ホーム > 瀬戸マーレ vol.10 > アートのすすめ vol.9
情報誌「瀬戸マーレ」

アートのすすめvol.9 気ままに作品を鑑賞し、リフレッシュできる 名勝・縮景園に隣接するやすらぎの美術館

隣接する緑豊かな縮景園との調和を図り、1996年にリニューアル・オープンした広島県立美術館。約1,300m2の広々とした展示スペースを持ち、現代美術から日本画、彫刻、工芸まで約4,500点に及ぶ所蔵作品は、美術ファンならずとも心を奪われます。

開放感あふれる空間で、自由にくつろぎ、美術に親しめる

縮景園と一体になったエントランスホールは憩いのスペース
縮景園と一体になったエントランスホールは憩いのスペース

広島城から平和記念公園を結ぶ文化の道沿いにある広島県立美術館。吹き抜けの開放感あふれるエントランスホールの向こうには、広島藩主浅野長晟により元和6年(1620年)から築成された緑豊かな回遊式庭園「縮景園」が広がり、ここが都心であることを忘れさせてくれるほど。

館内は展示室以外は誰でも自由に出入りができ、気軽に芸術に親しみ、安らげる空間づくりがなされています。図書館で美術図書や美術雑誌を閲覧したり、情報ギャラリーで美術情報を手に入れたり。

ミュージアムショップやレストラン、ティールームでくつろぎながらアートについて語り合うのも楽しいものです。また、縮景園を眺められる休憩スペースや展望ロビーもあり、連絡通路からは直接、縮景園へも行けます。

TOPに戻る

ダリをはじめ、1920年から1930年代の傑作が多数

所蔵作品の展示フロアでは、広々としたスペースにゆったりと作品が並べられている
所蔵作品の展示フロアでは、広々としたスペースにゆったりと作品が並べられている

そんなリラックスした雰囲気の中、2階では同館の多彩な所蔵作品を鑑賞できます。そのひとつが近代美術の萌芽期である1920年から1930年代の作品。名作はもちろん、美術愛好家にもあまり知られていないようなユニークな絵画や彫刻がたくさんあります。

圧巻は、シュールレアリスムの代表的作家サルバドール・ダリの「ヴィーナスの夢」。舞台背景として描かれた同作は、大きさもさることながら、ダリ作品に欠かせない蟻や燃えるキリンなどのモチーフが描かれ、独特の存在感を放っています。
また、アレクサンダー・コールダーの「Vertical White Frame(四角い白い枠)」は、空気の流れによって彫刻(モビール)が動き、見る楽しさを広げてくれます。

これらのモダンアートの作品については、近くにあるフランス印象派の作品を多く収蔵するひろしま美術館、第二次世界大戦以降の現代美術を主に扱う広島市現代美術館とあわせて鑑賞すると、近現代美術の流れを把握でき、大きな魅力になっています。

TOPに戻る

工芸や広島ゆかりの作品も注目 鑑賞の楽しみを広げる工夫もいろいろ

ワークシートと照らし合わせながら鑑賞すると、作品の魅力がよりわかる
ワークシートと照らし合わせながら鑑賞すると、作品の魅力がよりわかる

日本とアジアの工芸作品も見逃せません。日本磁器の傑作とされる伊万里柿右衛門様式色絵馬をはじめ、中央アジアの染織品、装身具などを多数所蔵。広島ゆかりの作家の作品も充実し、特に靉光、平山郁夫、奥田元宋については代表作が網羅されています。

所蔵作品を見る際は、展示室の入り口にあるワークシートと呼ばれるカードを手にとって見てください。鑑賞のヒントや分かりやすい解説があり、作品をより深く楽しめます。

他にも、3階では特別展、地階では地域の方々が創作した作品を展示。ギャラリーガイドやギャラリートーク、子ども向けのプログラムやロビーコンサートなども行われています。気の向くまま芸術に触れ、自然に親しめる広島県立美術館。ここに来れば目に心に豊かなひとときを過ごせます。

取材/せとうち美術館ネットワークアドバイザー 山木朝彦

TOPに戻る

イベント情報

■特別展
「スキタイ黄金美術の煌めき ウクライナの至宝」

期間/2011年9月13日(火)~11月13日(日)
黒海周辺に強大な国家を建設した古代遊牧民、スキタイ。その王の墳墓に副葬された黄金の装身具を中心に、約200点の資料を展示。

[関連企画]
1.ギャラリートーク

日時/会期中の毎週金曜日 午前11時~、午後6時~
2.ロビーコンサート
日時/会期中の毎週土曜日 午後1時~

■特別展
「抱きしめたい! 近代日本の木彫展」

期間/2011年11月29日(火)~2012年1月15日(日)
日本の近代木彫に焦点をあて、高村光雲、米原雲海など明治期から現代にかけて木による造形表現がどのように受け継がれてきたかを紹介。

■所蔵作品展

期間/2011年10月4日(火)~12月25日(日)
●彫刻家 圓鍔勝三の世界 Part1
●ナチスに「退廃」の烙印をおされた美術家たち
●没後100年 広島洋画界の先達・小林千古

期間/2011年9月27日(火)~11月6日(日)
●孤高の日本画家 船田玉樹

期間/2011年9月27日(火)~12月25日(日)
●騎馬の民・トルクメン人の世界~装身具と民族衣装

期間/2011年11月8日(火)~12月25日(日)
●深まりゆく秋

DATA

住所/広島県広島市中区上幟町2-22
TEL/082(221)6246
開館時間/9:00~17:00(金曜日は20時まで)入館は閉館30分前まで
休館日/月曜日(祝日・振替休日を除く)、年末年始
料金/所蔵作品展:一般500円、大学生300円、高校生以下無料
※特別展は各展覧会毎に設定
アクセス/JR広島駅より約1km
HP/http://www.hpam.jp/

広島県立美術館 アクセスマップ

せとうち美術館ネットワークとは

瀬戸内の美術館が相互にネットワークを形成して、地域全体としてのアートの魅力を発信する組織が「せとうち美術館ネットワーク」です。ネットワークでは「子どものアート感想文」募集などを通じて、教育普及活動にも力を尽くしています。

せとうち美術館ネットワークの詳細については、ホームページにてご紹介しています。
http://www.jb-honshi.co.jp/museum/

TOPに戻る