流れ出た水が階段状の石を伝い、滝となって落ちる様子を音とともに鑑賞する石と水の芸術作品「染が滝」。
流れ出た水が階段状の石を伝い、滝となって落ちる様子を音とともに鑑賞する石と水の芸術作品「染が滝」。
staying
tour(滞在型の旅)の魅力は、旅先でゆっくりと過ごせること。つまり時間に追われず、「余白」を楽しめることにある。舞台に選んだのは、香川県高松市北東部に位置する屋島。市街地からのアクセスが良く、標高292mの台地状の低山は、平安時代の「屋島の戦い」の戦場としても知られている。また、四国霊場第八十四番札所屋島寺、瀬戸内海の抜群の眺望を満喫できる獅子(しし)の霊巌(れいがん)などの名所も点在。山麓にある「四国村ミウゼアム」は、広大な敷地に多彩な文化的施設があり、学びと感動に満ちている。
「余白」に満ちた秋旅へ、いざ。
四国には海があり、山があり、清流がある。変化に富んだ地形や気候が育んできた営みや風習が、各地に根付いている。そんな四国の多彩な魅力に、建造物を通して触れられるのが、屋島山麓にある野外博物館「四国村ミウゼアム」。約5万㎡の広大な敷地には、江戸〜大正時代に建てられた古民家などの歴史的建造物が集められている。多くは国や県の重要文化財に指定されており、各時代にタイムスリップしたかのような気分を味わうことができる。


まず出迎えてくれるのは、徳島県の秘境・祖谷(いや)地方の象徴とも言える「かずら橋」。3.5tのシラクチカズラを使って再現したもので、一歩進むごとに橋がゆらゆらと揺れる。また、香川県の伝統的産業の足跡に触れられるのは、3棟ある「砂糖しめ小屋」。古くからの香川県の名物・讃岐三白(砂糖、塩、綿)のひとつである精糖において、原料のサトウキビの汁を搾る作業を行なった建物だ。「宮崎家砂糖しめ小屋」と「冨木田家砂糖しめ小屋」(TOP写真)の2棟は、国の重要有形民俗文化財に指定されており、円形の建物に円錐形の茅葺き屋根が架けられた様子が印象的だ。

歴史的な趣を漂わせる建物のなかで、異彩を放っているのは「四国村ギャラリー」。四国村創設者の加藤辰雄が集めた美術品を展示するために、2002年に開館した。中国の金銅仏やフランスの絵画など、珠玉の美術工芸品もさることながら、建築家・安藤忠雄氏が設計したモダンな建物も見どころ。美術館のバルコニーから望む水景庭園は、アートさながらの美しさだ。
安藤建築の特徴ともいえる鉄筋コンクリート打ちっぱなしを基本に、東西にはガラスの開口部が設けられ、自然光が生み出す陰影や外部空間の木々も美しさを添える(「四国村ギャラリー」)。


このほか、彫刻家・流政之氏の作品「石組」や「染が滝」は、差し込む光や作品を包み込む周囲の景観、清々しい水音など、季節や時間帯によって変化する要素も含めた一期一会のアート作品として鑑賞できる。

遊歩道を登り切った先の「灯台エリア」には、日本のモダニズム建築の息遣いを感じさせる灯台と3軒の退息所(※)が佇む。長らく航行の安全を見守った建物を眺めていると、山上にいながら、潮風が吹き抜けていくような錯覚を覚えることだろう。
※退息所…灯台守の住居


住所/香川県高松市屋島中町91
TEL/
087-843-3111
営業時間/9:30〜17:00(最終受付16:30)
休み/火曜(祝日の場合は翌平日)
料金/大人1,600円、大学生1,000円、中高生600円、小学生以下無料
駐車場/あり
HP/
https://www.shikokumura.or.jp
Instagram/
四国村ミウゼアム(四国村)
「四国村ミウゼアム」の散策を終えて、四国村エントランスにある施設「おやねさん」へ。中にはミュージアムショップやライブラリー(展示スペース)があり、うねりのある屋根や木のステンドグラスなど、建物の意匠そのものも興味深い。
イギリス人夫婦の邸宅として1905年に建てられた神戸異人館を移築した建物。寄棟造・桟瓦葺の建物入り口には、ポーチがありベランダが広がる。
隣接する「四国村カフェ」は、1905年に兵庫県神戸異人館として建てられたコロニアル様式(※)の洋館を移築したもので、日本郵船の船員寮として使われていた歴史を有する。優雅な雰囲気の建物のみならず、イギリスから取り寄せたビクトリア王朝時代の家具や調度品も見事。スパイスを効かせた「グルジアン・ティー」とサクサク食感のマフィンでティータイムと洒落込むのもいい。

※コロニアル様式…17〜18世紀のイギリスやスペイン、オランダの植民地で見られた建築スタイル。
また、香川県といえば「うどん」。「ざいごうどん 本家わら家」は、ざいご(在郷)の名の通り、故郷に帰ったかのような趣が心を惹きつける。名物の釜揚げうどんは、熱々のつけ汁ともっちりとしたうどんが好相性だ。

住所/香川県高松市屋島中町91 四国村内
TEL/
087-843-3114
営業時間/9:30〜17:30(17:00 L.O.)
休み/無休(貸切利用やメンテナンスで臨時休業あり)
駐車場/あり
HP/
https://www.shikokumura.or.jp/guide/facilities/shikokumura-cafe/
住所/香川県高松市屋島中町91 四国村内
TEL/
087-843-3115
営業時間/9:30〜17:30(17:00 L.O.)
休み/無休
駐車場/あり
HP/
https://www.wara-ya.co.jp
全長約3.7kmの屋島スカイウェイは、快適なドライブコース。山上では屋島の地形に沿ってデザインされた「高松市屋島山上交流拠点施設 やしまーる」を訪ね、獅子の霊巌からの景色を満喫する。カフェなどもあり、爽やかな秋の気配を感じながら思い思いのひと時を過ごすことができる。

山麓には、ぜひ訪ねたい2軒のお店がある。1軒目は、リノベーションした集合住宅の1階にある「ari pan」。大阪で修業した店主が、香川県へとUターンして2016年にオープンしたパン店だ。シャビーなショーケースに並んだパンは、フィリングと生地の相性がばっちりで、自宅まで待ちきれず店先のベンチでかぶりつく人もいるほど。

2軒目の「パーラーエメラルド」は、店主の父の実家をリノベした建物で、ボリューム満点のランチを提供している。数種類から選べる主菜に、地元の野菜をたっぷり使った味噌汁や副菜、釜炊きのご飯など手作りにこだわっている。「ここはおしゃれなカフェではなく、気取らずお腹いっぱい食べられる食堂なんです」と笑う店主。お腹も心も満たしてくれる、とっておきの店なのだ。
昔ながらの日本家屋を、昭和レトロな雰囲気にアレンジ。食器やインテリアにも、どこか懐かしさを感じる。メニューはランチのみで、おかずはアスパラ肉巻きフライやエビフライなど7種類から選べる。すべてのメニューに、プリンと食後のドリンク付き(1,400円)。

住所/香川県高松市屋島東町1803-2
営業時間/11:00〜16:00(日により〜17:00)
休み/水・木曜
駐車場/あり
Instagram/
やしまのジェラテリア
住所/香川県高松市屋島東町1784-6
TEL/
087-802-8466
営業時間/9:00~17:00(金・土曜、祝前日は~21:00)
休み/火曜(祝日の場合は翌平日)
料金/無料
駐車場/あり
HP/
https://www.yashima-navi.jp/jp/
Instagram/
やしまーる
住所/香川県高松市屋島西町2453-20 RENOWA YASHIMA 103
TEL/
087-880-5151
営業時間/10:00〜17:00(売り切れ次第終了)
休み/月・火曜
駐車場/あり
Instagram/
ari pan
住所/香川県高松市屋島中町429-3
TEL/
087-887-9741
営業時間/11:00〜16:00(15:00 L.O.)
休み/日曜
駐車場/あり
Instagram/
パーラーエメラルド
※掲載価格などは、変更される場合がございます。
※駐車場ありには有料や提携、近隣の公共駐車場も含まれます。