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アートトラベラー

兵庫県立美術館 多彩なコレクションと一緒に旅へ出よう

金山平三《一時に新芽ふく》1945-56年
油彩・キャンバス 兵庫県立美術館蔵
金山平三は神戸出身の洋画家。各地を旅行して風景画を描いた。この作品はすっきりした構図とむだのない筆使いが特徴で、天候の様子や空間の広がりが的確に表されている。なお金山の作品は記念室で常時展示している。

神戸の海辺でゆっくりアートに浸れる兵庫県立美術館。金山平三、小磯良平をはじめとする兵庫ゆかりの美術や、ロダン、マネ、ピカソなど近現代の版画・彫刻、現代美術では具体美術協会の作品が充実し、1万点以上のコレクションを誇ります。現在も増え続け、新しく大阪の実業家・頴川徳助による茶道具などの日本美術や、日本を代表する篆刻家・梅舒適が収集した膨大な中国書画も加わり、楽しみは増すばかりです。

これらのコレクションは、テーマを設けて前期、後期で展示替えしながら紹介されています。展示室ごとに雰囲気が変わり、いろいろな美術館を巡っているような充足感に満たされます。

1月からは「た・び・て・ん」がスタート。《浪速百景》頴川コレクションで名所を旅したり、金山平三の視点で《一時に新芽ふく》を眺めてみたり。作品に描かれた旅の風景や人々と一緒に時間や空間を行き来し、旅情を味わえます。

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安藤建築が作り出す世界感に入り込む

兵庫県立美術館は、阪神・淡路大震災からの復興のシンボルとして開館しました。美術作品だけでなく、建物と隣接するなぎさ公園、海、屋外彫刻が一体となり、芸術融合の場としてさまざまな空間体験ができます。設計したのは、建築家・安藤忠雄氏。建物を内から外から眺められるように通路を巡らし、まるで迷路のよう。その先々で光や風、屋外彫刻に触れることができ、フォトジェニックなスポットもいっぱいです。海に張り出すように置かれた《青りんご》は、安藤氏が自ら青春のシンボルとしてデザインしたもの。未来に向かって輝いて見えます。

また、2019年にオープンしたAndoGalleryは、安藤氏が手がけてきた初期の代表作『住吉の長屋』や、『光の教会』、現在進行中のプロジェクトなどの模型、設計図が展示されています。建築を通してその土地や文化まで感じることができ、心動かされます。

Ando Galleryや屋外エリアは無料のオープンスペース。音声ガイドアプリ「聴く美術」を利用すれば、屋外彫刻などの作品解説を聞くことができます。

このほかにも、特別展は兵庫県立美術館ならではの視点のものが多く、楽しみは尽きません。

DATA

兵庫県立美術館

住所/兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1
TEL/078-262-1011
開館時間/10:00~18:00(入場は17:30まで)
※社会情勢により臨時休館する場合がありますので、事前にご確認ください。
休館日/月曜日(祝日の場合は翌平日)、
料金/コレクション展:一般500円、大学生400円、高校生以下無料
※特別展は展覧会ごとに異なります。
駐車場/あり

MAP

展覧会情報

コレクション展Ⅰ 小企画
「生誕100年 元永定正展-伊賀上野から神戸、そしてニューヨークへ-」

2022年1月22日(土)~7月3日(日)
※4月11日(月)~4月22日(金)まで閉室し、一部展示替え。
元永定正は、具体美術協会を代表する作家のひとり。カラフルな色彩と生命体を思わせる形態で、子どもから大人まで高い人気があります。2022年は生誕100年。生まれ故郷の伊賀から神戸に移住し、阪神間の前衛的な作家や表現に出会って抽象へ向かう初期の活動から、ニューヨーク滞在でエアブラシで描く新たな表現へ踏み出すまでの足跡が紹介されます。

元永定正《寶がある》1954年頃
個人蔵(三重県立美術館寄託)

コレクション展Ⅰ 「た・び・て・ん」

2022年1月22日(土)~7月3日(日)
※4月11日(月)~4月22日(金)まで閉室し、一部展示替え。
作品とともに、あるいは作品の中へ旅に出ます。作品が内包する空間や時間に身を委ねて旅の感覚を味わえる作品や、各地の風景を描きに出かける作者と旅の関係を見つめます。

特別展 「ライデン国立古代博物館所蔵古代エジプト展」

2021年11月20日(土)~2022年2月27日(日)
世界屈指のエジプト・コレクションを誇るオランダのライデン国立古代博物館が所蔵する、ミイラや副葬品を含む約250点を展示。古代エジプト文明の魅力を紹介します。

せとうち美術館ネットワーク
スタンプラリー実施中

2021年4月1日~2022年3月31日

本四高速道路が、瀬戸内の美術館・博物館と連携し、瀬戸内のアートの魅力を発信する「せとうち美術館ネットワーク」。右の冊子に参加している81の美術館・博物館を巡ると、スタンプの数に応じて抽選で図書カードや参加施設のオリジナルグッズがもらえます。
冊子は、ネットワーク施設と本四高速道路SA・PAで配布しています。
https://www.jb-honshi.co.jp/museum/

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