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愛媛県 砥部町

建築家・内藤廣氏が設計した「牧野宮太郎記念館」。流麗な馬蹄形の切妻屋根で中央の庭園を取り囲み、自然と一体となる建築美が追求されている。

高知県高知市

日本の植物分類学の父、牧野博士に出逢う旅

山の国でもある高知県の魅力を体現する総合植物園

高知県といえば、「海」を思い浮かべる人が多いだろう。坂本龍馬ゆかりの「桂浜」など、白砂青松の海岸はとても美しい。しかし、同県の魅力はそれだけには留まらない。実は、約84%という日本一の森林率を誇る「山の国」でもあるからだ。
そう教えてくれたのは「高知県立牧野植物園」の橋本渉さん。高知県の自然を堪能できる園内を案内してもらいながら、その魅力について尋ねた。
「当園は、植物分類学者として名高い牧野富太郎博士の業績を顕彰するために、博士逝去の翌年である1958年に開園した四国唯一の総合植物園です。 約8haの園内には約3,000種類もの植物が息づき、牧野博士ゆかりの植物も数多くあります。季節ごとにさまざまな花木を見ることができますが、秋には牧野博士が発見・命名した『ジョウロウホトトギス』や『ノジギク』などが見頃を迎えます」。

「季節ごとに見られる植物が異なるので、訪れる度に発見があると思いますよ」と、高知県立牧野植物園の橋本渉さん。
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爽快な眺望、名建築など
バラエティ豊かな見どころが満載

「高知県立牧野植物園」の園内は起伏に富んでおり、もっとも標高の高い「こんこん山広場」からは周囲一帯を見わたせる。植物だけでなく、その爽快な眺望もまた同園の見どころのひとつだ、と橋本さんは語る。
「建築好きな方には、建築家・内藤廣氏が設計した『牧野富太郎記念館』にも注目していただきたいですね。自然との一体感を追求した建築は、一見の価値ありだと思います。 また、熱帯さながらの『温室』も見応え抜群。 まるでアニメの世界に迷い込んだような雰囲気の『みどりの塔』と『回廊』を抜けると、世界中から集めたカラフルな熱帯花木や熱帯果樹などが視界いっぱいに広がります。 ここでは『食虫植物展』や『ラン展』などの企画展を随時開催しています」。緑の香りに包まれる園内は、まさに「学び」の宝庫だ。

約8haの広大な園内は、まさに植物の宝庫。ゾーンごとにさまざまな植物が息づき、四季折々の彩りを愉しませてくれる。

みずみずしい水景が広がる「50周年記念庭園」。池のほとりにはベンチもあり、美しい眺めを愉しみながら休憩できる。水面を覗き込むと、水辺の生き物の姿も。

花
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ひと休みできるカフェや
オリジナル商品を扱うショップも

広大な園内を歩いて少し疲れたなら、中央部の「植物研究交流センター」にあるレストラン「C.L.GARDEN」でひと休みするのもいい。 爽快な眺望が広がる開放的な店内では、ブルーレモネードスカッシュなどの彩り豊かなドリンクの他、ハンバーグやパスタなどの料理も味わえる。 また、隣接するミュージアムショップ「サクラ」では、牧野博士の額絵や植物観察スケッチキットなどのオリジナル商品を扱っている。 植物図の名手とされた牧野博士の画集もあり、緻密な筆致を眺めることで、博士が植物へ注ぎ込んだ愛情を窺い知ることができる。 ページをめくれば、旅の思い出とともに植物への興味もますます湧いてくるだろう。

写真左:ブルーレモネードスカッシュ、写真右:ティーソーダ 各600円

レストラン C.L.GARDEN
植物園の爽快な眺めを愉しみながら、ほっとひと息つけるレストラン。カラフルなオリジナルドリンクが人気。
写真左:ブルーレモネードスカッシュ、写真右:ティーソーダ 各600円

牧野ミュージアムショップ サクラ
牧野博士ゆかりのグッズやお菓子など、お土産にぴったりな商品がずらりと並ぶ。

高知県立牧野植物園

住所/高知県高知市五台山4200-6
TEL/088-882-2601
営業時間/9:00~17:00(最終入園16:30)
料金/一般730円 (高校生以下無料)
定休日/年末年始(12/27~1/1)、2023/10/30・11/27(メンテナンス休園)
駐車場/あり

壁面にびっしりとシダ類が絡みついた「回廊」。神秘的な光景が、好奇心を心地よく刺激する。

壁面にびっしりとシダ類が絡みついた「回廊」。神秘的な光景が、好奇心を心地よく刺激する。

牧野博士ゆかりの地を巡る

牧野博士の生家を再現した「牧野富太郎ふるさと館」

牧野博士の足跡にさらに迫るなら、高知市から西へ進んで「佐川町」へ。まず訪れたいのは、牧野博士の生家を再現した「牧野富太郎ふるさと館」。
館内には博士の遺品や直筆の手紙、原稿等が展示されており、その業績について詳しく知ることができる。 また、同館周辺には伝統的な商家住宅や酒蔵などが建ち並び、歴史ロマンあふれる情趣豊かな町並みが広がっている。
ゆっくりと散策すれば、まるでタイムスリップしたかのような気持ちを味わえるだろう。

牧野博士が幼少期を過ごした佐川町には、歴史情緒豊かな町並みが広がる。

牧野富太郎ふるさと館

牧野富太郎博士の生家跡地に建つ資料館。大正時代の写真をもとに、当時の外観や内部意匠ができる限り再現されている。

住所/高知県高岡郡佐川町甲1485
TEL/0889-20-9800
営業時間/9:00~17:00
定休日/月曜日
※2024年3月31日までは月曜開館、年末年始(12月29日~1月3日)
※祝日の場合は開館し、翌日は休館。
駐車場/なし

ソメイヨシノの名所 佐川町の「牧野公園」へ

佐川町には、博士ゆかりの植物が息づく「牧野公園」もある。 日本の桜名所100選のひとつであるこの公園は、牧野博士が東京から「ソメイヨシノ」の苗を送り、地元の有志たちが同地に植えたことから始まった。 当時は公園ではなく、佐川城跡の「奥の土居」と呼ばれていたという。
現在は桜だけでなく、牧野博士ゆかりの山野草などが植栽され、四季を通じて楽しめる公園となっている。 公園頂部には、物見岩という絶景スポットもあり、山々に囲まれた佐川町を一望することができる。 「学びの秋」を満喫したいならぜひ訪れたいスポットだ。

物見岩が佇む公園の頂部には、天井にステンドガラス風のデザインをあしらったパーゴラとベンチもある。

牧野公園

住所/高知県高岡郡佐川町甲2458
TEL/0889-20-9500(一般社団法人 さかわ観光協会)
営業時間/24時間
定休日/なし
駐車場/なし

佐川町の美味いものと、神秘的な風景に酔いしれる

牧野博士について学んだ後は、佐川町の地産・名産も味わっておきたい。2023年6月にオープンした「まきのさんの道の駅・佐川」では、仁淀川流域の新鮮な野菜などの地場産品や地酒、地元食材を取り入れたバウムクーヘンなどを味わうことができる。
レストランも併設されているので、「食欲の秋」を堪能するにはうってつけ。また、敷地内には木のおもちゃに触れながら楽しく学べる「佐川おもちゃ美術館」もあり、大人だけでなく子どもも1日中楽しむことができる。
さらに足を伸ばせば、牧野博士が幾度も植物採取に訪れた「伊尾木洞」へ。
高さ約5m・幅は約4m・全長約40mのこの洞窟は、周辺がまだ海だった頃に波の浸食によりできたものだという。 ホウビシダやホウライシダといった天然記念物のシダ植物に覆われ、涼やかに水が流れ出ている風景はとても神秘的で美しい。ゆっくりと時を過ごしていると、古代へタイムスリップしたかのような趣を味わえる。

「ごちそうバウムSOFT【プレーン】」 1,620円
佐川町産米粉100%を使用してつくられる「ごちそうバウム」はお土産にぴったり。

まきのさんの道の駅・佐川

住所/高知県高岡郡佐川町加茂2711-1
TEL/0120-117-188
営業時間/8:00~18:00※各店舗により異なります。
定休日/1月1日・2日※各店舗により異なります。
※メンテナンス休業有
駐車場/あり

2023年6月にオープンしたばかりのNEWスポット。
佐川町をはじめ仁淀川流域の「ごちそう」に出会うことができる。

佐川おもちゃ美術館

芳ばしい木の香りに包まれる「佐川おもちゃ美術館」には、世代を超えて楽しめる木のおもちゃがずらり!

営業時間/10:00~16:00(最終入館15:30)
料金/大人800円・子ども500円
定休日/水曜(祝日の場合は翌日)、年末年始
※メンテナンス休業有

伊尾木洞

300万年前の地層が隆起し、波による浸食で生まれた洞窟。シダに覆われた渓谷が約400mにわたり続く。

住所/高知県安芸市伊尾木117
TEL/0887-34-8344 (安芸観光情報センター)
営業時間/ 24時間
定休日/なし
駐車場/なし

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