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情報誌「瀬戸マーレ」

神戸  ジャズにときめく夫婦の旅

夢に見たジャズの街へ

異国情緒あふれる港町、神戸。明治の開港から、世界の文化が
入ってきて150年近くになる。JAZZ音楽も、神戸の顔の一つ。
老舗ライブハウスやジャズ喫茶など、今も変わらず愛されている、
神戸の街の、レトロなおしゃれムードを楽しみたい。

異国文化の栄えた街角で

神戸、それは甘くほろにがい青春の薫る街。

学生時代を神戸で送った私たち夫婦にとって、思い出の土地でもある。卒業と共に離れたかの地に今、再び二人で訪れた。

妻と二人で旅するなど、何年ぶりのことだろう。学生の頃によく聴いたジャズからも、今では全く離れてしまった。

そんな思いで立ち寄ったのは、元町にあるジャズ喫茶の店「Cafe 萬屋宗兵衛」。オープンして12年というから、もちろん入るのは初めてのこと。だが、地下への階段を下りて、店のドアを開けると、たまらなく懐かしい気持ちに包まれた。

神戸は、明治の開港からぐんと栄えた街だ。イギリス、フランス、ドイツ、アメリカと実に様々な国の文化が流れ込んだという。ジャズ音楽もその一つ。日本のジャズ発祥の地でもあるのだ。

カフェの店内には、グランドピアノが置かれ、壁の棚にはレコードジャケットがぎっしりと並んでいる。学生時代にはレコードを買ったり、ライブにも行ったものだ。そう、ジャズを聴いていると、あの頃の記憶がよみがえってくる。タイムスリップしたような、昔懐かしい店の空気の中で、もう一度あの頃の夢を見たい、なんて気分になってきた。

心地よいジャズの流れるカフェで、懐かしい雰囲気を味わう
心地よいジャズの流れるカフェで、懐かしい雰囲気を味わう
Cafe 萬屋宗兵衛

「以前だとジャズミュージシャンは、海外や東京へ出る人が多かったんですが、最近は関西に残って頑張る人も増えてますよ」と語るマスターの蜂谷龍司さん。入り口や店内にライブ情報などのフライヤーも。


住所/兵庫県神戸市中央区元町通1-8-4-B1
TEL/078(332)1963
営業時間/午前10時~午後6時。ライブ時は、午後10時まで
休み/木曜
URL/http://soubei.net/

(写真左)入り口や店内にライブ情報などのフライヤーも(写真右)マスターの蜂谷龍司さん

石畳のある北野の街歩き

カフェを出たあとは、異人館のある「北野坂」へ足を延ばしてみた。

神戸の港を一望できる北野町で、「ラインの館」を訪れる。ラインの館は、フランス人によって建てられたもので、ドイツのライン川ではなく、板壁の横線、つまりラインの美しい建物ということから名付けられている。そう妻に話すと、「学生のときも、その話、聞いたわよ」と、笑われる。

そのあとは、石畳の坂道を下りながら、通りに並ぶ店を見て歩いた。ここ北野坂は、別名「ジャズストリート」というようだ。ジャズライブの老舗「SONE」が、今も変わらない様で佇んでいるのも見つけた。

ジャズのうんちくを語りながら、歩き続ける。神戸らしいお洒落な店が並んでいて、妻はそちらの方が気になるらしい。バッグやアクセサリーに、ガラス細工の店などを目にするたびに、表情が輝く。ふむ。それもまたよしと、買い物に付き合うことにしたが、こちらは段々と口数が減ってきてしまう。

そんな私の気持ちを察してか、妻が「今夜もジャズのライブがあるみたいよ」と、「SONE」入り口の看板を指差した。行ってみようか、と笑顔。途端に元気になってきた。ああ、夕方が待ち遠しい。

ジャズライブハウスが6軒も並んでいる北野坂
ジャズライブハウスが6軒も並んでいる北野坂。
にしむら珈琲店も

北野坂の道にはめ込まれたプレート
北野坂の道にはめ込まれたプレート
ラインの館

大正初期の建築で、木造2階建下見板張りオイルペンキ塗りなど、明治時代の異人館の様式を受け継いでいる。

住所/兵庫県神戸市中央区北野町2-10-24
TEL/078(222)3403
営業時間/午前9時~午後6時
休み/2月・6月の第3木曜(祝日の場合は翌日休) 料金/無料
URL/http://www.kobe-kazamidori.com

ラインの館
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ジャズと酒に躍る心

ライブハウス「SONE」の夜

空が黄昏色に染まる頃、ここ老舗ライブハウス「SONE」へ、再びやってきた。ウッドベースの低音に、ドラムが重なり、ピアノが軽やかに旋律を奏でる。バンドによるインストゥルメンタルの演奏後に登場したのは、今宵の歌姫、北荘桂子さん。つややかで情感のこもった歌声が、パワフルでしなやかにステージを盛り上げていく。

ステージの合間に、北荘さんと言葉を交わすことができた。「よくお客さんが話してくださるのは、神戸は『帰ってきたくなる所』ってこと。ずっと住んでいる私でさえ、港から聞こえる汽笛の音に、ああ、と思うほど。それに、神戸はジャズに支えられてきたと思うの。自然に根付いた音楽だし、進化もしているし」と微笑んだ。

確かに、今日のプレーヤーも、若手とベテランが入り混じっていて、躍動感のあるリズムが弾け跳んだかと思えば、スタンダードな曲をしっとり聴かせてくれたりする。客席を見渡せば、訪れている人の年齢も様々だ。ジャズマニアの人ばかりでなく、会社帰りらしい人や、若いカップルの姿もある。みんな、生で聴く音の洪水に、気持ちよさそうに身をゆだねている。

迫力ある生演奏の魅力は、いつの時代も変わらないということだろうか。目の前で演奏されるバンドの音色に、妻もすっかりご機嫌の様子だった。

臨場感たっぷりのステージ
臨場感たっぷりのステージ。ウッドベースは150年ほど前のものだとか。ステージタイムは4回、入れ替えなし

見事な演奏のピアノマン
見事な演奏のピアノマン
ジャズライブ&レストランSONE(ソネ)

レトロな雰囲気の漂うカウンター。
落ち着いて見えるスタッフは、実は気さくで話しやすい。


住所/兵庫県神戸市中央区中山手通1-24-10
TEL/078(221)2055
営業時間/午後5時~深夜0時
休み/正月三が日
URL/http://kobe-sone.com

レトロな雰囲気の漂うカウンター
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世界一の朝食に魅せられて

恋人同士に戻る朝

神戸の宿泊は「神戸北野ホテル」と決めていた。神戸の山が迫り、異人館を見下ろせるシチュエーションもすばらしい。客室の居心地のよさに加えて、「世界一の朝食がいただけるのよ」と、妻にねだられたのだ。さて、その朝食とは、いかなるものだろう。

期待に瞳を輝かせる妻と共に、ホテル1階のレストランへ向かう。大きな窓からは朝の柔らかな光が降り注ぎ、清々しい雰囲気だ。テーブルにつくと、まず、フレッシュジュースが出てきた。しかも5種類もある。「ただのジュースじゃないのよ。フルーツや野菜がいっぱい入っているんだから」と、妻がしたり顔で話す。ヨーグルトに籠いっぱいのパン。そしてジャムが続く。

「ジャムじゃなくて、コンフィチュール。どれもここのオリジナルよ」。どんなものかと口に運ぶと、確かに普段食べるジャムとはひと味違う。フレッシュな甘さが自然で食べやすい。また、栗の花のものというハチミツのうまさにも驚いた。

そうでしょ?と言いたげに口を動かす妻。いわゆるヨーロピアンタイプの豪華な朝食に、「恋人同士に戻ったみたいね。大切な人と過ごしてこそ、世界一の朝食になるのよ」と、さらっと語る。ふむ。夢ではなかった、これまでの生活。これから先も共に歩むだろうその存在に、そっと感謝してみた。

(写真上)オーべルジュとして名高い「神戸北野ホテル」の、世界一とうたわれる朝食。フランス・ブルゴーニュ地方のフレンチレストラン「ラ・コート・ドール」(現ルレ・ベルナール・ロワゾー)のオーナーシェフより、神戸北野ホテルの総支配人で総料理長の山口浩さんへ贈られたレシピによる。地産地消に基づいた、新鮮で味わい深いフルーツに野菜、乳製品を用いており、クロワッサンは、バターが溶けないよう、室内温度を2~3度に設定した専用の部屋で作られる。
一人5,670円(税・サービス料込)

オーべルジュとして名高い「神戸北野ホテル」の、世界一とうたわれる朝食
オーべルジュとして名高い「神戸北野ホテル」の、世界一とうたわれる朝食

総支配人で総料理長の山口さん
「フランスでは、特別な何かをプレゼントするのではなく、日々の生活を共にすること、日常を豊かにすることが何よりと考えられます。同じ時間を大切な人と過ごし、泊まっていただいた方に『今朝は、世界一の時間だったね』と言っていただければ嬉しい」と、総支配人で総料理長の山口さん
神戸北野ホテル

所在地/兵庫県神戸市中央区山本通3-3-20
TEL/078(271)3711
※朝食のみのご利用は人数及び時間制限があるのでご予約を
URL/http://www.kobe-kitanohotel.co.jp

神戸北野ホテル

みどころ

●風見鶏の館

明治42年頃にドイツ人の自邸として建てられた、赤レンガと尖塔の風見鶏で有名な
異人館。


住所/兵庫県神戸市中央区北野町3-13-3
TEL/078(242)3223
営業時間/午前9時~午後6時
休み/2月・6月の第1火曜(祝日の場合は翌日休)
料金/大人500円
URL/http://www.kobe-kazamidori.com

風見鶏の館
●萌黄の館

アメリカ総領事ハンター・シャープ氏の邸宅として、明治36年に建設。
2階ベランダからの眺望もよい。


住所/兵庫県神戸市中央区北野町3-10-11
TEL/078(222)3310
営業時間/午前9時~午後6時
休み/なし
料金/大人300円、高校生以下無料

萌黄の館
●うろこの家(うろこ美術館)

旧ハリヤー邸で、明治38年に建築。外壁の天然石スレートが、魚のうろこに似ていることから、この愛称が生まれた。隣接のうろこ美術館では、ヨーロッパの近・現代絵画を収集。3階の展示場は、神戸市街や港を一望できる展望台としても人気。


住所/兵庫県神戸市中央区北野町2-20-4
TEL/078(242)6530
営業時間/午前9時~午後5時(冬期)、~6時(夏期)
休み/なし
料金/1,000円(うろこ美術館含む)
URL/http://kobe-ijinkan.net

うろこの家(うろこ美術館)
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