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せとうち島めぐり

姫島ひめしま

大分県国東市

エコカーで巡る、冬のピクニック旅

瀬戸内海の島をエコカーで巡りませんか?大分県の国東半島沖に浮かぶ姫島は、全国の離島に先駆けて、10年ほど前から安全で環境にやさしい超小型電気自動車(エコカー)の貸し出しを行なっています。姫島に降り注ぐ太陽光で発電し、蓄電をする装置の「青空コンセント」を用いて、島内で電気も作っています。まさに、自然にやさしい島!

周囲17キロの姫島は、エコカーで巡るにはちょうどいい規模感で、見所も満載です。穏やかな瀬戸内海を眺め、潮風、潮の香り、潮騒を感じながら、時折ネコや島の人たちとすれ違ってご挨拶。ゆるゆるとした時間は、最高の癒しです。

島の名前は、『日本書紀』に記されている「比売語曽(ひめこそ)の神」が由来となっているそう。島内に語り継がれる伝説も多く、「姫島七不思議」と呼ばれる各スポットが存在します。その中には、お姫様にまつわる話も。例えば、島北東部にある拍子水という場所は、鉱泉が絶え間なく湧き出ており、「お姫様がお歯黒をつけた後、口をゆすごうとしたが水がなく、手拍子を打って祈ったところ水が湧き出した」と伝わります。

島の成り立ちは、約30万年前に始まった火山活動によって4つの島が誕生し、長い歳月をかけて砂洲で繋がりました。島内各地では地層や火山岩があちこちに見られ、特に観音崎という断崖には乳白色の黒曜石があり、大変珍しいといわれています。姫島は、平成25年に「火山が生み出した神秘の島」をテーマに、日本ジオパークに認定されました。

私のおすすめは、エコカーで島内を巡りながらのピクニック!島の逸品ショップ「おおいた姫島」でお弁当を事前予約できます。姫島の自然の中ですくすくと育った車海老やひじきは、ぜひ一度食べてほしい。ピクニックの後は、拍子水温泉で体をあたためて、癒し度満点な冬の島旅を楽しんでくださいね!

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再生可能エネルギーを使って走るレンタルエコカー
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島へのアクセスは…国東市の伊美港からフェリーで約20分。

トリセツ

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姫島のおもてなし弁当
姫島のフェリー乗り場の目前にある観光案内所でエコカーのレンタルができます。さらに、歩いて3分ほど、島の逸品ショップ「おおいた姫島」では特産品のお土産やお弁当を購入できます。事前予約が必要ですが、姫島ブランドの車海老が入った「おもてなし弁当」がおすすめ!(内容は時期によって変わります)問い合わせ:0120-898-808(おおいた姫島)
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島東端に立つ姫島灯台
古くから海上交通の要衝だった姫島では、慶長年間(1596年〜1615年)に小倉藩初代藩主の細川忠興が「かがり火」をたいて航行する船に便宜を与え、これが日本における航路標識の発祥とも言われています。灯台は明治35年から2年の工事を経て建設されました。石造りで、高さ12メートル。横にはかつての吏員退息所(りいんたいそくしょ)があり、現在は管理事務所に。
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国の天然記念物「黒曜石」
島随一の景勝地である観音崎一帯に、高さ40メートル、幅120メートルに及ぶ黒曜石の断崖があり、平成19年に「姫島の黒曜石産地」として国の天然記念物に指定されました。九州本土や中国・四国地方等で、姫島の黒曜石が見つかっています。観音崎には、千人堂という馬頭観世音を祀った小さなお堂があり、これも姫島七不思議の一つとされています。
小林 希さん

取材・写真・文 小林 希さん

旅作家・元編集者。著書に『週末島旅』(幻冬舎)や『週末海外』『大人のアクティビティ!』(ワニブックス)など。2014年に広島(香川県)で島の有志と『島プロジェクト』を立ち上げ「ゲストハウスひるねこ」をオープン。2019年に(一社)日本旅客船協会の船旅アンバサダーに就任。産経新聞などで連載中。

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