子どものアート感想文 応募作品のご紹介

丹波 壺 室町時代後期
兵庫陶芸美術館

講評1

鳴門教育大学(美術教育学) 山木 朝彦

わたしも,子どもの頃,焼きものの器の表面に美しい色がしっかり乗っているのを見て,「これは,どうやって作られたものなのかな」と,不思議に思った記憶があります。それからしばらくして,植物の灰などを原料にした釉薬(ゆうやく)と呼ばれるものが,その正体だと知ったときには,本村さんと同じように驚きました。捨てられてしまうような材料が,炎の力を借りて,輝くほど美しい色に変わるのですから,魔法のようですよね。
もうひとつ,本村さんのアート感想文には,印象に残ることが書かれていました。
兵庫陶芸美術館に行ったことをきっかけに,徳島にある大谷焼についても調べたくなったと書いてあったことです。そうした気持ちは,知的好奇心と呼ばれるもので,とても貴重なものです。美術館や博物館は,この知的好奇心を心の奥底から引っ張り出してくれる不思議な場所だと思います。