龍河洞は、日本三大鍾乳洞の一つに数えられている。
1億数千万年という、気の遠くなるような時間をかけて出来上がった洞穴である。
雨水や地下水が石灰岩を侵食して造った、自然の地下迷路をのぞいてみたい。
地球の中はどんなふうになっているんだろう?
龍河洞の入口は思った以上に小さかった。洞穴を覗き込み、子どもに戻ったような気分でワクワクしながら暗い穴の中を進むと、突然パッと視野が広がり、目の前に幻想的な光景が現れた。頭上に広く黒い闇が広がっている。高さ30mの大きな空洞だ。
わっと驚いて挙げた声が闇に吸い込まれていく。周囲を見回すと、無数の岩のつららが垂れている。上から垂れているつららが鍾乳石で、下からタケノコのように伸びているのが石筍。2つがつながると石柱になるというのだが、このつららが1cm伸びるのにかかる時間はなんと100年!地底の洞穴は、時間を超越した別世界だった。
![]() サボテンの丘/石筍がたくさん並んでいて、サボテンのように見える。暗い洞穴で、ライトに照らしだされる岩が幻想的だ |
![]() 記念の滝(滝つぼ)/洞内で一番大きな滝で、きれいなのはその滝つぼだ。岩の間を流れて、ろ過された水はあくまでも透き通っている。淡いライトに浮かぶ、水面の底に白い岩が見えて涼しげだ |
![]() 天降石・絞り幕/高さ11mの洞内最大の鍾乳石。右側には高さ6mのカーテンのような鍾乳石がある |
上下左右に曲がりくねった洞穴は総延長4kmに及び、そのうち約1kmが公開されている。一般観光コースには、高さ11mの滝や深い谷があり、クラゲやシャンデリア、お釈迦様に聖母マリアなどと命名された、実に絶妙な形をした鍾乳石や石筍が次々に現れる。深さ30mという暗い洞穴には、2~3万匹ものコウモリが生息し、時折、底から吹き上げる風に乗って餌を求めて飛び出してくるというから、スリル満点だ。
出口付近には、約2千年前の弥生人が生活していた跡がある。弥生時代の土器のかけらが発見当時のまま残されており、世界で唯一、龍河洞にしかない「神の壺」を見ることができた。弥生人がここに置き忘れたと思われる壺が、2千年の間に炭酸カルシウムにおおわれて、岩に半分埋まってしまったらしい。2千年の時を止めてしまった、まさに神の壺なのだ。
洞穴の外へ出ると、緑がまぶしかった。この緑も2千年前からこんなだったのか?時間の止まった世界から戻ってきたような、不思議な気分のまま下山した。
龍河洞冒険コース
観光コースの途中から分かれて、冒険コースがある。200mほどの行程だが、狭い洞穴を這いつくばって進んだり、高い岩壁にかけたロープをよじ登ったり、1時間半ほどのアドベンチャー体験ができる。入洞前に貸してもらえるヘルメットとヘッドランプを付けて入り、本格的な探検気分が味わえる。
【DATA】
住所/高知県香美市土佐山田町逆川1424
Tel/0887(53)2144
利用料金/大人(高校生以上)1,100円、中学生700円、小学生550円(税込)
営業時間/8:30~17:00(最終入洞時間、冬期は16:30まで)。年中無休
※冒険コース(要予約)は、基本料金プラス1,000円(ヘルメットとヘッドランプを無料貸出)。つなぎ服・長靴は、レンタル料1,000円(税込)
龍河洞を出て次に訪れたのは、花とフルーツの観光農園・西島園芸団地。
一年中、色とりどりの花が咲き、新鮮なフルーツが実っている。
地底探検で大自然のロマンを満喫したあとに、大地の恵みをたっぷり味わえるなんて最高、南国土佐バンザイだ!
巨大な温室がずらりと並ぶ西島園芸団地の園内に入ると、頭上にブーゲンビリアの花が一面に咲き競っている。赤や紫、黄色など、ブーゲンビリアの花がこんなに色とりどりとは知らなかった。ほかにも南米や南アフリカ、アジアなどの原色系の花がいっぱい。バナナも実をつけている。まさに南国の楽園だ。
この農園には1棟3,300㎡(千坪)という大きな温室が10数棟もあり、各温室でマスクメロンやイチゴ・フルーツトマト・マンゴー・スイカなどを栽培している。春から初夏にかけては、イチゴ狩りとフルーツトマト狩りのシーズン真っ盛り。好物のフルーツを採り放題というのがうれしい!リピーターになってしまいそうだ。
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カラフルなブーゲンビリアやバナナなど、南国の植物・花がいっぱい。園内で栽培している約200種の草花や、珍しい食虫植物、サボテンなどはすべて販売している | |
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イチゴ狩り 品種は、「さちのか」と「紅ほっぺ」。広い温室いっぱいに、上下2段の栽培棚が並んでいる。 【DATA】 西島園芸団地のイチゴ狩りは、食べ放題・時間無制限。 料金(税込)/1月〜3月末日まで:1人1,350円、4月~6月上旬:1人1,050円、幼児(3歳以上小学生未満)500円、3歳未満は無料。(注)実施期間は、気候などにより変動するため、事前に問合せを |
高知県は、フルーツトマト発祥の地。2月下旬~6月下旬(要問合せ)のフルーツトマト狩りは、自分で選んで摘みとり計量する、量り売りが好評だ。品種は、フルティカ/ミニトマト |
園内のカフェでは、農園でとれた新鮮なフルーツを使ったトロピカルドリンクやスイーツを思いっきり味わえる。人気ナンバーワンの「メロンのしっぽ」は、ハーフカットのメロンの上に、ソフトクリームのタワーが乗っているという夢のコラボレーション!思わず顔がほころんでしまう。
メロンの大きさに一瞬たじろいだが、新鮮なので甘さも爽やか。あっという間に食べ終えてしまった。マンゴーもスイカも飛びきり甘い。みんなでシェアしながら注文した分を全部平らげて、フルーツの山に埋もれたような幸せな気分にひたった。
![]() イチゴとブルーベリーのパンケーキ |
![]() メロンのしっぽ ソフトクリームと甘いメロンの果肉を一緒に口に含むと、予想を超える美味しさ。季節のフルーツもトッピングされた、人気メニュー |
【DATA】
住所/高知県南国市廿枝600
Tel/088(863)3167
営業時間/9:00~17:00
年中無休
入園無料
フルーツ券780円(税込)
高知県香美市香北町は、やなせたかしのふるさと。アンパンマンが生まれてからすでに40年以上も経つが、アンパンマンは今でも子ども達の人気者だ。 アンパンマンミュージアムには、やなせたかしが描きおろした絵画や貴重な絵本原画が展示されている。また、やなせたかしのライフワークのひとつだった雑誌「詩とメルヘン」の作品を集めた「詩とメルヘン絵本館」も併設している。
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4Fギャラリーでは、やなせたかしがこのミュージアムのために描いた一点物の絵画や、各種作品の原画を見ることができる | 壁に、アンパンマンに出てくるキャラクターが描かれているのが楽しい。単独のアニメーションシリーズでの最多キャラクター数として2009年ギネス世界記録に認定された |
開催中の特別展
チリンのすず展 ーやなせたかしもひつじ年ー
「チリンのすず」は、やなせたかしの絵本の中でも、代表作とされる作品。子羊のチリンとオオカミのウォーのせつない物語は、今も読み継がれている。絵本の原画展。
期間/2月11日(水・祝)~5月11日(月)
会場/詩とメルヘン絵本館
入館料(絵本館のみ)/大人400円、中高生200円、小学生100円
©やなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV
国道から、ばいきんまんがつくったメカ「だだんだん」の超大型像が目印。ミュージアムの建物は外光を採り入れた設計なので、館内は明るく、ほのぼのとした気持ちになれる
【DATA】
住所/高知県香美市香北町美良布1224-2
Tel/0887(59)2300、開館/9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日/火曜日(祝日の場合は翌日)
入館料(2館共通)/大人700円、中高生500円、3歳~小学生300円