ホーム > 瀬戸マーレ vol.44 > プールにウミガメ?廃校が水族館に大変身!
プールにウミガメ?廃校が水族館に大変身!

ウミガメは大人になるまで外見でオスメスを判別することができない。水族館で生まれたウミガメの赤ちゃんは、標識がつけられるぐらい成長したら海へ放流する。

高知県・むろと廃校水族館

プールにウミガメ?
廃校が水族館に大変身!

高知県の東の端、太平洋に突き出た室戸岬の海沿いに、
廃校になった小学校の校舎をまるごと生かした水族館がある。
アクセスは決していいわけではないのに、オープンしてわずか3カ月半で4万人が訪れたという。
話題の水族館にぜひ行かなければ。

主役はウミガメと室戸の魚たち

どんな風に学校が水族館になっているのだろう。一見すると学校のまんま。子どもたちが書いた習字や、黒板、机などがあり、今にも授業が始まりそうな雰囲気だ。理科室、音楽室、図書室もそのまま使われていて子どもの頃に戻ったような気分になる。かつて地元の子どもたちが通った学び舎を、今は室戸の海の生き物が使っている。想像するだけで楽しい。

25mプールをのぞいてみると、悠々と泳いでいるのはウミガメやサメ、ボラ…。縞模様が青く輝く魚は何だろうと思ったら、サバだ。太陽の光を浴びるとこんなにもきれいなんだ。校舎の上階からは群れになって泳ぐ姿を眺められ、かっこいい。手洗い場はナマコやヒトデに触れられるタッチングプールにリメイク。跳び箱は中をくりぬいて水槽になっている。2階の教室だった場所には、直径3mを超える円形の水槽が3つ並び、廊下も水槽で埋めつくされ、色、姿、表情がさまざまな魚や生き物でいっぱいだ。

25mプールでウミガメや魚たちが泳ぐ向こうにダイナミックな太平洋が広がる。

閉校した椎名小学校を水族館に再生したのは、室戸でウミガメの生体調査・研究を行っているNPO法人日本ウミガメ協議会。室戸の海は、岸からわずか数キロのところに深海が広がり、栄養豊富な海洋深層水が湧き上がって、いろいろな種類の魚が集まってくる。ウミガメが定置網に迷い込むと、漁師さんから連絡をもらって調査していたが、ウミガメ以外にも他ではあまり見られない生き物がいることに驚いた。だから廃校になった小学校を有効活用したいという話を聞いたとき、室戸の豊かな海の生き物を紹介する施設にしてはどうかと考えたのだ。

廃校水族館で展示されている魚の約9割は、地元の漁師さんから提供されたものというから面白い。定置網にかかった珍しい魚や、市場では扱わないような生き物などを毎日のように持ってきてくれ、しょっちゅう展示が入れ替わる。フグの仲間で最も深いところに暮らすホシフグや、海洋深層水をくみ上げる際に入り込んだ深海魚のユメカサゴはいかにも室戸らしい魚だ。高知に来るとよく食べるウツボや、食卓によく並ぶ魚も展示され、つい見入ってしまう。輸送などで弱ってしまうため他の水族館ではなかなか展示できない魚も、ここは目の前が海ですぐに運び込めるから見ることができる。どの魚も元気なうちに海へ帰すのがお約束。いつ訪れても新鮮な出会いがあるので飽きない。

2階の教室や廊下は水槽がいっぱい。新しく入ってきた魚を「転入生」と呼び、ユーモアたっぷり。
3階にある理科室には、人体模型、ミンククジラやウミガメの骨、はく製が並び、背負えるカメの甲羅もある。
図書室には海や魚に関する絵本や本があり、懐かしい学習机で読書を楽しめる。
階段の踊り場には、元旦イベントで子どもたちが書き初めをした習字が貼ってある。使っているのは、なんとイカ墨。スタッフが必死に集めたそうだ。
TOPに戻る

室戸の海からやってきた転入生たち

フグの中では最も深い所に暮らすホシフグ。フグ毒があるので食用ではない。
跳び箱を水槽にするアイデアはスタッフから生まれたもの。
タカアシガニの上に乗るユメカサゴ。ユメカサゴはおいしい魚で「食べたい!」と思うかも。
消火用バケツの中には金魚。
水槽の水は目の前の海水を引き込んでいる。新しい環境に魚たちを慣らす必要がないのも転入生が多い理由だ。
ぷかぷか浮くタツノオトシゴが気持ちよさそう。
プールサイドに降りて、青く輝くサバの魚影をじっくり観察。
柔らかそうに思えたヒトデが固くてびっくり。
DATA むろと廃校水族館

海の生き物が大好きなスタッフの愛情を感じられる水族館。さまざまなイベントもあり、7月7日(火)には「七夕企画」を開催。水溶性の短冊に願い事を書き、ウミガメの甲羅に乗せて海へ放流する。

住所/高知県室戸市室戸岬町533-2
TEL/0887-22-0815
営業時間/4月~9月9:00~18:00、10月~3月9:00~17:00
定休日/なし
入館料/高校生以上600円、小・中学生300円
駐車場/あり

TOPに戻る