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せとうち島めぐり

豊 島

香川県小豆郡

「アートの次の日」を楽しめる、交流と体験の島

豊島は、小豆島の西方約3.7kmに位置する島で、2010年より瀬戸内国際芸術祭が開催されるアートの島の一つ。訪日外国人をふくめ、たくさんの観光客が訪れるようになりました。ところが、アートを観て日帰りで帰ってしまう観光客が多く、島のみなさんは、「美術館の次の日をどう過ごしてもらうか」と頭を悩ませてきました。

そこで最初に取り組んだのは、宿を作ること。島のおじいちゃん、おばあちゃんたちが農林漁家民宿の許可を取って、民泊をスタートさせました。

それから10年以上が経過し、当時民泊をスタートさせた人たちが、令和4年に、てしま農泊推進協議会を発足。その中で中心的に活動している若きエースは、令和3年に農林漁家民宿「とくと」を開業した濱中玲子さんとオーストラリア人の旦那さん。世代を超えたワンチームとなり、宿泊の受け入れに留まらず、「漁師さんと地引網漁体験」「島民がガイドする電動サイクリングツアー」などのアクティビティも提供を開始!

中でも、漁師の生田清人さんが行う地引網漁体験は、「たった2人からでも行える」という画期的なもの。小豆島の漁師さんが発明したそうで、それを〝豊島の体験〟にしようと、生田さんが習いに行ったのです。

美しい海を目前に、「せーの、せーの」とみんなで網を引いて、獲れたタイなどの魚をその場で捌いてもらって、新鮮な海の幸に感動!翌日は、電動サイクリングツアーに参加し、壇山に登って、豊島美術館に寄って、島民ガイドさんと棚田でお弁当を食べて。お弁当は、島外の専門家と島のおばあちゃんが開発した“おばあちゃんのお弁当”。

帰る頃には、きっと、アート以上に心に残る思い出がたくさん出来ることでしょう。

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通常、大人数が必要な地引網漁体験ですが、豊島では超少人数でも体験できるように!
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島へのアクセスは…高松港(香川県)、宇野港(岡山県)から船が運航。直島、犬島、小豆島からの船もある。

トリセツ

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壇山
豊島の人たちが「天気のいい日はぜひ!」と絶賛おすすめする壇山。標高340mあり、電動サイクリングで行くと楽ちん。山頂からは、360度のパノラマが広がり、瀬戸内海の多島美にうっとり。日本離島センターの「しま山100選」にも選ばれています。飲み物を忘れずに!
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豊島のおばちゃんの店 うらら
「豊島のおばちゃんの店うらら」で、豊島の海の幸、山の幸が詰まったお弁当を販売しています。ほとんどが島の食材という贅沢さ。島のおばあちゃんたちが島外の専門家と試作を重ね、心を込めて開発しました。漁師の生田さんが獲ってきたタコを使ったタコ飯むすびも人気。お弁当は予約制です。
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石のある風景
豊島はかつて石材産業も行っていて、なんと一千人の石工さんたちがいたのだとか。採れた石は「豊島石」という名で呼ばれ、柔らかく加工しやすいことで、さまざまな建材や加工石材として重宝されてきました。そんな豊島石が見られる情緒的な集落を歩くのもおすすめです。

※店舗営業情報等についてはHPよりご確認ください。

小林 希さん

取材・写真・文 小林 希さん

旅作家・元編集者。著書に『週末島旅』(幻冬舎)や『週末海外』『大人のアクティビティ!』(ワニブックス)など。2014年に広島(香川県)で島の有志と『島プロジェクト』を立ち上げ「ゲストハウスひるねこ」をオープン。2019年に(一社)日本旅客船協会の船旅アンバサダーに就任。産経新聞などで連載中。

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