海沿いに建つ美術館は、眺望までもがアート。瀬戸内には陽光きらめく海と青空をまるごと抱ける美術館があります。
日本のエーゲ海として知られる牛窓にある瀬戸内市立美術館は、眼前に前島、遠くに小豆島を望め、
目と心を潤しながらリゾート気分を満喫できます。桜の名所・尾道市の千光寺公園にある尾道市立美術館からは
尾道水道を挟んで向島や瀬戸内海の島々が眺められ、時折通る渡船や昔ながらの町並みに郷愁を誘われます。
都会の喧噪や日々の慌ただしさから逃れ、ときにはアートを楽しみがてらゆったりと流れる空間や時間に身を任せてみませんか。
赤い土とオリーブの緑が織りなす牛窓の風景に魅了され、100歳で亡くなるまでの40年間、「牛窓オリーブ園」で制作を続けた画家・佐竹徳。光で変化するオリーブの葉一枚一枚の表情や、季節や時間帯で異なる自然の姿を丁寧に描き、見るほどに奥深い美しさに引き込まれます。瀬戸内市立美術館では、寄贈された佐竹徳の作品が常時展示されているだけでなく、年に数回佐竹作品を大々的に展示する企画展を開催。親交の深い作家たちも合わせて紹介され、作品を通して自然の豊かな色彩や美しさに気づかされます。また、郷土ゆかりの作品や障がいを持った作家たちにスポットを当てるなど見ごたえのある企画展も充実。新鮮な出合いにあふれています。
「ノブ・サチ 夢の世界展」
期間／2012年8月3日（金）～9月9日（日）
見る人を思わず笑顔にする優しさに満ちた世界に浸れます。
［関連企画］
◆ノブ・サチぬり絵教室
日時／2012年8月19日（日）午後2時～
定員／30人（要申し込み）
「細見博子 ワンダーランド展」
期間／2012年8月3日（金）～9月9日（日）
金属とガラスを組み合わせた摩訶不思議な作品に想像力をかき立てられます。
住所／岡山県瀬戸内市牛窓町牛窓4911
TEL／0869-34-3130
開館時間／9:00～17:00（入館は16:30まで）
休館日／月曜日（祝日の場合はその翌日）、祝日の翌日、年末年始、展示替え期間中
料金／大人400円、団体（20名以上）300円、
中学生以下無料。特別展は別途定める料金
渡船が行き交う尾道水道の海岸線まで山がせり出し、石畳の坂道や由緒ある寺院や民家が情緒あふれる町並みをつくりだす尾道。この町を愛した文人や作家は数知らず、洋画家・小林和作もその一人です。色彩と構図にこだわり、力強いタッチで描いた自然は瑞々しく、新鮮な感動を覚えます。尾道市立美術館ではそんな小林作品をはじめ、尾道ゆかりの作品を多く所蔵。企画展の中でそれらのコレクションが紹介され、多様な尾道の魅力に触れることができます。建築家・安藤忠雄によってリニューアルされた建物も美しく、西郷寺本堂（重要文化財）を模した本館とモダンな新館が見事に調和。ガラス貼りの窓から見える景色そのものが生きたアートになっています。
「緑川洋一展
ドキュメント尾道・昭和28-31年 波の郷愁」
期間／2012年7月7日（土）～9月2日（日）
心象的な風景写真を通して、海と生きる尾道の人々の心情を垣間見ることができます。
［関連企画］
◆講演会「昭和30年の尾道」
日時／2012年7月28日（土）午後2時～
◆ギャラリートーク
日時／2012年7月22日（日）、8月26日（日）午後2時～
小林和作を中心に、地元作家の所蔵品を展示。
日時／11月頃（2012年）から予定
住所／広島県尾道市西土堂町17-19
TEL／0848-23-2281
開館時間／9:00～17:00（入館は16:30まで）
休館日／月曜日（祝日の場合は開館）、年末年始、
展示替期間等
料金／展覧会によって異なります
HP／http://www.city.onomichi.hiroshima.jp/www/section/detail.jsp?id=1149
瀬戸内の美術館が相互にネットワークを形成して、地域全体としてのアートの魅力を発信する組織が「せとうち美術館ネットワーク」です。今回紹介した2つの美術館を含め、魅力ある41の美術館・博物館が参加しています。ネットワークでは「子どものアート感想文」募集などを通じて、教育普及活動にも力を尽くしています。
