神戸、それは甘くほろにがい青春の薫る街。
学生時代を神戸で送った私たち夫婦にとって、思い出の土地でもある。卒業と共に離れたかの地に今、再び二人で訪れた。
妻と二人で旅するなど、何年ぶりのことだろう。学生の頃によく聴いたジャズからも、今では全く離れてしまった。
そんな思いで立ち寄ったのは、元町にあるジャズ喫茶の店「Cafe 萬屋宗兵衛」。オープンして12年というから、もちろん入るのは初めてのこと。だが、地下への階段を下りて、店のドアを開けると、たまらなく懐かしい気持ちに包まれた。
神戸は、明治の開港からぐんと栄えた街だ。イギリス、フランス、ドイツ、アメリカと実に様々な国の文化が流れ込んだという。ジャズ音楽もその一つ。日本のジャズ発祥の地でもあるのだ。
カフェの店内には、グランドピアノが置かれ、壁の棚にはレコードジャケットがぎっしりと並んでいる。学生時代にはレコードを買ったり、ライブにも行ったものだ。そう、ジャズを聴いていると、あの頃の記憶がよみがえってくる。タイムスリップしたような、昔懐かしい店の空気の中で、もう一度あの頃の夢を見たい、なんて気分になってきた。
- 心地よいジャズの流れるカフェで、懐かしい雰囲気を味わう