
「かき揚げおろしうどん」 980円
名店「もり家」の看板メニュー。瀬戸内産の地エビをつかったジャンボかき揚げと、コシのあるうどんがベストマッチ。一度は食べたい逸品だ。
日本で知らない人はいないといえる 讃岐うどん。
その過去から現在、また材料となる小麦等について、讃岐うどん全般に造詣の深い吉原食糧の吉原社長に話を聞いた。
「讃岐うどんは、その歴史、地域性も相まって、過去から独自に進化を続けてきました。
食の孤島と呼ばれる香川県だからこそ生まれたといえるでしょう」。これが、吉原社長の昔から変わらないイメージだという。
「また、讃岐地方は昔から雨が少なく、干ばつの影響を非常に強く受ける土地柄なんです。
大きな河川もなく、稲作には不向きで、安定して生産しにくい環境でした。だからこそ、あまり水を要さない小麦づくりが広く行なわれるようになったんです。
要は、 生きる
ための知恵。そして、さらに小麦を美味しく食べる塩と水の加減、麺の打ち方等を模索していき、讃岐にうどん文化が芽生えていったのではないかと思われます」。
うどんづくりに欠かせない小麦のこだわりについて吉原社長は次のように語る。
「昔、讃岐うどん用の小麦は、香川県産小麦が主でしたが、私が東京で就職した後、香川県に戻ってきたら、オーストラリア産小麦に入れ替わっていたんです。そこで、小さな頃から慣れ親しんだ香川県産の小麦で美味しいうどんをつくりたいと思い、さぬきの夢2000
の開発に加わりました。今、香川県が進めている次世代のうどん用県産小麦開発のお手伝いをしています。
今後も「さぬきの夢」小麦粉の開発・生産と、オーストラリア産小麦の美味しさを掛け合わせた「ハイブリッド小麦」の開発も続け、讃岐うどんをより美味しくしていきたいです」。
1988年、讃岐うどんの一大転機が訪れた。
夢の架け橋と呼ばれた瀬戸大橋の開通である。当時を振り返り、吉原社長は語る。「瀬戸大橋が開通するまで、香川県はずっと食の孤島でした。
フランチャイズ店をはじめとした飲食の流通からも離れていたエリアだったんです。しかし、瀬戸大橋が開通したことにより、本州から多くの観光客が訪れるようになり、讃岐うどんにも少しずつ全国から目が向けられるようになっていきました」。
それから約20年後、さらにもうひとつの転機が訪れることとなった。
その発端は、なんと香川県から遠く離れた東京・渋谷。
天ぷら等トッピングが自由に選べるカジュアルなうどんチェーン店が登場し、100円という安価で食べられることが話題となり、大ブームを巻き起こしたのだ。
「香川に火の玉が飛んでくるような勢いで情報が飛び交い、それは、もう強烈だった」と、吉原社長は当時を振り返る。「新聞、週刊誌、テレビなどのマスコミによって、連日「讃岐うどん」の特集が組まれ、絶品のかき揚げおろしうどんで知られる「もり家」さんをはじめ、多くのうどん店に何時間もの行列ができるようになったんです」。
香川県には現在、約600ものうどん店が存在し、各店舗により味もこだわりも異なる。それらを巡る楽しさと、うどん職人の純朴さや素朴さは、全国の旅人を魅了した。
そしていつしか、一日で複数のお店を巡る「讃岐うどん巡礼」は、香川県の定番観光コースとなった。
また、2006年には映画『UDON』が公開されてブームの盛り上がりをさらに後押したほか、近年もインターネット、SNSの影響もあり、その勢いは止まらない。
さて、最後に代表的な「讃岐うどんスタイル」のいくつかを紹介しておこう。まずひとつ目は「セルフ店」。
店の入口で丼を受け取り、希望するうどんを注文したら自ら湯を通して温め、ちく天やとり天といった好みのトッピングを載せて出汁を注ぐというスタイルだ。ふたつ目は「製麺所店」。
麺の卸しを本業とする製麺所の一部を利用し、うどんを提供するスタイル。数量・時間限定とする店が多く、座席数も少ないから営業時間をしっかりとチェックすることが肝要だ。いにしえから伝わり、さらに進化を続ける讃岐うどん。
香川県を訪れたなら、ぜひともその多様なスタイルを楽しんでほしい。
住所/香川県高松市香川町川内原1575-1
TEL/087-879-8815
営業時間/10:30~18:00
定休日/毎週木、金曜日(祝日の場合は営業致します)※予告無くお休みを頂く場合がございます。
※臨時休業や営業時間を変更する場合があるため、事前に電話で確認を。
駐車場/40台