ホーム > 瀬戸マーレ vol.44 > 恵峰さんと巡ろう 四国おへんろ

恵峰さんと巡ろう 四国おへんろ

四国は行く先々に八十八ヶ所霊場の札所があります。旅のついでに足を伸ばしませんか。
参拝しながら歴史や由来を知り、建築、仏像などの美にふれ、心安らぐ充実した時間を過ごせます。

荒々しい室戸岬で修行の地を体感

第24番札所 室戸山 最御崎寺
かつて海岸沿いは大きな石がごろごろあり、道なき難所だった。変わらない景色が延々と続く道は今もお遍路さん泣かせという。

太平洋の荒波が押し寄せる室戸岬の突端にある最御崎寺。「徳島の23番札所薬王寺からは南へ約80㎞。人家のほとんどない道のりを歩かなければならず、修行の道場とされる土佐16ヶ寺のスタートにふさわしい霊場です」と恵峰さん。

室戸岬の東海岸沿いには、若き弘法大師が記憶力を増すために虚空蔵求聞持法の修行をしたといわれる御厨人窟があります。洞窟に入って同じ景色を見ると、お大師様の存在を近くに感じられる気がします。

最御崎寺へは、御厨人窟の先にある登山道を上りますが、車なら室戸スカイラインですぐ。大同2年(807年)に唐から帰った弘法大師が再びこの地を訪れ、虚空蔵菩薩を刻んで本尊とし安置したのが始まりで、亜熱帯植物に囲まれた境内は見どころがいっぱいです。時代の違う仁王像が内側と外側に立つ仁王門や、土佐藩主山内忠義から寄進された重厚な鐘楼堂、本堂は精巧な彫刻が美しく、いつまででも眺めていられます。森にはシイの木に寄生する珍しいヤッコソウも群生。静寂の中で聞こえてくる波の音が日頃の雑念を洗い流してくれます。

御厨人窟から望める空と海だけの景色に弘法大師が感銘し、空海と名乗るようになったといわれている。
「お寺ごとに音や見えるものが違います。最御崎寺では太平洋の荒波と風の音、木々の間から見える海と空です」とご住職。

札所のみかた

本堂に戦争の傷跡が残る

本堂の廊下にあいている不思議な穴は、戦争中にアメリカ軍が室戸岬灯台を爆撃した際の流れ弾によるもの。現在の本堂は大正13年に再興されています。

極楽浄土まで届く石の音

境内の中央に置かれた石は、叩くとキンと鐘のような音がするため鐘石といわれています。極楽浄土まで届くとされ「空海の七不思議」に数えられています。叩く場所で響き方が違うのが不思議。

亜熱帯植物がいっぱい

境内や周辺には、幹が絡み合うアコウや、弘法大師が所望したにもかかわらず断ったため食べられなくなったクワズイモなどが自生。冬の参道を彩る黄色のキバナアマは、ご住職があえて虚空蔵菩薩が好きな色として植えているそうです。

灯台へもすぐ

室戸岬のシンボルである白亜の室戸岬灯台は、参道を仁王門のほうに曲がらずにまっすぐ進んだ先にあります。放たれる光は日本最長で沖合49kmまで到達。ここからは遮るものなく太平洋を見渡せます。

第24番札所 室戸山 最御崎寺

[住所]高知県室戸市室戸岬町4058-1
[宗派]真言宗豊山派  [本尊]虚空蔵菩薩
[開基]弘法大師    [創建]大同2年(807)
[真言]のうぼう あきゃしゃ きゃらばや
    おん ありきや まりぼり そわか

福田 恵峰(けいほう)さん

福田 恵峰(けいほう)さん

神戸市在住。仕事を持ちながら休日だけの札所めぐりを続けて、現在までに20回以上巡拝。そのほとんどが歩き遍路である。歩くたびに新しい出会いがあり、新しい自分を発見すると言う。四国八十八ヶ所霊場会公認大先達。NPO法人遍路とおもてなしのネットワーク理事・女性お遍路相談員。www.omotenashi88.net

〈公認先達〉四国八十八ヶ所霊場巡拝を重ね、弘法大師の教えに帰依し、新しく巡拝する人たちにお遍路の心得などを指導し、手本となることができると認められた人。四国八十八ヶ所霊場会が審査、認定している。

TOPに戻る