久しぶりの四国旅行で瀬戸大橋を渡る。瀬戸中央自動車道を岡山方面からゆっくりと走っていき、鷲羽山トンネルを抜けると、穏やかな瀬戸の島影と海が視界いっぱいに広がる。その風景の中を、まるで飛行機雲のように白い一条の軌跡が続く。世界最大級の道路と鉄道の併用ルートであり、岡山と香川を結ぶ海峡部に架かる6橋の総称、瀬戸大橋である。今回の旅の途中の休憩は、与島パーキングエリアと決めていた。

与島パーキングエリアは瀬戸大橋のちょうど真ん中に位置する、周囲4.3kmの小さな島にある。瀬戸大橋から渦を巻く長いランプをゆっくりと降りていけば、広大な駐車場に辿り着く。 車を駐車させ車外に出ると、先ほどまで走っていた瀬戸大橋が悠然と聳（そび）え立つ、なんともダイナミックな風景を楽しむことができる。
与島パーキングエリアには、巨大な瀬戸大橋と海の風景を十二分に楽しめる施設が揃っている。
展望スポットは、瀬戸の海、そして海に浮かぶ島々を見渡せる建物屋上部の円型展望台「setona（せとな）」と、より間近に瀬戸大橋を感じられる「築山展望台」の2カ所が用意されており、それぞれから眺望を楽しむことができる。

ランプから見た与島パーキングエリア

その他にも、実際に瀬戸大橋に使用されているケーブルを再現した模型、与島のオアシス「瀬戸の泉」、日時計、東屋など、広い敷地内には見どころがたくさんある。是非とも車から降りて歩いてみてほしい。長距離運転で凝り固まった体をほぐすには非常によい休憩スポットだろう。
ところで、与島パーキングエリアは日本でも珍しい「上下集約型パーキングエリア」である。なんと、岡山方面、香川方面のどちらからでも立ち寄ることができるのだ。そのため、与島パーキングエリアのお土産物売り場「よしマルシェ」には、四国４県と岡山県の代表的な土産物が取りそろえてある。買い忘れがあっても安心だろう。

園地にあるオアシス「瀬戸の泉」

この売店の最大の特徴は、なんといっても「圧倒的に豊富なうどんの種類」だ。驚くなかれ、ここでは常時30種類以上のお土産用うどんを販売している。ここまでの品ぞろえはなかなかお目にかかれないだろう。また、施設内の架け橋夢うどん店とコラボした麺は、与島パーキングエリアでしか購入できない限定品だ。ぜひ押さえておきたい。
お食事処は、香川の県産品を味わえるフードコート、讃岐うどんの専門店「架け橋夢うどん店」の２店舗があり、多くの利用者で賑わっている。
ここで、与島パーキングエリアで働いているスタッフに、各店舗での人気商品について聞いてみる。
売店のディスプレイを担当している井原さんに聞いた。

「売店で人気のお土産は、なんといってもうどんです。少人数用から大人数用までそろっているので、渡す相手に合わせて選べるのがいいですね。また、うどん以外のお土産ですと、丸亀名物の骨付鳥が人気です。最近じわじわとファンを増やしているこの骨付鳥は、大きな鶏もも肉を、独自のスパイスを揉みこんでじっくりとジューシーに焼き上げた商品です。常温で持ち帰ることができる商品も取り扱っているので、お土産にもおすすめです。」

フードコートでは笑顔で接客していた伊場さんに聞いた。

　「フードコートのおすすめメニューは、讃岐御膳です。オリーブ地鶏を使用した親子丼、うどん、たこの天ぷらと、香川県をはじめとした瀬戸内海の美味しいものが〝ぎゅぎゅっ〟とセットになったメニューです。香川を味わいたいならこれを食べておけば間違いなし、の一品になっていますよ。」

フードコートのおすすめ「讃岐御膳」

人気のお土産「骨付鳥」

久しぶりの四国旅行を終え、帰路につく。夕方に、再び瀬戸大橋を渡る。 昼間の紺碧（こんぺき）の風景とうって変わって、夕陽に照らされた瀬戸の海は、一面が朱の世界だ。
さあ、せっかくの美しい夕陽を瀬戸大橋と共に鑑賞しない手はない。私は再び与島パーキングエリアへと降り立った。 展望台「setona」から、瀬戸の島影に沈む美しい夕陽を眺める。
ここ与島パーキングエリアから見る夕陽は、私の知るサービスエリア・パーキングエリアの中でも、特に美しい。 今日も、１日が終わってゆく。振り返れば、数多の人々の夢と希望を運んできた瀬戸大橋と穏やかな瀬戸の海が見守ってくれていた。

与島パーキングエリアから見える夕日