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「美術館に行こう。」-私の美術館体験記 応募作品のご紹介

美術館体験記 兵庫県・兵庫県立美術館 写真

兵庫県神戸市 塩見さん(女性)

訪問日:2021年6月5日

私が初めて美術館に行った日。あの日の感動は忘れられません。
これはもう何年か前の話で、私が中学一年生の時でした。
その時あまり話したことがなかったけれど、なぜか遊ぼうとなった同級生に美術館にいこうよ、と私が誘ったことがきっかけで、二人とも慣れない中インターネットでチケットを取り、初めて美術館に行ってみました。
その時行ったのはコシノヒロコ展、と言ってコシノヒロコさんが手掛けた数々の洋服や絵画、他にもいろいろな物が展示されており、どれをみてもワクワク、ドキドキする、素晴らしい作品展でした。迫力があるコシノさんの作品にどれも目を奪われ、そんなに仲良くもなかった同級生と一気に仲を縮められた良い時間でした。
中でも私は特に印象に残っている作品があります。それはコシノヒロコさんが自分で自分を書く、いわゆる「自画像」を見たときです。
大抵の日本人は、肌が白く、夏はこんがりと焼け小麦色ですが、緑やピンクにはなりません。ですが、コシノヒロコさんの自画像は、青や緑、ピンクや黄色など、とても色とりどりでカラフルな物でした。
コシノヒロコさんの他にも妹さんのコシノヨウコさん等も描かれていましたが、どれも目を奪われるような物ばかりで、そしてどれも凄く、カラフルで楽しい絵でした。
しかし、その絵を見たとき、同時に私はなんだか悲しい気分になりました。
「コシノヒロコさんは自分がこれだ!と思った色を使って、こう書こう!と思った絵を書いているんやろうけど、うちにはそういうのが全然ないな。」こんな風に感じたからです。
私は、その頃中学に入学したばかりで毎日とてもつまらなく、学校にいっても帰りたいな、いつ帰れるんかな、そんなことばかり考えていました。友達も全くできず、クラスの雰囲気にもなかなか馴染めませんでした。それに私は昔から、明るいね、元気やね、楽しい人やね、そんな風に言われるようなタイプだったのですが、なかなか自分の殻が破れず、自分を自分で抑えて皆に合わせているような感じでとてもつまらない日々でした。
中学校に入学したばかりで小学校とはどこか違う雰囲気に違和感ばかりが募って、嫌われないように、これをしたら皆にどう思われるんやろう、そんなことばかりを意識していました。でも、コシノヒロコさんは全くそんなことありませんでした。自分が描きたい絵を描き、作りたい服を作る。なんだかそうゆう信念みたいなものが感じられて、私もそうゆう風になりたい!と自然に思わされました。
そこからは自分らしさをさらけ出し、私の明るくて元気な性格を全面に出していきました。そうすると、だんだん友達もでき、今では親友みたいな存在の友達もできました。私の考え方を180°変えてくださったコシノヒロコさんには感謝しかありません。
そして作品をみて心動かされる、その感動心を味わせてくださり、本当に嬉しい気持ちでいっぱいです。
また、芸術作品に触れることは常に感動心が満たされている状態だと思います。
初めて見る絵画、作品、よくわからない絵もありますが、どれも背景には作者の思いが込められています。
これを中学校入学したばかりのまだまだ未熟な私が感じることができて本当によかったなあ、と思います。
これからも、そういう所に注目して、これからもたくさん絵画に触れていきたいです。

香川県高松市 鈴木さん(男性)

訪問日:2013年10月6日

「この券私もう1枚あるから、どうぞ使って。」と入場券を買い求めようとしていたちょうどその時、後ろにいた男の方から招待券をいただいた。お礼を言う間もなく、その方はすっとその場を立ち去っていかれた。何とありがたいこと、橋本関雪展を心待ちにしていただけに、うれしさが倍増した。

入口で解説レコーダーを借り、早速会場へ。まずは関雪が若い時から絵が上手なのに驚いた。数々の名品の中、私は一匹のボルゾイの犬の前に立ち尽くした。毛並み1本1本、極めて繊細な描写、実によく観察している。鳴き声まで聞こえてきそうだった。レコーダーを何度もリピートしながら、作品に見入ってしまった。家で犬を飼っていることもあり、一層作品に親しみを感じた。また、関雪をしのぶビデオの中にボルゾイが登場し、犬と戯れている彼の姿を見ることができた。「ああ、これが画材の犬なんだ」と何だかうれしくなった。帰宅後、わが家の犬をよく観察してみた。改めて体毛の1本1本まで、しっぽのふさふさ感まで、細やかな筆使いの『唐犬図』を思い起こすことができた。

作品を一通り見終わった後、関雪記念館館長さんのギャラリートークの輪に加わった。『意馬心猿』、関雪が師匠栖鳳と仲違いした頃の作品、「猿が関雪、馬が栖鳳」と説明されてみると、悲しそうな猿の姿にいっそう哀れさを感じた。こんなにがんばっているのに、師から批判され、画壇から仲間はずれにされるとは・・・・・。また、『霜猿』は関雪自身だとか。そう言われてみると、この作品からも、彼の孤独さ、寂しい境遇が何となく伝わってくるような気がした。

ギャラリートークの後、再度解説レコーダー片手に作品を見て回った。最初に見た時には全く気づかなかったことが確かめられた。また、ギャラリートークを思い出しつつ、関雪が作品に向かい合う姿を想像してみた。とても収穫のある、余韻が残る展覧会であった。

チケットをくださった方に、改めて感謝したい。

鳥取市 伊藤さん(女性)

訪問日:2013年7月25日

大阪に住む息子と、年に何回か関西で催される美術展に出掛ける。
今回鑑賞したのは「奇跡のクラーク・コレクション ルノワールとフランス絵画の傑作」。1年も前から2人で楽しみにしていた。
「カエルくんはメンテナンス中なんだって。」
「ええっ、壊れたのかなあ。」
行く道々、巨大カエルのオブジェを話題にできるのも、もう何度も2人で足を運んでいるからである。
「お昼は、どうする?」
「パスタが食べたいなあ。」
「駅から美術館までの坂道付近なら,いろいろありそうだよね。」
阪神線岩屋駅からすぐ南の通りに生パスタの看板を見つけた。サラダや飲み物のバイキングバー付きのランチが1200円。帰宅してウェブ検索したところ、いわやのパスタ屋さんレパ(REPAS)ではないかと思う。

お腹の準備も整い、いざ美術館へ。

音声ガイドは聴き逃せない。
夏休みとはいえ、平日、しかも木曜日だが来館者は多い。

ルノワールの作品で、特に気になったのは、1枚目の自画像。隣りの「若い娘の肖像(無邪気な少女)」や「うちわを持つ少女」も良い。更に素晴らしいと感じたのは「タマネギ」。やわらかなピンク掛かった薄皮,丸々と実った形状、タマネギとして素晴らしいけいれども、女性と共通するところがあるようにも思える。
その他では、ピサロの作品で、とても細かな点描画が目に付いた。まるでスーラの作品のようだ。これほどまでの試みをしているとは驚いた。それからモネの「小川のガチョウ」。

休暇を利用して息子宅に泊まり、美術鑑賞。自宅に戻って、今、こうして目録などを見直している。あっ、ジヴェルニーの庭について息子からの質問に「後で。」と言ったままである。あっ、音声ガイドの音楽にはカミーユ・サン=サーンスやクロード・ドビュッシー作曲のものが使われているではないか。全く印象に残っていない。十分に堪能したつもりでも何かしら心残りがあるものである。

広島市西区 重藤さん(男性)

訪問日:2012年11月16日

私にとって旅行したときの楽しみの一つは、訪れた街の美術館を訪問することです。この度、久しぶりに出かけた神戸市では、兵庫県立美術館を訪れることにしました。今回は、オープンしたばかりの横尾忠則現代美術館(原田の森ギャラリー西館をリニューアル)で開催されている「開館記念展Ⅰ 横尾忠則展 反反復復反復」の観覧と合わせて、立ち寄らせていただきました。

先に訪れた横尾忠則現代美術館の周辺の風景は、随分と昔のことになるのですが、私の記憶では、できたばかりの兵庫県立近代美術館で開催された「ムンク展」や「ルノワール展」を見に行った当時の風景とあまり変わっていないように感じました。

このように感じさせる理由は多分、村野藤吾設計による旧兵庫県立近代美術館の存在感と、当時からあった緑豊かな王子動物園にあるからだろうと懐かしく眺めながら、次の目的地である兵庫県立美術館に向かいました。ミュージアムロードを通って、心地よく歩ける緩やかな坂を下ると、安藤忠雄が設計した素晴らしい建築美を誇る兵庫県立美術館の建物が見えてきます。

建物自体が芸術作品ともいえる美術館が多い中でも、とりわけ兵庫県立美術館は、規模の大きさと周辺環境との調和や内部空間の神秘性などで、際立った存在感を発揮している美術館ではないかと思います。
もちろん、優れているのは建物だけではありません。当美術館は「コレクション展」が大変充実している美術館として知られていますが、評判どおり期待に違わない展示内容になっています。もちろん企画展も見逃せられない展示が多く、この度、観覧した「現代絵画のいま」もタイトル通り、現代絵画の新たな潮流に触れることのできる刺激的な内容になっていました。

奈良美智の作品以外は初めて目にする作家の作品だったように思いますが、とにもかくにも、絵画表現に係る様々な方法が試みられており、なかなか言葉で説明し伝えることは難しい作品が多かったようです。こうした作品はあれこれ考えるのではなく、肌で感じる直感的な受け止め方を大切にする鑑賞方法が相応しいのではないかと、改めて考えさせられた展示会でした。

ところで、観覧の帰りにふと振り返ると、美術館の屋上で巨大カエルが見送ってくれています。このカエルは「美(み)かえる」というそうですが、7月に尾道で見た巨大アヒルを制作したオランダのアーティスト、フロレンタイン・ホフマン氏によるもので、早速、写真に収めて帰りました。

広島県福山市 伊藤さん(女性)

訪問日:2012年10月2日

神戸出身の小磯良平と金山平三の作品を収集している兵庫県立美術館の常設展には以前から関心があった。ところが、広島や福山から出掛けて行くので、つい、京都で一つ美術展を鑑賞して、兵庫県立美術館で特別展を鑑賞するなど、常設展まで足を運ぶ時間と元気の確保ができないままになっていた。そこで今回は、午前中に神戸市立博物館に行って、午後から思い切って兵庫県立美術館の常設展だけを観ることにした。

常設展とは言っても,なかなか充実している。2時間以上楽しんだ。

特に心に響いたのは井田照一の版画。テーカップの中のお湯にティーバッグを落とした様子を真上から描写し、淡い色の変化をみごとに表現している。ああ、表題が出てこない、作品リストを貰っておけば良かった。大丈夫,ウェブ検索で見つけた。「Earl Grey on Gray Surface is the Between -Between Vertical and Horizon」。画面下方に月と思ったのはホライズンだったのか。作者が付ける表題は,それも含めて作品だ。

それから、安藤忠雄コーナー「震災復興プロジェクト」も興味深く観た。彼は兵庫県立美術館のほか、大山崎山荘美術館、直島の地中美術館、尾道市立美術館など多くの美術館を設計している。建物を楽しむのも良い。このコーナーでは六甲住宅について初めて知った。コンクリート建築というと、自然と対立しているように思うが、彼の建築はいつも自然に対して謙虚だ。

最後に触れておきたいのは、「美術の中のかたち-手で観る造形」である。兵庫県立美術館で、目の不自由な方が手で触って鑑賞する企画があるのは知っていたが、「目をつむって是非手で触って感じてください。」と案内された。大きな作品だったが,形は想像どおり。でも色は?最初にちらりと見えた一色がずっと続いているのか、少しずつ変化しているのか、あるいは思いもよらない色彩になっているのか。どのようにも想像できる。想像できる余地があるのも面白い。

今日は半日、兵庫県立美術館で遊んだ。今度は1日のんびり来たい。

吹田市 村岡さん(女性)

訪問日:2011年11月23日

「現代美術の正しい鑑賞の仕方ってありますか?」

昔、ギャラリーで尋ねた私にオーナーさんが教えてくれたのは、「感じればいいんです」の一言でした。質感や造詣、空間、雰囲気、なにかしらの印象を受けおもしろいと思えたならそれでいい。現代美術を敬遠しなくなったのは、それがきっかけでした。
芸術の祭典「神戸ビエンナーレ」行ってまいりました。

心を捕らえたのは、『プライベートな宇宙』という作品。黒いカーテンをくぐると、天井の高い小部屋は真っ暗で、思わず立ちすくみました。目が慣れるにしたがって小さな丸い光の粒が壁をなぞるようにゆっくり動いていることに気がつきました。穴のあいた巨大な化粧ボードが回転しながら、外の光をこちらの闇になげかけているのでした。

大きな空間とフレキシブルな構造ならでは、迫力ある展示ができるのがこちらの美術館の魅力の一つだと思います。子ども共々、時間を忘れて眺め続けていたのでした。

広島市 藤井さん(男性)

訪問日:2011年9月21日

建築好きの娘との二人旅。あいにく台風15号の余波で雨降り。「借りぐらしのアリエッティ*種田陽平展」と安藤さんの建築に満足できました。

海の方から建物全景を観ようと思いましたが、傘もさせないほどの強い風と雨。ゆっくりと美術館周りを見学できなかったことが、少し残念でした。

天気の良い時に再訪したいと思っています。

姫路市 榊さん(女性)

訪問日:2011年5月1日

告知ポスターに惹かれ”カンディスキーと青騎士”展を見に、兵庫県立美術館に行ってきました。今回の作品展は、作者カンディスキーの作風ががらっと違う感じになっているのがとても興味深かったです。

作品をゆっくり鑑賞し終わり、そして展覧会出口へ向かった先で気になるコーナーを発見しました。用意されたパソコンから無料で画像がメール配信できるというものです。画像は展示されてあった作品の中からチョイスされており、私がいちばん気に入った、清らかな作風の「花嫁」の画像もありました。

早速「花嫁」を携帯メールに送信、待ちうけ画面に設定しました。携帯画面で見る「花嫁」もステキで・・・今は毎日鑑賞しています。

どこでも持ち運べる携帯美術館、とっても満足しています。これからもこちらの美術館を訪れた際はぜひこのサービス利用させてもらおうと思います。

岡山市 福原さん(女性)

訪問日:2011年3月11日

迷路のように多くの空間が複雑に絡み合ってできた美術館です。そのため訪れるたびに新たな発見があり、自分だけのお気に入りの場所が見つけられるのも楽しみの一つです。その中でもぜひお薦めしたいのが、カフェ・フォルテシモです。海に面してテラスがあり天気が良い日は戸外でゆっくりお茶ができます。静かで明るい空間なのでのんびり本を読んでいる外国人の方もおられます。毎回非日常の空間の中でアートを堪能した後は必ず一服し、日常に戻ります。

先日美術館を訪ねたのは3月11日、東日本大震災の日でした。三宮に帰るバスを美術館前のバス停で待っていると、突然にわか雨に見舞われ近くの小学生が走ってバス停にかけ込んできました。知らない女の子でしたがお互いに笑顔で困ったねと会話し、大変さを分け合いました。後でちょうどその時地震があったことを知り、早く全国でみんなが笑顔になり芸術が楽しめるような日が来ることを願いました。

神戸市 森さん(女性)

訪問日:2010年12月18日

神戸に長く住んでいるのに一度も訪れたことのなかった県立美術館。スイスの有名な美術館ヴィンタートゥールの展示会があるということで初めて行ってみました。

日本初公開の作品もあり間近でみる本物の絵は写真では味わえない作者ごとの筆のタッチの違いなどかよくわかり普段とは違った刺激をうけて少し内面的な女磨きができた?気分になりました。

当日は偶然にも県立美術館と王子動物園を結ぶ市道通りが「ミュージアムロード」と命名された記念日でもあり これからもっと美術館に足を運んでみたいと思いました。