- 正面が《三十六歌仙額》。江戸時代まで神仏習合だった金刀比羅宮には仏画や仏像が多く納められている
花崗岩を使った和洋折衷の重厚でモダンな建物が印象的なのは、宝物館。明治38年に建てられた日本最初期の博物館で、金刀比羅宮に奉納された宝物が並んでいます。入口を入ってまず目につく「三十六歌仙額」は、狩野探幽、尚信、安信の3兄弟により平安時代の和歌の名人が描かれたもの。直衣の文様や人物の表現が細やかで、思わず見入ってしまいます。小野小町が正面から描かれているのも珍しく、絶世の美女の顔を見られるのも貴重です。
2階にある国の重要文化財「十一面観音立像」も見逃せません。もとは金刀比羅宮の別当寺金光院のご本尊で、柔和な表情が美しく、当時の彩色や模様がはっきり残っています。ほかにも森の石松が清水次郎長の命を受けて納めたとされる刀や、戦国大名の長宗我部元親が讃岐国侵攻で神域を犯したことを反省して奉納した門の棟札があり、歴史を感じます。