気中コンクリート

瀬戸大橋の工事では、海面より上の範囲のコンクリートを海中コンクリートと対比して、「気中コンクリート」と呼んでいます。海中コンクリートが、いわゆる「土台」的な役割であるのに対して、気中コンクリートは、吊橋ケーブルを定着するアンカレイジや主塔の直下で、きわめて大きな力に耐える役割を担います。このため、アンカレイジでは、ダムに匹敵する大規模なコンクリートが必要となり、また、主塔基礎では、太径の鉄筋・鉄骨を高密度に配置したなかにコンクリートを打設する必要がありました。

ここでは、南北備讃瀬戸大橋4Aアンカレイジを例に紹介します

写真:コンクリート設備

コンクリート設備

約25万m³のコンクリートを打設する必要のあった南北備讃瀬戸大橋4Aアンカレイジでは、4A西側(写真手前側)に固定したコンクリートプラントを、また、南側には海上作業足場を転用した資材ヤードを設置しました。さらに、4Aの内部には、2基のタワークレーンを配置しました。

写真:ケーブルアンカーフレーム設置

ケーブルアンカーフレーム設置

コンクリートが所定の高さまで打設された時点で、ケーブルアンカーフレーム(CAF)の設置が行われました。CAFは、吊橋ケーブルをコンクリートに定着するための金物であり、1基当たり約1,800tのCAFを4基設置する必要がありました。CAF設置に伴うコンクリート打設休止期間を最小限に留めるため、CAFは近傍の造船所において組み立てが行われ、当時、最大級であった3,000t吊り起重機船により設置が行われました。このような一括架設工法は、その後の瀬戸大橋の各種工事で用いられ、工期短縮に寄与しました。

写真:完成した4Aアンカレイジ

完成した4Aアンカレイジ

4Aアンカレイジの気中コンクリート工事は約2年半の時間を要しました。完成した4Aの両側面には、後続のケーブル工事で使用される大型のタワークレーンが設置されています。