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せとうち島めぐり

江田島 えたじま

広島県江田島市

海軍の記憶を今に伝える、歴史の鼓動が息づく島

広島湾のほぼ中央に位置する、自然豊かな江田島。明治の世から今日まで、ここは「海の防人」たちが志を磨き、日本を守る使命を繋いできた特別な場所です。

昔ながらのレトロな集落が残る江田島町の海沿いに、1888(明治21)年に東京・築地から移転された帝国海軍の士官を養成する海軍兵学校がありました。先の大戦終結まで、「世界三大兵学校」の一つに数えられていました。

現在は海上自衛隊第1術科学校・幹部候補生学校として受け継がれています。防衛施設としては珍しく、通年で一般見学が実施されており、誰でもその歴史に触れられます。(※一般見学の詳細は、第1術科学校公式SNS・WEBでご確認を)

なかでも目を引くのが、1893(明治26)年にイギリス人建築家の指導で建造された生徒館(現・幹部候補生学校本館)。イギリス積みという手法で建築された総レンガ造りの建物で、通称「赤レンガ」の名で親しまれています。今春入学したばかりの学生たちが、凛々しい立ち居振る舞いで校舎を歩く姿は、まるで映画のワンシーンのよう。実際に、数々の作品のロケ地にもなっています。

敷地内にある1917(大正6)年築の重厚な大講堂や、1936(昭和11)年築の白亜の教育参考館など、壮麗な近代建築としての価値も計り知れません。教育参考館では、海軍関連の資料が約1000点展示されています。神風特攻隊員の遺書を前にすると胸が締め付けられますが、彼らが愛した江田島で、未来を託された私たちがその足跡を知ることは大切なことだと感じます。

島内には海軍ゆかりのスポットが点在し、見どころもたくさん。潮風を感じながらレンタサイクルで巡ったり、「海の防人」たちが鍛錬のために登る古鷹山(標高394m)に挑戦してみるのもおすすめ。

島の日常に触れるなら、切串(きりくし)港近くの「KIRIKUSHI COASTAL VILLAGE」。空き家を再生した複合施設で、島内外の人たちが集うにぎわいの拠点となっています。また、特産品販売所「えたじまーれ」でお土産探しも楽しめます。

歴史の鼓動と、穏やかな島時間を感じる旅へ出かけてみませんか。

重厚な赤レンガの幹部候補生学校本館を案内してくれた海上自衛隊1等海尉・水谷吉克さん
重厚な赤レンガの幹部候補生学校本館を案内してくれた海上自衛隊1等海尉・水谷吉克さん
島へのアクセスは…広島港または呉港から船で。または呉市内から車で。
島へのアクセスは…広島港または呉港から船で。または呉市内から車で。

トリセツ

海友舎(旧江田島海軍下士卒集会所)
海友舎(旧江田島海軍下士卒集会所)
第1術科学校から徒歩5分ほどの中郷地区に建つ和洋折衷の建物「海友舎」。明治後期に、海軍兵学校の兵士や下士官の娯楽・福利施設(海軍下士卒集会所)として誕生した。戦後は民間に払い下げられ、現在は「NPO法人ぐるぐる海友舎プロジェクト」が維持管理している。施設見学やイベントなども実施(要予約)。
江田島市ふるさと交流館
江田島市ふるさと交流館
第1術科学校から徒歩1分。旧海軍兵学校の生徒が休息所とした生徒倶楽部の一つ、「橋中生徒倶楽部」を復元した観光施設。館内には、旧海軍から海上自衛隊へと続く歴史を資料や写真を通して紹介する展示室がある。また観光案内や物販コーナー、コーヒーや焼きたてピザが楽しめるカフェも。周辺散策の拠点に最適!
KIRIKUSHI COASTAL VILLAGE
KIRIKUSHI COASTAL VILLAGE
広島港との航路がある切串港からすぐの複合施設。江田島市の元地域おこし協力隊である蛇草孝介さんが、人が集う拠点を作ろうと、2022年に切串地区の空き家を再生利用してオープンした。カフェや地魚専門店、宿泊施設、コワーキングスペースなどが併設。イベントも開催されている。目前の畑の中にはサウナも。

江田島

住所/ 広島県江田島市

小林 希さん

取材・写真・文 小林 希さん

旅作家・元編集者。著書に『週末島旅』(幻冬舎)や『週末海外』『大人のアクティビティ!』(ワニブックス)など。2014年に広島(香川県)で島の有志と『島プロジェクト』を立ち上げ「ゲストハウスひるねこ」をオープン。2019年に(一社)日本旅客船協会の船旅アンバサダーに就任。産経新聞などで連載中。

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