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情報誌「瀬戸マーレ」

あ!見つけた 瀬戸内の味【瀬戸大橋エリア】郷土

庶民の楽しみが生んだ 晴れの日の「備前ばらずし」

岡山名物「備前ばらずし」は、その華やかな色彩と具の多さが人目をひきます。
時間をかけて味つけを行う、晴れの日のお寿司。そこには、地域の人々の暮らしから
生まれた知恵と、楽しみという名の豊かさが息づいています。

庶民のごちそう 豪華な「備前ばらずし」

豪華絢爛な彩りと具だくさんの味を楽しむ、備前ばらずし。祭りずしの異名を持ち、江戸時代より庶民の祭りのごちそうでした。家族にとどまらず、隣近所や親戚縁者のいる他村とも配り合い、味を競って楽しんだのです。

そのルーツは、五目めしであると言われています。いわゆる「ちらし寿司」とも異なる点は、30種類を超える具材。サワラにアナゴ、エビ、イカ、干瓢に干し椎茸、ごぼう、高野豆腐など、豊富なことしきり。江戸時代に岡山藩主・池田光正が「一汁一菜」の倹約令を推進したことから、これに反発した民によって作られたとの逸話が有名です。

盛り付けるのは、酢でしめた魚以外、生の魚介類は使わないのも特徴です。食べ方も、かつては上の具で一杯やりながら、次にすし飯そのものを、最後に熱いお茶をかけてと、三度楽しんだよう。米も豊富な岡山で、どの家よりも豪華にしよう、どこよりも美味しくしようと切磋琢磨して、華やかなお寿司が生まれ育ったのです。

窪田清一さん
「具材にサトイモが入っていること、ご飯を寝かせる調理工程などから、五目めしがルーツなのは確かだと思います」
と、備前ばらずしを盛り付ける、窪田清一さん

福寿司で味わう伝統の味

「備前ばらずしは、ゆっくり作ってゆっくりいただく。食というより、生活の楽しみだったのではないでしょうか」と話すのは、岡山市内の「福寿司」会長の窪田清一さん。熱心な伝統食研究家であり、郷土食への愛情の深さは人一倍です。

福寿司でいただける備前ばらずしは、具材の一つ一つを、別々に味つけています。サワラをアラ炊きにした汁で野菜を煮込んだり、しめ酢をご飯に加えたりと、仕込みに膨大な時間をかけています。手間ひまかけて作る伝統食なので、一日限定20食。2日前までの予約が必要です。伝統の味を求めて、遠方からもファンが訪れています。

現在、店の大将をつとめる息子さんの悟(さとる)さんと共に
現在、店の大将をつとめる息子さんの悟(さとる)さんと共に

大黒柱のサワラ 岡山では刺身にも

備前ばらずしで大活躍するサワラは、岡山では「刺身」として味わうことができます。

「サワラを生で食べる伝統は、岡山だけですね。サワラは、一日中ずっと泳ぎまわる回遊魚なので、常に酸素が必要です。酸素がなくなると、途端に弱るので、鮮度を保つのが難しいんです」と窪田さん。絶好の産卵場である備讃瀬戸では、とれとれの新鮮魚が、庶民にまで広くいきわたりました。さらに、備前ばらずしになくてはならない大黒柱であったことも加わって、サワラは岡山の味として定着したのです。

新鮮なサワラを味わうため、全国一の消費量を誇り、今では他県からもサワラが送られてくるほどです。

「鰆」と、魚に春と綴るように、岡山の春になくてはならない魚、サワラ。刺身、タタキ、塩焼きと、様々な料理があるのは、岡山ならではの食文化なのです。

サワラの刺身とタタキ
サワラの刺身とタタキ。
刺身はぶつ切りのものを食感と共に味わう
福寿司

住所/岡山県岡山市北区奉還町2-16-17 TEL/086(252)2402
営業時間/午前11時~午後2時30分、5時~9時30分LO。日祝=~午後8時30分LO 休み/月曜
URL/http://www.fukuzushi-okayama.jp

●喜怒哀楽

岡山で2010年より登場した、創作寿司の「烏城黄金すし」。岡山城をイメージして、天守閣の黒壁と、金色の瓦やしゃちほこを表現。黒豆に金粉を飾り、特産の黄ニラを用いるなど、郷土料理の新しい顔として期待されています。


各寿司店で創意工夫がされるなか、岡山市内の「喜怒哀楽」では、烏城の黒塗装の下見坂に模した箱に、岡山自慢の食材をたっぷり盛り込んで作られています。

春の行楽のお供にすると、岡山をより深く感じられるかもしれません。

創作寿司の「烏城黄金すし」

住所/岡山県岡山市北区下伊福2-9-21 TEL/086(254)4455
営業時間/火~土曜=午前11時~午後2時LO、5時30分~10時LO、日祝=午前11時~午後2時LO、5時~9時LO
休み/月曜 URL/http://www.kidoairaku.co.jp/

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おすすめ

●RSKバラ園

3万m2の同心円形花壇に、400品種、1万5,000株のバラが植えられた大規模バラ園。
見頃は5月中旬~6月中旬、10月中旬~11月中旬。4月には、チューリップ、桜、ボタンなども楽しめます。


住所/岡山県岡山市北区撫川1592-1 TEL/086(293)2121
営業時間/午前9時30分~午後5時 休み/水曜(4~6月、10~11月は無休)
料金/大人600円、小人300円

RSKバラ園
●岡山市半田山植物園

岡山市街を一望できる、半田山の丘陵地にある植物園。
約11万m2の園内では、3,200種、15万本の四季の花木を楽しめます。春は桜、さつき、バラほか、ハーブ園もあり。


住所/岡山県岡山市北区法界院3-1 TEL/086(252)4183
営業時間/午前9時~午後4時30分(入園は4時まで) 休み/火曜
料金/大人300円、小人120円

岡山市半田山植物園
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