ホーム > 瀬戸マーレ vol.33 > そそりたつ岩肌がダイナミックな石の島

樹齢1200年の大楠は、おだやかな森の巨人のようだった。

約30の島がある笠岡諸島の中で一番大きい北木島。
島全体が花崗岩ででき、良質の石が採れる「石の島」として知られている。
採石場の切り立つ岩肌やその底に広がるエメラルドグリーンの湖は
吸い込まれそうな美しさと迫力で迫ってくる。

北木島へ伏越港からフェリーで向かう。大小さまざまな島が飛び石のように現れ、個性豊かな島影やのどかな暮らしの風景が日常を忘れさせてくれる。ひときわ大きく、岩肌があらわになった島が見えてきたら北木島だ。

北木島は古くから採石や石材加工業が盛んで、最盛期は100を越える採石場(丁場)があったという。粘りがあって加工が容易で、石質が硬く吸水率の低い北木石は変色しにくい。徳川幕府が再築した大阪城の桜門や靖国神社の大鳥居、東京駅丸の内駅舎など名だたる歴史的建築や建造物、墓石に使用されてきた。現在は安価な輸入石材に押されて採石場は減ったが、表面を削り取られた採石跡地や切り出した石があちらこちらにあり、その荒々しさはほかでは見られない光景だ。

なかでも120年以上前から採石を続ける鶴田石材の採石場に設けられた展望台からの眺めは圧巻。下へ下へ石を切り出していった採石場は断崖絶壁で、底には雨水が貯まってできた丁場湖が広がり、高低差は約70mと足の震えが止まらないほどスリリング。岩肌の下部はまばゆいほど白く、エメラルドグリーンの丁場湖とのコントラストが神秘的。石が不純物を吸着して水を浄化し、エメラルドグリーンの輝きを生むそうで、島内には石と水たまりがつくりだす絶景がいっぱいだ。どこか異国にいるようで、周囲に目を移せば島ののどかさを感じる不思議な魅力にひきこまれた。

地下深くの石は大きな圧力がかかり、結晶が凝縮された良質の石が採れる。迫力ある景観には石工さんたちの苦労がある。
光の具合で印象が変わる

北木の桂林

4社の採石場跡地で雄大なスケールが中国の桂林のよう。近くは立ち入り禁止。離れた場所から見よう。

北木のベニス

石材加工場からでた端材を石積みにした港。ボートが係留してあり、水の都ベニスを連想させる。

驚きの透明度

トレビの泉

道路拡張でできた空間に敷いた石の端材が水を浄化し、エメラルドグリーンの水をたたえている。

楠海水浴場

人が少なく、プライベートビーチ気分で楽しめる海水浴場が北木島にはいっぱい。

しま取説

行き先や目的別に船を選ぼう。

北木島は周囲18・3㎞。島内に交通機関はないので、徒歩の場合は行き先や目的に応じて船を選びましょう。

船によって発着場が異なります。

北木島へのアクセス手段はフェリーと定期旅客船(普通船、高速船)があり、それぞれ発着場が異なります。

フェリー

笠岡の伏越港から出て、豊浦港と金風呂港に停まります。
※採石場跡地は豊浦地区・金風呂地区に多い。

定期旅客船

笠岡港の住吉乗り場から出て、楠港と大浦港に停まります。
※定期旅客船(普通船)は、高島や白石島などに立ち寄るので、笠岡諸島巡りを楽しめます。

北木島グルメ

数件しかない北木島の飲食施設の中で見逃せないのがラーメン。
両店とも個性的で忘れられない味です。

鶏ガラだしの醤油スープに、歯ごたえのある親鶏のチャーシューがおいしいラーメン。麺を食べた後のスープをかけて味わう“ラー茶”がさっぱりしたうま味で二度おいしい。

「中華そば 大福」
笠岡ラーメン・ラー茶セット \800
ラーメン茶漬け

DATA「中華そば 大福」
●住 所  岡山県笠岡市北木島町10364-22
●電 話  090-1684-6230
●営業時間 11:00~14:00
●定休日 月曜日

島の海岸で採れた亀の手をスープに使用。亀の手は地元で肝臓に良いとされ、ふくよかなうま味とほんのり磯の香りが広がり、あっさり味わえます。

「港屋」
亀の手ラーメン \600
手作りチャーシューが美味

DATA「港屋」
●住 所  岡山県笠岡市北木島町3884
●電 話  0865-68-2046
●営業時間 11:30~14:00
●定休日 土・日・祝日

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