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戦国時代へタイムスリップ丸亀鉄砲隊いざ出陣

美しい石垣と現存する日本最小の木造天守で知られる丸亀城。
そこに現れたのは火縄銃を持った勇ましい丸亀城鉄砲隊だ。
城内では毎月一回、火縄銃の演武が披露されている。
戦国時代さながらの迫力あるパフォーマンスに目が釘付けだ。

音と衝撃、所作の美しさにほれぼれ

丸亀城内にほら貝の音が響き渡る。まもなく丸亀城鉄砲隊の演武の始まりだ。隊長の山本陸雄さんの号令で隊員たちが一列に整列する。「火縄つけ! 構えて! 火蓋を切れ! 放て!」。ズドーン! 耳をつんざくようなごう音とともに白煙がたなびき、火薬の匂いが広がる。その衝撃たるや思わず飛び上がるほどだ。

丸亀城鉄砲隊は、山本さんの呼びかけのもと、骨董好き、鉄砲好き、甲冑好きな人が集まって平成20年に結成された。隊員が持つ火縄銃はそれぞれ自前で、慶応3年以前に製造されたものが古式銃として美術品、骨董品扱いで教育委員会から所持が許可されている。「所作の美しさ、撃ったときの爽快さ、火薬の匂い、振動」が火縄銃の魅力だといい、銃や火薬の管理を山本さんが担い、手入れの仕方などを隊員たちに指導している。

横一列に並んで一斉に射撃する「一斉立放ち」に始まり、さまざまな射法が披露される。立ち構えと膝構えの射手が交互に打っていく「千鳥の構え つるべ撃ち」。織田信長が長篠の戦いで採用して勝利した「三段射法」は一列目、二列目、三列目と順番に途切れなく撃っていく。火縄銃は銃口に火薬を詰めて撃てるようになるまで1分20秒ぐらいかかることから、ロスタイムを少なくするためにこの撃ち方が考えられたそうだ。「乱れ撃ち」では準備のできた射手から撃ち、衝撃音と白煙があちらこちらから上がり大興奮だ。最後は再び「一斉立放ち」。その衝撃はやはり強烈で、胸にズンと響き、かっこよさにほれぼれした。演武の後は鉄砲隊のメンバーと記念撮影をしたり、火縄銃の構えを教えてもらったり、交流できるのが楽しい。目の前で繰り広げられた戦国絵巻に古のロマンをかきたてられた。

新年の初撃ちやお城まつりなどイベント時は勇壮な甲冑姿を見られる

隊長の山本陸雄さん

警察官だった山本さんのもとに大阪城鉄砲隊が火薬使用の許可申請に訪れたのが鉄砲隊との出会いだった。「ご一緒に」と誘われたそうだ

白袴姿が凛々しい女性隊員。丸亀・京極藩の家紋「四つ目結紋」の前掛けは丸亀城鉄砲隊のシンボル

銃身の長い狭間筒や、短筒と呼ばれるピストルタイプ、大筒などさまざまな火縄銃がある

丸亀城鉄砲隊

平成29年活動予定(見学無料)
●1月8日(日)「丸亀城新春フェスタ」
 12:00~、13:30~ 大手門橋上
●2月12日(日)「丸亀城バレンタイン大作戦」
 10:30~ 大手門橋上
●3月12日(日)「丸亀城ホワイトデー大作戦」
 10:30~ 大手門橋上など
お問合せ:丸亀市観光協会 TEL/0877-22-0331

骨付丸亀鳥
骨付丸亀鳥

丸亀に来たら骨付鳥を食べずにはいられない。丸亀で生まれ、地元で愛され続けた骨付鳥は、身が締まった親鳥と、ふっくらと柔らかい若鳥の2種類があり、手づかみで豪快にかぶりつくのが一番だ。店それぞれに味わいが違うが、鳥そのもののうまみを堪能できる店が「骨付丸亀鳥」。新鮮な生の鶏肉をオーブンで焼くから臭みがなく、皮はパリッ、中はジューシーで、塩、こしょう、ガーリックスパイスのシンプルな味つけで鶏本来のうま味とコクを味わえる。締めはおむすびを注文。肉汁に浸すとうまみがしみて最高に美味しい。食感、スパイシーさともにやみつきになること間違いなしだ。
住所/香川県丸亀市通町87-2  TEL/0877-21-2501  営業時間/17:00~22:00 定休日/日祝日

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曲線美にほれる石垣の要塞 丸亀城

「扇の勾配」と呼ばれる美しい石垣をもつ丸亀城は、
藩主を変えながら長い年月をかけて築きあげられてきた。
その姿は優美で威信に満ち、凛とした存在感を放っている。
城内ではさまざまな石垣の美を見ることができ、
石垣に注目して巡るのがおもしろい。

積み方や石工の残した息づかいに魅了される

お城というと天守を見るものだが、丸亀城は石垣を見ずして語れない。案内してくれたのは、ボランティアガイドの淀川清眞さんだ。

丸亀城は1597年、讃岐国の領主・生駒親正・一正によって築城が開始された。江戸幕府による「一国一城令」によって一度廃城となるが、お家騒動で生駒氏が転封されたのを機に、山﨑家治が城主となって再築。山﨑家が断絶後は京極高和が入城し、明治時代まで京極氏の居城となった。

内堀の北側にかかる橋を渡ると大手門だ。そこから三の丸、二の丸を経て本丸までは石垣が何段にもわたって積み上げられ、堂々たる姿に目を奪われる。とりわけ見事なのが三の丸の石垣。見返り坂から淀川さんについて脇道へ回り込むと、20mを超える石垣が屏風を折ったように幾重にも連なり、優美な曲線を描いて天へ貫いている。これぞ「扇の勾配」、石垣のアートだ。現存する石垣のほとんどは山﨑氏時代につくられたもので、簡単には攻められないことを誇示していたという。

本丸へ上ると天守との対面だ。三重三階の天守は現存木造天守の中で最小であるが、入母屋の屋根を北側の正面に向け大きく見えるように工夫されている。帰りは来た道を戻らず、三の丸南側の搦手口へ。搦手口とは裏口のことで、実は山﨑氏時代まではここが大手だった。立派な石垣がかつての大手を偲ばせる。1670年頃の京極家二代高豊によって現在地の堀端に築かれた。東南の山麓には古い積み方である野面積みの石垣も残り、味わい深い。他にも石垣を注意して見ると、角石にノミで線引きしたラインが残っていたり、文字や記号が刻印されていたり、石工の息づかいを感じる。じっくり見れば見るほど興味が増す、石垣の美はとても奥深い。

切り込み接ぎ

大手門の石垣は京極氏時代に作られたもので、加工した石を隙間なく積み上げた「切り込みハギ」の石垣が整然と美しい

打ち込み接ぎ

割り石を積み上げ、隙間に間詰め石を詰め込んでいる。丸亀城の主な石垣はこの積み方によるもの

野面積み

自然石を積み上げた石垣。水はけが良く、崩れにくい。東南の山麓と内堀の北側の一部で見ることができる

扇の勾配

なだらかな曲線を描きながら積まれた石垣は上部へ向かうにつれ次第に急になり、直線となって、最後は反り返るように天に向かう。美しさと防御性を兼ね備えている

搦手口

裏口にあたる三の丸南側の搦手口はかつての大手にふさわしく、堅固で立派な石垣が築かれている

角石にノミで線引きした跡が残っている。面を取るのを途中でやめたのかも

天守

大手二の門の両側の城壁にある「狭間」。矢や鉄砲を撃つための小窓で、横への開閉式が珍しい

瓦に京極家の四つ目結紋があるのは京極氏が天守を完成させたから

大手一の門は櫓門で、門柱の上部に渡した冠木は築城当時のもの。太鼓門とも呼ばれた

正面となる北側には唐破風や千鳥破風を配置して豪華に見せている

【DATA】丸亀城

住所/香川県丸亀市一番丁  TEL/0877-22-0331(丸亀市観光協会)
営業時間/天守9:00~16:30(入城は16:00まで)、大手一の門10:00~15:30
定休日/なし  料金/天守:大人200円、小・中学生100円、大手一の門:無料

【DATA】ボランティアガイド

営業時間/3月~12月の毎週日曜日 午前9時半~正午 ※上記以外の時間でも電話で予約可
受付/丸亀城内見返り坂付近(城内観光案内所前)
料金/無料、時間:1時間程度(ツアー観光のみガイド1人につき1,000円)
TEL/0877-22-6278(丸亀市文化財観光案内会)
右写真/アプリをダウンロードして、江戸時代の丸亀城や石垣の復元した雄姿を楽しめる

今も昔もこんぴら参りへ

江戸中期から流行したこんぴら参りによって丸亀は参詣客の寄港地としてにぎわい、丸亀城も広く知れ渡った。当時の人と同じように丸亀港にある太助灯籠を出発し、堀の西側を経て丸亀街道をたどり、金刀比羅宮へ向かおう。道しるべや石灯籠が情緒たっぷりだ。一ノ橋から象頭山に向かえば参道だ。平坦だった参道はすぐに石段になる。785段息を切らしながら上る。たどり着いたその先に御本宮と美しい讃岐平野が広がっていた。
右写真/大門まで365段。ここまでは特に急な石段となる

【DATA】金刀比羅宮

住所/香川県仲多度郡琴平町892-1
TEL/0877-75-2121(社務所)
写真/御本宮。農業・漁業・医薬・海上守護の神として厚い信仰を集めている

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