瀬戸内の日生諸島は、様々な種類の魚介類が獲れる、海の恵み豊かなところ。この季節に美味しい魚の一つが、穴子です。脂の乗りがよく、ふっくらとした天然穴子は、年々魚獲量が減り、日生で獲れるものは、地元でしか味わえないといいます。
「日生の穴子は、底引き網によるもので、明け方の4時に漁へ出ます。船尾から、海底に長い網を沈めて、船で引いて魚を獲るんです」と、漁師の山河浩信さん。1時間ほど船を走らせてから、甲板にあるネットローラーで網を巻き上げていくと、網の中には様々な種類の魚がかかっている、という仕組みです。漁師になり6年、明け方の漁は厳しいものの、「網の中に、思ってもみなかった魚が獲れたときは、本当に嬉しいですね」と笑顔が素敵です。市場が開く9時に間に合うよう、港へ戻ります。
穴子を手にとって見せてもらうと、身をくねらせて動く、あまりの活きのよさに驚きます。「筒に入れた方が、よく生きるよ。海底と似た環境やからね」と漁の後の保存方法にも工夫が。生きたまま市へ出すほか、自ら捌いて出すこともあります。
- 厳しい底引き網漁から港に戻った漁師さんたちは、自然と笑顔が出てきます