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「美術館に行こう。」-私の美術館体験記 応募作品のご紹介

美術館体験記 広島県・広島県立歴史博物館 写真

松山市 桧垣さん (男性)

訪問日: 2014年8月14日

中学校の歴史の教科書に中世の村の再現として草戸千軒の写真がのっていたのが頭の片隅にありました。
「草戸千軒」という変わった地名とともに覚えていたようです。福山城を見ようと今治からレンタサイクルを借りて尾道まで行きそこからJRで福山へ行きました。駅からあまり近いのでびっくりしました。こんなに駅から近い城は始めてです。
城へ行こうと思って公園内に入ったら、ふくやま草戸千軒ミュージアムがあったのです。
入場券を買って一階に展示していたのが「近世文人の世界-神辺に花開いた文化-」だったのです。入口を入ってすぐの部屋に『廉塾』と呼ばれた私塾(学問所)を紹介するビデオがあり思わず見入ってしまいました。岡山にあった旧閑谷学校と共通する庶民にも開放した先進的な塾だと思いました。しかも生活しながら学ぶというのもすごいと思います。
展示の説明が茶山自身が語るように書かれていて子どもたちにもわかりやすいよう工夫されていて感心しました。
また、入口に置かれていた展示資料一覧の記述も明確で資料名、作者、時代、形状、備考と至れりつくせりですばらしいです。
ふんふんとうなずきながら見学できました。人が人を呼ぶというか庶民も含めたさまざまな階層の人々を受け入れた塾のうわさを聞いて、多くの人が訪れたようですね。
漢詩といえば頼山陽が有名ですが茶山との交流があったこともわかりました。
文書類はよくわからず飛ばしましたが絵画関係では谷文晃、呉春、池大雅、亜欧堂田善らは江戸時代の美術史に登場する画家で、茶山は彼らとの交流もあったことがわかりました。
あと印象に残ったのが瓦を利用した硯や、古いアイヌの工芸品、多賀城の拓本なので、茶山の巾広い興味と人間関係を知ることができました。
そんなに大規模な展示ではありませんでしたが、何か豊かな気持になることができました。ありがとうございました。

広島県福山市 伊藤さん(女性)

2012年11月4日

「考古学と伝統工芸-今に伝わる広島の伝統工芸-」と題する秋の企画に興味を覚えて出掛けた。考古学と伝統工芸はどうつながっているのだろう。

最近の企画では、A4サイズの解説シートが用意されていて、これを読みながら展示を観ることもできるし、家に帰ってからゆっくりと読み返して理解を深めることもできる。大変役に立っており、ありがたい。今回のこの企画の解説シートの冒頭に、ごあいさつとして「考古資料は,過去の社会や文化を復元する貴重な素材であるとともに、陶芸や漆芸・木竹工・金工など現代に受け継がれてきた伝統的な工芸の原点ともいえます。」とある。

なるほどと思いながら展示室に足を進めると、まず縄文時代草創期の深鉢形土器から弥生時代のもの、福山市草戸千軒町遺跡から発掘された瓶子、桃山時代の備前焼の水指、江戸時代の姫谷焼の小皿などが時代順に12点並べられている。これだけ凝縮して代表的な資料を並べられると、時代による変遷が単純化されて分かりやすい。以降、木器・漆器、七宝、人形、金属器・その他の分類で資料の展示が続く。正倉院宝物の復元の螺鈿箱や明治時代に作られた七宝の花瓶は、それだけを鑑賞しても今日は来て良かったと思うほどの美しさである。

それに続いて、金城一国斎、六角紫水、清水南山と広島県立美術館所蔵の近代広島の工芸品が目に入ると、親しみを感じ、また、ああ先程の資料がここにつながってくるのだと腑に落ちる。

そして現代の広島の伝統工芸作品。織部焼という様式を用いながらそのデザインはすっきりモダンな作品、高層ビルを想起させるような一方で優しい植物をも感じさせるような作品。これらも、元をたどっていけば土器に行きつく。言われてみれば土偶は現代の人形につながっている。

全体の展示資料や展示作品はそれほど多くなかったが、その分ゆっくりと展示室を先に進んだり戻ったりしながら見比べ鑑賞することができた。

新しい提案をしてくれる企画は刺激になって面白い。

広島県福山市 伊藤さん(女性)

訪問日:2012年7月21日

昨年4月,13年振りに福山に居住することになった。まだ就学前だった息子と,ふくやま美術館や広島県立歴史博物館を訪れたことを思い出す。 

今度は,夏の企画展「菅茶山と化政文化を彩る7人の巨人たち-菅茶山とその世界Ⅳ-」を鑑賞した。

教育は国の根幹を成すものである。しかし,画一的であっては,変化に対応し,新しいものを創り出す力は育みにくい。そういう視点で,日本の寺小屋や私塾には,興味関心を持っている。とは言うものの,黄葉夕陽村舎(後の廉塾)を主宰した菅茶山については,その実像を知らないままできた。この企画展で,菅茶山が当時随一の詩人であったこと,化政期の江戸に遊学した経験があること,松平定信や伊能忠敬らと交流があったことを知った。地方にあっても,その実力が,自然と全国の知識人,文化人との交流を引き寄せたのであろう。現代にも通じるものと思う。

次の企画を楽しみにしている。

倉敷市 原さん(男性)

訪問日:2012年4月10日

4月から「せとうち美術館ネットワーク」に新たに参加された広島県立歴史博物館に行ってみようと、ふくやま美術館を訪れた際に、その場所を尋ねたら「目の前の建物ですよ!」と微笑みながら教えてくださいました。広島県立歴史博物館は、一階では春の展示として「平清盛の時代と瀬戸内海」を行っていました。

NHKの大河ドラマの「平清盛」で話題になっていることもあり、絵巻や屏風等とても興味深く見入ってしまいました。二階は、常設展でしたが、「草戸千軒の再現」には驚きました。船着場や市場、鍛冶屋や塗師屋、足駄屋が、実物大で再現されており建物の中には、お膳や煮炊きまで揃っていて、まるで人が住んでいるかのようでした。常設展の中で印象的だったのは、通史展示室の「かぞくでクイズ」です。クイズ形式で、観てきたことを再確認できる素敵な催しで、博物館の観覧者に対する”思いやり”を感じました。是非、もう一度、訪れたい博物館でした。