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せとうち島めぐり

ゆめしま海道の島々

愛媛県上島町

「自転車+ヨット」で瀬戸内の島旅を楽しもう!

瀬戸内海で国内外のサイクリストに人気の「瀬戸内しまなみ海道」は、今治と尾道の間を6つの島々と7つの橋で結んだ全長約60kmの道。その東側に、「ゆめしま海道」があるのをご存知でしょうか。

令和4年に、上島町の岩城島、生名島、佐島、弓削島を結ぶ全長約6・1kmの県道岩城弓削線が全線開通して、新たなサイクリングロードとして注目を集めています。町内の小さな島々は、信号やトンネルが一つもなく、交通量も少ないので、のんびりと島めぐりができます。

例えば、「青いレモンの島」の別名を持つ岩城島では、道沿いに鈴なりのレモンが見られ、積善山からは町内の島々を見渡せる大パノラマが広がります。生名島は、神様の石とされる古代の巨石「メンヒル」があり、その謎にミステリー好きはワクワクすること間違いなし。

情緒あふれる小さな集落が魅力の佐島は、自転車を降りてゆっくり歩きたい。ネコが多く、のどかな時間を過ごせるはずです。弓削島は、中世に大量の塩を京都の東寺に奉納していた「塩の荘園」として知られています。令和3年に製塩に関する「弓削島荘遺跡」が国の史跡となり、新たな観光スポットとして話題です。

サイクリングのほか、海で遊びたい人にはヨット体験もオススメ! ニュージーランドから弓削島に移住した船大工の斎藤サムさんが、自作のヨットで「島旅ヨット」というアクティビティを提供しています。帆を張って、主に風で動くヨットは、静かでスロー。私も乗船しましたが、海から島の風光を眺めたり、架橋下をくぐったりと、非日常な時間に日頃のストレスも飛んでいきました。ヨット遊びは敷居が高いように思いますが、手ぶらでも乗船できるほど気軽です。

現在、上島町ではレンタサイクルの貸し出しのほか、町内各島への航路の自転車料金を無料にするサービスを実施中。いつも頑張る自分へのご褒美に、自転車もヨットも楽しむ贅沢な島旅を計画してみませんか。

岩城島の積善山から見た上島町の島々と島々を繋ぐ橋
岩城島の積善山から見た上島町の島々と島々を繋ぐ橋
島へのアクセスは…今治港や土生港(因島)から船が運航
島へのアクセスは…今治港や土生港(因島)から船が運航

トリセツ

島旅ヨット
島旅ヨット
船大工の斎藤サムさんが開催する島旅ヨットは、電動エンジンを搭載しているので走航中も静か。エンジンを止め、いざ風だけで動くと、潮騒や風の音、鳥の声などがはっきりと聞こえるほどに。ヨットにごろんと寝転がると、ぷかぷか海に浮いているみたいに気持ちいい。揺れにも強く、船酔いが心配でも安心。上島町の秘境・無人島への上陸も可能です。
上島町ゆげ海の駅舎 ふらっと
上島町ゆげ海の駅舎 ふらっと
全国初の「海の駅舎」で、ヨットなどの係留施設およびサイクルステーション。管理人のピーターセン・マットさんと、ももこさんご夫妻が施設内でのイベントや島内の案内なども行っており、観光客や地元の人たちの交流拠点になっています。どこへ行こうか迷ったら、まずはここを目指してみて。施設内にはシャワールームやコインランドリーも設置。
弓削の宿
弓削の宿
町内には素敵なゲストハウスやホテルがいくつもあります。私が泊まった「弓削の宿」は、築100年となる大正時代の古民家をリノベーションした、1日2組限定の宿。オーナー夫妻の料理は地元産の食材が多く使われ、獲れたての新鮮な魚がイチオシです。外の露天風呂で、月や星を眺めながらリフレッシュも。海岸までは徒歩5分です。
小林 希さん

取材・写真・文 小林 希さん

旅作家・元編集者。著書に『週末島旅』(幻冬舎)や『週末海外』『大人のアクティビティ!』(ワニブックス)など。2014年に広島(香川県)で島の有志と『島プロジェクト』を立ち上げ「ゲストハウスひるねこ」をオープン。2019年に(一社)日本旅客船協会の船旅アンバサダーに就任。産経新聞などで連載中。

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