- 1968年に「河野信一記念文化館」として開館。1988年に改築され、現代美術も展示できるようになった
見るほどに味わいが深まる書、一瞬で画の世界に引き込まれる屏風…。今治市の中心地にある河野美術館を巡れば、コレクションの素晴らしさと多彩さに魅了されます。その数は一万点余りにのぼり、平安時代から現代にいたる画人、俳人、茶人、武将、政治家が遺した掛軸、屏風、古文書、原稿などが展示替えしながら披露されています。松尾芭蕉、小林一茶、北原白秋、山田耕筰といった著名人の書、茶席に掛ける禅語の書、源氏物語の写本、土佐派や狩野派の屏風など、見ごたえたっぷり。加えて掛軸の形状の違いや、屏風の表具の美を楽しめるなど展示に工夫が盛り込まれ、観る面白さが倍増します。
これらの作品を長年かけて収集した実業家の河野信一は、文化の振興を願い、出身地の今治市に寄贈しました。東京の河野邸にあった茶室も移築され、美を愛でながら豊かな気持ちに浸れます。