平成28年1月16日(土)、明石海峡大橋を目の前に臨む「橋の科学館」において、講演会が開催されました。

当日は、当社の前身である本四公団で長年ご活躍され、現在明石海峡大橋ブリッジワールド ツアーリーダー 森 章氏から、「本州四国連絡『鉄道』~瀬戸内海を渡る鉄道の話~」について講演して頂きました。

講演は、架橋前史として、架橋構想提唱にまつわる話や、幾度かの海難事故がきっかけで架橋機運が高まり、着工に至った経緯の話から始まりました。これまで社史などで見聞きしている内容にもかかわらず、講師の話術にぐいぐい引き込まれました。

本四事業と関連した鉄道のエピソードとして、長大橋に鉄道が走る場合の技術的課題、長大吊橋の温度による伸縮や列車重量のたわみによるけた端での伸縮量や角折れをレール面でどのように吸収するかという問題については、緩衝桁と軌道伸縮装置が考案され、実車走行試験などで確認、改良が繰り返され解決に至ったことなどを説明して頂きました。

また、大鳴門橋は新幹線複線載荷から将来の新幹線単線載荷の可能性を残すよう見直しがされたこと、門崎高架橋は、道路・鉄道併用の大型トラス橋の設計から将来鉄道単独のトラス橋を内蔵可能なスペースを確保した道路単独の鋼箱桁橋へ見直しがなされ、風による影響を耐風安定化部材の設置範囲拡大により克服したことなど、当時の見直しが国鉄改革に深く影響を受けたものであったことなどを話して頂きました。

最後に、本日の講演翌日である1月17日は、兵庫県南部大地震が起きた日ということもあり、建設中であった明石海峡大橋に関する話もして頂きました。地震直後に当時の工事事務所長が、部下1名をつれ空中に架けられた仮設足場(キャットウォーク)を歩いて点検したことや、地震による構造物本体には被害がなかったことなど紹介して頂きました。

次回講演会は3月を予定しています。
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会場の様子 架橋前史
門崎高架橋の耐風安定性対策 参加者からの質問に答える森氏