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「美術館に行こう。」-私の美術館体験記 応募作品のご紹介

美術館体験記 兵庫県・姫路市立美術館 写真

姫路市 板東さん (女性)

2014年5月17日

もうすぐ3歳と、0歳の2児の母です。
独身時代は、美術館や博物館が大好きで、よく一人で出かけていました。
でも、子供を産んでからは、そういった施設から遠ざかってしまいました。
今回、たまたま招待券をいただいたので、長女も大きくなってきたし、思い切って行ってみようと決心して出かけました。
子どもには、美術館は退屈だろうと思い、事前に、隣にある動物園で思いっきり遊ばせました。
計画では、遊び疲れてベビーカーに寝てから、美術館に入るつもりでした。
次女は、早々に寝てくれました。
長女の方も、ベビーカーでうとうとしだしたので、しめたっ!と思い、そのまま美術館にいきました。
久しぶりの美術館。静かで、澄んだ空気がとても懐かしく、わくわくしてきました。
ところが、展示室に入った途端、長女がぱっちりと目を覚ましてしまい、ベビーカーの中からあたりをきょろきょろし始めました。
どうなるかなと、一瞬ひやりとしましたが、幸い周りの静かな様子を感じ取ったのか、本人も騒がず、静かに座っていました。
それどころか、私がひそひそ声で夫と絵の感想を言い合っていると、「し~っ!」というように、口元に指を一本立てて、私たちに注意してきました。
まだ2歳なのに、長女の方が美術館上級者のような態度でした。
長女と一緒にゆっくりと鑑賞をしていくと、私の大好きなルネ・マグリットの作品たちにたどり着きました。
私がじっと作品を鑑賞していたので、長女もそれをまねたのでしょうか、一緒にじっくりと絵をみだしました。
そして、「あっ、りんごあったねぇ。鳥がいるねぇ。」と、つぶやいていました。
私も「そうだね。」と返事をしていました。
その中で、『魅せられた領域』と題された作品を見て、長女が「かんべい君や。」とつぶやきました。
それは、頭が鳥かごになった男の人と、その横に花輪をつけたライオンがすわっているという絵でした。
長女には、鳥かごの上にかかっている男の人の赤いマントの形が、今、大河ドラマでしている『黒田官兵衛』のお椀型の兜に見えたようです。
マントがマントにしか見えない私と違って、絵を何の偏見もなく素直にみた子どもならではの感想だと思いました。
同時に、子供にとっての美術館は、作品がおいてある非日常の空間ではなく、日常の延長にある場所だと感じました。
子供の面白い発想に刺激されて、いっそう楽しみが増した美術館でした。
これからは親子で美術館めぐりをしてみようと思います。

広島県福山市 伊藤さん(女性)

訪問日:2012年12月16日

姫路駅を北に真っすぐ進むと姫路城である。お堀に沿って東側を回り込むように更に北に行く。ツイィー、イー、イー、ツイィー、イー、イーと鳴くのはヒヨドリか。鳥のさえずりを聴きながら歩くと、正面にレンガ造りの大きな建物が見えてくる。姫路市立美術館だ。リーフレットによると、戦前は陸軍の施設として、戦後は姫路市役所として長く使われたそうだ。10時の開館まで20分ある。建物の前の広々とした庭園に規則正しく設置されている彫刻を一つ一つ観て回った。高木樹から雨のように枯葉が落ちていくのも趣がある。

今日は「象徴派-夢幻美の使徒たち-」の最終日であった。象徴派と言えば、まずはギュスターヴ・モロー。その絵の隣はシャバンヌではないか。島根県立美術館の所蔵である。これまでに鑑賞したことがあるのは、オルセー美術館と国立西洋美術館がそれぞれ所蔵している「貧しき漁夫」である。シャバンヌに出会えて嬉しく思った。

今回、ルドンを始め、1人の画家の作品も一つ二つと言わず鑑賞できて、その画家の今まで知らなかった一面に触れることができたのは、収穫であった。クノップフの「天井画-絵画、音楽、詩歌」などはそれだ。また、ひろしま美術館所蔵のゴーギャンの「ブルターニュの少年の水浴(愛の森の水車小屋の水浴、ポンタヴェン)」は、同美術館でいつも観ている作品であるが、ゴッホの隣で観るいつものこの絵とは違った印象であった。「印象派のように色や光をとらえるタッチが見られるが、やや俯瞰的な視点で遠景、中景、近景をパッチワークのように組み合わせ、装飾的な方向をめざそうとする意図もうかがえる」との説明があったからかも知れない。以前「この絵は、ゴーギャンらしいでしょ?」と尋ねられて、何をもってゴーギャンらしいというのか明確ではなかったが、少なくともタヒチを描いたような色鮮やかで平べったい感じの絵とは違うという意味で違和感を覚えたことがあった。改めて、そのような描き方に到達する前の段階というとらえ方をすると、確かにやや平べったいと言えるのかも知れない。絵は鑑賞の度に違って見える。

最後に、この展覧会が日本で所蔵されている作品ばかりで構成されていることに触れておきたい。特に岐阜県立美術館には是非行ってみたいという感想を持った。

岡山県倉敷市 原さん(男性)

訪問日:2012年5月10日

倉敷から約100kmの長距離ドライブになりますが、今回の目的は、姫路市立美術館で開催中の「麗しき女性の美」展を鑑賞することでした。連休中は、混んでいるからと思い平日にしたのですが、美術館のまわりには、美術館を対象に絵を描いている人が5~6人はいたと思います。近辺に住む人たちの美術に対する意識の高さと美術館の外観の美しさに感心しました。

「麗しき女性の美」展では、パンフレットに記載されていた日本画壇の巨匠たちの名画を十二分に堪能することができました。特に、上村松園、北野恒富、堂本印象らの着物や帯がらの美しさは、秀逸で、しばし絵画の前で立ち尽くしたほどです。常設展は、展示数自体は多くありませんでしたが、マネ、コロー、ドガ、ルドン等有名画家の作品がほとんどで見ごたえは、十分でした。

美術館鑑賞の後は、すぐ隣の姫路城:天空の白鷺を観光し、少し遠かったけどそれだけの価値ある素敵な思い出になりました。

姫路市 矢代Kさん(女性)

訪問日:2010年8月30日

窓を開ければ国宝・世界遺産の姫路城を仰ぐ家に生まれ、育ち、嫁いでもなおすぐそばで暮らしています。

広大な緑の庭園を囲む赤レンガ造りの姫路市立美術館は、姫路陸軍兵器支廠(のち第十師団兵器部)として建築され、戦後は姫路市役所となり、後に美術館として保存利用されています。姫路城、好古園、美術館、県立歴史博物館、そして、少し離れていますが西の高野山と言われる書写山圓教寺が私のふるさと自慢です。

このたびはNHK日曜美術館でも紹介された「酒井抱一と江戸琳派の全貌」に展示替えのたび3度訪れました。特に印象的なのは、白い闇に黒い月と薄が映える「月に秋草図屏風」、赤と緑の楓の対比が美しい「青楓朱楓図屏風」、そして、通り雨に濡れる夏草と秋草を吹き抜ける一陣の風を描いた「夏秋草図屏風」、あまりの素晴らしさに呆然と立ち尽くしてしまいます。抱一の、はかなく優美な「粋」の美学。ぜひ姫路市立美術館にお越しください。

姫路市 矢代さん(女性)

訪問日:2010年8月30日

今回は「生誕250年記念展 酒井抱一と江戸琳派の全貌」の特別展を見に行きました。

これほど多くの酒井抱一の作品が見られる機会もそうそう無いくらい次々と作品を鑑賞でき、行ってみて本当に良かったと思いました。シンプルで洗練された色遣いや構図は秀逸でした。また、抱一の作品だけでなく兄の宗雅、弟子の基一の作品もたくさん見ることができ、江戸琳派の一時代を感じることが出来ました。

会期が違ったため今回の目玉の一つである「夏秋草図屏風」は見られませんでしたが、それでも十分に酒井抱一の作品を堪能することが出来ました!

姫路市立美術館は、國富奎三コレクションで構成された常設展でも有名画家の作品が楽しめます。その上、美術館の庭には複数の彫刻作品があり、そもそも美術館そのものが赤煉瓦のモダンな建物なので、写真撮影のペストスポットでもあります。(姫路城も一緒に撮ることが出来ます)

是非お散歩がてら訪れてみてください♪

岡山市 松成さん(女性)

訪問日:2010年8月21日

姫路市立美術館へ行ったのは良く晴れた夏の日だった。美術館に向かう並木道の緑は、陽の光を浴びてキラキラ輝いていた。

その景色の中、城下街姫路に異国情緒溢れる煉瓦造りの美術館はあった。正面玄関に向かい左右対称に広がる赤れんがのシンメトリーな構造物の姿は白鷺が羽を広げた形と謳われた姫路城に引けをとらない。

美しく整備された芝生と所々に設置された存在感のある彫刻も見物だ。折しもその時のイベントは「フランダースの光~ベルギーの美しき村を描いて」。

そこには太陽の光に育まれ豊かな実りに恵まれた温もりの伝わる世界があった。ベルギーの村を慈悲に満ちた眼差しで美しく描き上げた画家達の感性が伝わってきた。

緑輝く光の中で吸い寄せられるように歩いて来たこと自体がまるで複線だったかのようだ…。遠い国ベルギーに思いを馳せ、美術館を後にした。