全員参加でき、満足のいく、行き届いた素晴らしい活動だった。素材の入った透明な袋を美術館の窓ガラスに貼ると、これがまた外の木々の緑を透過して、雨粒にも似た美しい模様になった。

そしてここで、娘には嬉しい事に、絵を寝転んで観るように職員の方に勧められ、全ての絵を自由に観る事ができた。アートとは自由なんだと伝わった瞬間だった。喜々としてお友達と一緒に、何でも有りとばかりに雄々と観ていた。連れて来て良かった、そう思えた。

今回、娘は本物の絵を目にし、自由な見方も教わった。何より大好きなお友達と一緒に、楽しい思い出もできた。私自身、娘の良い笑顔と素晴らしい絵も見せて頂いた。バスレクやツアー行程など、良い思い出になるよう心を砕いて下さった方々に感謝である。多勢の方々が関わり、協力して頂いた事に、娘はいつ気付くだろうか。

娘にまた一つ、未来の種を植えた。芽が出るか花が咲くかわからないが、待っている今が一番楽しい。真っ白なキャンバスに、思う存分、自分を彩ってほしいと思うのである。

平山郁夫美術館 | 今治市大三島美術館

土佐市 田村さま

訪問日:2016年5月29日

以前から岡山市立オリエント美術館に興味があり、今回ようやく訪れることができました。この美術館は岡山カルチャーゾーンに位置し、周囲に他の美術館や博物館、岡山城や後楽園も存在するので、美術鑑賞を趣味としている人や観光に訪れる人にとって大変良い環境であると思います。

オリエント美術館では日本の工芸についての特別展「日本工芸の100年~ペルシアの記憶から現代まで」が開催されており、オリエント美術工芸が日本の工芸に与えた影響が詳しくわかる展示になっていました。私は備前焼が好きなので、備前焼の展示は一度見た後ももう一度戻ってきて鑑賞しました。一見関係がなさそうに思われる日本の工芸とオリエント美術工芸も深いところで関わりあっているということが分かり、とても良い企画でした。

特別展も良かったのですが、主に1階に展示されていたレリーフ等の古代オリエントの資料が興味深く、石版のアルファベットや人物・動物の図像に悠久の時の流れを感じて大変心地よいひとときを過ごせました。また、2階にはオリエントの衣装を体験できるコーナーもあり、自由に着たり触れたりできたので楽しめました。今回私は行かなかったのですが、2階の喫茶室ではアラビックコーヒーなども味わえるということで、訪れる方は飲食の面からもオリエント文化を楽しんでみたら良いかと思います。

ミュージアムショップにも異国情緒あふれるお土産が揃っており、色々と迷いましたが、「岡山市立オリエント美術館」を意味するヒエログリフが図柄になっているマスキングテープを購入しました。高知に帰ってきた今も時々取り出しては美術館のオリエントの資料を思い出しています。

岡山市立オリエント美術館は洗練されており、展示物もゆっくり見て回れる素晴らしい美術館です。受付の方も大変感じがよく、今回は他に予定があり多少急ぎ気味に鑑賞したので、また別の展示を行っているときにもう一度訪れたいと思います。

岡山市立オリエント美術館

倉敷市 三宅さま(男性)

訪問日:2016年5月26日

岡山県のジーンズについては、児島(倉敷市)が「国産ジーンズ発祥の地」、井原が「ジーンズのふるさと」としてクイズ番組などでも紹介されているので、みなさんご存じのことかと思います。井原地域は古くから繊維産業のたいへん盛んな地域です。

華鴒大塚美術館は、その井原・福山地方を拠点に繊維・電子関連の企業活動を展開するタカヤグループが設立した美術館です。美術館名の「華鴒」(かれい)は、織物事業で生産していた備中小倉織の商標に由来するそうです。

今回、初めてこの美術館を訪れましたが、ちょうど「ふろしき原画 包むための絵」という企画展が開催されていました。繊維産業つながりなのでしょうか、風呂敷の製造卸の老舗「宮井」(京都市の会社)の所蔵品のうち、原画88点と風呂敷29点が展示されていました。「宮井」は日本画家に原画を依頼して、その原画をもとに芸術性の高い風呂敷を製造してきたそうです。

せとうち美術館ネットワークでもお馴染みの日本を代表する画家の作品を見ることができました。たとえば、小野竹喬(笠岡市立竹喬美術館)、東山魁夷(香川県立東山魁夷せとうち美術館)、池田遙邨(倉敷市立美術館)が風呂敷の図案を描いていたことは驚きでした。

風呂敷には構図パターンがあり、使う人のことを考えて図案を描く必要があるそうです。物を包んだときにどのように見えるかまで考慮に入れるとすれば、大変だなあと思いました。

展示品の風呂敷は、実際に箱や瓶を包んだ状態で展示されていました。包み方にも「お使い包み」「花びら包み」「合わせ包み」「うさぎのしっぽ包み」など、いろいろな名前がつけられています。用途に合わせた包み方があるものだなあと感心しました。

二次元の名画(原画)と、風呂敷として物を包んだ三次元の状態で対比的に展示されていることが新鮮でした。名画が風呂敷という日常品になって、私たちの生活に溶け込んでいる伝統文化はたいへんすばらしいと誇らしく思いましたが、同時に、現代の私たちの生活に風呂敷を使う機会がめったにないことを申し訳ないようにも感じました。

展示作品の他に、日本庭園が見ごたえがあります。また、「はなとり展示室」と名付けられた部屋は、靴のまま入ってもいいのかなと戸惑うような和室っぽい展示室でした。これらも華鴒大塚美術館の魅力だと思います。次回は常設の日本画を目当てに、とっぷり和のテイストに浸りに来館したいと思っています。

華鴒大塚美術館

応募作品目次

徳島県

香川県

愛媛県

高知県

  • 高知県立美術館
  • 香美市立美術館
  • 香美市立やなせたかし記念館(アンパンマンミュージアム&詩とメルヘン絵本館)
  • 北川村「モネの庭」マルモッタン