子どものアート感想文 応募作品のご紹介

金沢健一「振動態-正方形900」
撮影:多羅尾牧洋
※バウハウス展の展示作品ではありません。

講評1

鳴門教育大学(美術教育学) 山木 朝彦

山下さんは,しっかり展覧会をみた後に,美術館1階の大きなフロアーで見た変わった作品に感動したのですね。コンテンポラリーアートと呼ばれる同時代のアートには,この作品のように,見る人が作品に働きかけて,楽しむタイプの作品も現れています。もちろん,昔の作品だけでなく,現代の作品のほとんどは,直接,触ることができません。指についている油や微生物(びせいぶつ)が作品の表面にダメージを与えてしまうからです。
ところが,金沢健一さんは,楽器のような作品を創(つく)ることで,見る人が直接,触れてもよい作品を創りました。すると,見る人たちが自然に作品に近づいてきて,楽器のように丁寧に扱ってくれるようになりました。作品のあり方が根本から変わったのです。
触ってはいけない作品も,触っても良い作品も,どちらにも魅力がありますよね。すでにそのことにも気づいてくれている山下さんは,すばらしい鑑賞者だと思います。