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湯原温泉郷

湯原ダムから湯原温泉を一望。初秋の景色も美しいが、雪が積もった冬は水墨画のように清らかで、季節の移り変わりが楽しみになる。

山肌が迫る旭川沿いに開けた湯原温泉は、泉源がすべて自噴泉で、
毎分6000リットル以上という驚きの湯量を誇る。
下湯原温泉、足温泉、真賀温泉、郷緑温泉とともに湯原温泉郷と呼ばれ、良質の湯巡りを楽しめる。

湯原温泉街を歩くと至る所で湯けむりが上がり、温泉情緒をかき立てられる。湯原温泉は、古くは弥生時代からたたら製鉄で過酷な労働に従事する人たちの湯治場になっていたという。そのシンボルとなっている砂湯は、湯原ダムのすぐ下にあり、川底からぷくぷく湧き上がる温泉をそのまま生かした天然の露天風呂。すぐ横で釣りをする人がいるなど不思議な光景が広がり、自然のダイナミックさを楽しめる。全国露天風呂番付で西の横綱にランクされているが、それも納得だ。

湯原温泉には温泉指南役がいて、旅館や日帰り入浴場で声をかければ温泉の入り方や観光スポットなどを教えてくれる。無理をお願いして、女将の会のお二人に案内してもらった。風情ある温泉旅館が立ち並び、浴衣で歩くのがよく似合う。その真ん中あたりにある湯本温泉館は、このあたり一帯の温泉旅館の元湯。地下から湧き出す豊富な源泉をポンプで山の上までくみ上げ、鮮度のいい源泉をそのまま各旅館に分配しているのだ。アルカリ性単純温泉で肌あたりが柔らかく、汚れを浮かしとり、疲労回復、神経痛に効能がある。川原で、橋のたもとで、いろいろな場所で湯が流され、手湯、足湯を楽しめるが、これもどんどん湧いてくる源泉を流すことで常に鮮度の高い源泉を供給するためというから贅沢だ。週末だけ営業する射的場や、スリッパをラケット代わりに卓球を楽しめる温泉ミュージアムもあり、どこか昭和の匂いがする。どう過ごそうか、考えるだけでワクワクする。

砂湯入り口のポケットパークであまった源泉をどんどん流し、温もりに触れられる。
砂湯や湯本温泉館の裏の川底から噴き上げる源泉を見ることができる。
砂湯は24時間無料で開放されている。混浴露天風呂のため女性はハードルが高いが、湯に濡れても透けない専用の湯浴み着をレンタルできる。※清掃のため、毎週水曜日の午前中と毎月第一金曜日10:00~14:00までは入浴できない。
「健康かえる」「銭かえる」のお薬師さまとして知られる延命山温泉寺。「ここの薬湯はまろやかでコーヒーやお米を炊くとおいしいですよ」と油屋の女将・高橋幸代さん。
手湯足湯で同時に温めれば体がぽっかぽか。
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湯快感 花やしき 湯快感 花やしき

景色を独り占めできる極上の露天風呂

目に飛び込んでくるのは、一枚の絵画のような美しい山々。花やしきの屋上貸切露天風呂は自然を独り占めでき、開放感たっぷり。良質の温泉に包まれ、天空の庭園にいるかのような特別な気分を味わわせてくれる。

入浴だけでもいいが、地物食材をふんだんに使った料理や家族的なおもてなしを味わえるのは、宿泊ならではの楽しみだ。

「自然そのままを楽しんでいただきたいと思っています」と花やしきの女将・池田理愛さん。雨の日や雪の日は菅笠をかぶって温泉に浸かるのが風流。
DATA

住所/岡山県真庭市湯原温泉21
TEL/0867-62-3341
【日帰り入浴】
営業時間/11:00~15:00 ※15:00以降は問い合わせを。
料金/貸切制50分間 1名1,000円
【宿泊】
料金/1泊2食付 平日10,950円〜、週末13,110円〜

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元禄旅籠 油屋 元禄旅籠 油屋

老舗旅館で湯原の歴史と湯に浸る

趣深い木造の建物が目を引く油屋は、元禄元年創業の老舗旅館。湯原温泉の歴史を見てきたといってもよく、旅人に道中の燈火の油を提供したことから油屋と呼ばれるようになったなど、15代目ご主人から聞く話は興味深い。

油屋は温泉が充実し、宿泊客はもちろん日帰り入浴で、内湯や源泉かけ流しで女湯のヒノキの露天風呂、男湯の半露天の岩風呂を楽しめる。客室にも源泉が引かれ、時間を気にせず温泉に浸かれるのが嬉しい。また、地下から源泉が湧いていて、その湯に宿泊客は貸切で入れる。旬の素材を丹念に調理した料理もとてもおいしく、どっぷりと温泉情緒に浸れる。

客室はすべて旭川沿いにあり、絶景を望める。
季節の味を楽しめる会席料理が基本。すき焼きや、冬は山陰から届くカニもおいしい。
少しぬるめの湯でゆっくり浸かれ、入浴後は肌がつるつるになる。
DATA

住所/岡山県真庭市湯原温泉27
TEL/0867-62-2006
【日帰り入浴】
営業時間/10:00~22:00 定休日/木曜日
料金/大人1,080円、小人540円 貸切家族風呂(宿泊客のみ)60分3,240円
【宿泊】
料金/1泊2食付 15,900円~(大人1名)

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知る人ぞ知る効験あらたかな秘湯。 知る人ぞ知る効験あらたかな秘湯。

真賀温泉館 真賀温泉館

殿様が浸かった足元湧出の共同浴場

湯原温泉郷の入り口、山肌にへばりつくようにある真賀温泉。由緒ある共同浴場で、地元の人が毎日のようにやってくる。ここは岩の割れ目から温泉が噴き出し、大きなくぼみを天然の浴槽として利用している。江戸時代に建物が立つ以前は、領地を治めていたお殿様が幕を張って入浴したそうだ。

その歴史にちなんで名付けられた幕湯は、昔懐かしい雰囲気があり落ち着く。浅いところもあれば、立って入らなければいけないほど深いところもあり、底から噴き出すとろりとした湯が全身を優しく包み込む。温度は少し低め。それがいい。ゆっくり浸かれば芯から温まり、疲れが癒やされる。高いアルカリ成分によって肌がきれいになり、湯上がり後はすべすべ、少し若返った気がした。

控えめな明かりで、静かに入れるのがいい。
岩盤に差し込んだ竹筒から湧き出る湯が上部を温め、快適な湯温を保つ。
全国療養温泉番付の上位にランクされている。
DATA

住所/岡山県真庭市仲間180
TEL/0867-62-2953
営業時間/7:00~22:00(最終受付21:00)
※1時間以内1回限り
定休日/なし
料金/
家族湯(3人まで)1,000円 1人増すごとに200円プラス、
幕湯(混浴)大人250円、小人(3歳~12歳)150円、
男女各湯 大人150円、小人(3歳〜12歳)100円

郷緑館 郷緑館

秘湯ムード漂う一軒宿の湯治場

真賀温泉からほど近く、山裾にぽつんと立つ郷緑館は、湯治場の面影を残す秘湯。寛永2年に温泉が発見され、明治以降に湯治場として多くの人がやってきた。ごつごつとした岩盤の割れ目から湧き出る温泉はアルカリ性単純温泉で、美肌はもちろん、傷や皮膚病などに効能がある。なんでもご主人のおじいさんが3年間わずらっていた傷が、1週間の湯治で治ったそうだ。35度弱のぬるめの湯にじっくり浸かり、最後に加温した温泉で温まれば至福のひととき。

郷緑館では温泉水でスッポンを養殖しており、滋養強壮や美容にいいとスッポン料理を目当てに来る人も多い。温泉と一緒に楽しみ、身体の内側と外側から健康になれるなんて最高だ。

ご主人が猟をした、野趣あふれる剥製が並ぶ。
デキモノがみるみるうちに良くなるなど、湯の良さを実感する人がいっぱい。
温泉育ちのスッポンは3倍の速さで成長。臭いやクセもない。
DATA

住所/岡山県真庭市本庄712
TEL/0867-62-2261
【日帰り入浴】
営業時間/10:00~16:00
※予約不可。空いていればすぐ入れ、1組30分制限で交代。
定休日/1月1日~3日
料金/大人500円、こども300円(30分の貸切家族風呂)
【宿泊】
料金/1泊2食付(スッポンコース)12,150円

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