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「美術館に行こう。」-私の美術館体験記 応募作品のご紹介

美術館体験記 岡山県・笠岡市立竹喬美術館 写真

広島市中区 重藤さん(男性)

訪問日:2013年12月15日

 昨年3月に「入江波光展」を観覧して以来、約1年振りとなる笠岡市立竹喬美術館を訪問しました。目的はもちろん.「霊と艶をもとめて 村上華岳展」です。

各地の美術館で所蔵されている華岳の作品を拝見することは度々ありますが、初期の作品から絶筆となる作品まで、村上華岳の全容を紹介する回顧展は初めてだったので、大変楽しみにしていた展覧会でした。美術館が所蔵しているコレクション展もそれぞれの美術館の特徴や個性があり、そのあたりも理解しながら、観覧する楽しみ方がありますが、今回のような特定の画家がタイトルになる個別展覧会には、単に作品を見て楽しむというだけでなく、作品を通して画家の精神的な心の変化と時代や社会の動きとの相関までをも理解していく楽しみがあるように思います。今回の村上華岳も、そうした意味で本当に楽しむことができ、来てよかったと心から思える展覧会でした。

特に最初の展示室に展示されている初期の作品群には、大変驚かされました。ここでの展示作品は今まで知らなかった作品がほとんどで、華岳に対して持っていた「仏画の華岳」というイメージとは全く違っていたからです。こうした驚きこそ、美術鑑賞の醍醐味であり、今回も大満足の訪問になりました。

なかでも、19歳の時の作品だという「羆」、第2回文展で初入選となった「驢馬に夏草」、また、代表作の一つとされる「夜桜之図」などは、いつまでも見飽きることがない程、臨場感や躍動感を与えてくれる作品でした。後は私が今まで見てきたいつもの仏画の華岳のイメージに違わぬ展示が中心となっており、一度に様々な仏画に出会えるとても有意義な展覧会でした。

なお、このたびの展覧会で思いがけず発見したことが一つあります。PRポスターで使用されていた作品を所蔵する美術館が、地元広島の泉美術館だったことです。泉美術館には近いこともあり、よく訪問しているのですが、いままで出会っていた作品だったかもしれず、こんなこともあるのかと少し複雑な気持ちになった次第です。

岡山市北区 森田さん(女性)

訪問日:2012年10月21日

病弱な私は昨年から三回も入退院を繰り返した。落ち込む私を支えてくれているのは六年間付き合っている彼。彼とのデートはドライブか美術館が多い。映画好きの彼だが美術、アート好きの私に彼が付き合って行ってくれるようになった。彼は子供の頃から美術館にはほとんど行ったことが無かった人。私の体調を心配して一緒に美術館に行くようになったのがきっかけかもしれない。「付きあわせて悪いな・・・」と気にしていたが今では彼の「美術館はお堅い場所」というイメージは消え、自分の好きな芸術、作風を見つけ、彼も楽しんでいる。今回は私がとても楽しみにしていた笠岡の竹喬美術館での山口華楊展。美術館は映画館と私達にとっては同じだ。作品を鑑賞している時に話は出来ない。ただ見終わればお互いに気に入った作品、作風のオシャベリ。「ライオンの観察力すごかった。ようあんなに描けるもんじゃ。あの猿のフワーフワーて毛もどう描いとるんじゃろ。見た?」彼が興奮して話している。「見た。見た!消えそうなのにフワフワしてるのが見えた。」「私も嬉しくなり、色々と話したくなる。」「洋犬は確か昭和四年の作品なのに、今の時代みたいじゃったね」「たまに同じ種類の犬を散歩しているところを見るけど、今でも少ないよな」「戦争にいっていたと書いてあったから、むこうで見た犬かな?」「猿は熱帯の猿じゃったから、海外じゃな」「戦争中にもスケッチが出来たんかな」と、話は尽きない。

彼も好みの作品だったようで嬉しくなる。美術、アートなどの話をしていると彼の好みばかりではなく、彼自身のことが益々分かってくることがある。戦争に対して、自然に対して、生きることに対してなど、色んな面が見えてくる。同じものを観ても感じ方は違うというのは本当に映画も美術も同じようだ。

竹喬美術館には中庭がある。私はこの庭が大好きだ。水琴窟があるから。今日も子供のように水を砂利にかけてみる。爽やかな音が響いてくる。振り返れば彼が側で微笑みながら私を見てくれている。水琴窟の音を聞きながら私は暖かな気持ちになっていく。私のキーホルダーには彼が初詣で買ってくれた水琴窟の音の鈴がついている。

松江市 藤井さん(男性)

訪問日:2011年11月11日

ここは僕のお気に入りの美術館の一つです。小野竹喬の作品を見ることが目的で初めて訪れましたが、開催されていた岩橋英遠の特別展を見て、岩橋氏の作品にも感銘を受けました。その際展示されていた作品について気になることがあり学芸員さんに質問したところ、明確な回答や案内書には載っていない詳しい解説もしていただき、丁寧な対応と展示品に対する思い入れに頭の下がる思いがしました。二度目に訪れたときは「アンリ・ルソーと素朴な画家たち」という企画展が行われていました。アンリ・ルソーをはじめ皆絵が好きで独学で絵を描いたという作家の作品ばかりを集めた企画展で、純粋に絵を描くということについてとても考えさせられました。もちろん二度とも小野竹喬の作品も鑑賞でき、その澄んだ筆致の作品は見るたびに惚れ惚れとさせられます。休憩コーナーでは無料でお茶を頂くことができますし、中庭では遊び心のある水琴窟を楽しむこともできます。

尾道市 吉原さん(女性)

訪問日:2012年1月4日

1月4日、友人4人で竹喬美術館へ行きました。お正月と言う事で空くじなしのくじ引きがあり、思いもよらずステキなお年賀を頂きました。賞品それぞれの袋がパンフレット等、再利用の手造りで、又紙に切り込みを入れ、折り、ゴム印で竹、太陽等、押し竹喬美術館を表現したカードが入ってました。その手造りカードがとてもセンス良く、さすが美術館!職員皆様の心遣い、心意気が感じられました。学芸員さんの分かりやすいギャラリートークも聞け、とても豊かな年始めとなりました。

倉敷市 原さん(男性)

訪問日:2011年10月12日

笠岡のカブトガニ博物館で地元の人に竹喬美術館を教えていただき、急遽訪れることにしました。

竹喬美術館は、1982年に創設され2001年に新館ができたそうですが、手入れの行き届いた素敵な美術館でした。訪れた時は、岩橋英遠画伯の特別展を行っており竹喬画伯の作品は、視聴覚室のみで少なく、ちょっとがっかりでした。でも岩橋画伯の展示室C全体に配置された全長26mに及ぶ「道産子追憶之巻」は、必見で、すごいの一言でした。 

最後に、ホールに常備されていた竹喬美術館友の会の「彩雲」という会報を会員でない私たちにも自由に持ち帰りができるようにしてくれている美術館の方の心配りが素晴らしいと思いました。

広島市 重藤さん(男性)

訪問日:2011年10月5日

急に思い立ち高速道路にのって、笠岡市立竹喬美術館で開催されている展覧会「壮大な自然を描く岩橋英遠」を観覧してきました。岩橋英遠の作品はこれまでにも何度か拝見しましたが、このたびのような回顧展は初めてでした。

私はよく美術館に行くのですが、いつも心がけていることがあります。それは沢山ある展示作品の中で一点ほど、特に印象に残る作品を探し出すことです。今回、その作品はやはり「道産子追憶之巻」でした。北海道の自然の四季をそれぞれに雄大に描いており、作者の自然に対する真摯なまなざしを強く感じました。自然の恵みと人間の営みについて大いに考えさせられた作品でした。

ところで、この美術館では、うれしいことに湯茶のサービスコーナーがあり、観覧途中に中庭を眺めながら一息つくことができます。