四国は行く先々に八十八ヶ所霊場の札所があります。旅のついでに足を伸ばしませんか。
参拝しながら歴史や由来を知り、建築、仏像などの美にふれ、心安らぐ充実した時間を過ごせます。
屋島山上にある屋島寺。屋島ドライブウェイの無料化でアクセスしやすくなり、「周囲に水族館や歴史的な見どころも多いですよ」と恵峰さんにすすめられてやってきました。「駐車場からは朱塗りの東大門を入りますが、正式な入口は阿吽の仁王像が立つ山門です」。なるほど、気候のいい秋はへんろ道を歩くのも良さそうです。
屋島寺は、天平勝宝6年(754年)に唐僧の鑑真和上が屋島の北嶺に普賢堂を建てたのが始まりとされています。その後、弘仁6年(815年)に弘法大師が北嶺にあった伽藍を現在の南嶺に移し、十一面千手観世音菩薩を彫造して本尊としました。本堂は鎌倉時代末期の建築で、朱塗りが美しく、見事な彫刻が施されています。その隣にあるのが蓑山大明神。弘法大師が道に迷ったとき、老人に化けて案内した太三郎狸が土地の氏神様として崇められています。境内にはたくさんのお堂があり、平家供養のために作られた梵鐘は必見です。
参拝後は宝物館へ。お寺では通常なかなかご本尊を拝めませんが、その姿を間近に拝むことができます。源平合戦に関する資料もあり、那須与一の子孫が寄進した「源氏の白旗」や「源氏の勝臼」など歴史好きにはたまりません。
平安時代末期に繰り返された源氏と平家の争い。山上からは源平屋島合戦の舞台となった檀ノ浦を一望でき、平家の軍船を隠した船隠しや、那須与一が扇の的を射抜いたという伝説に思いをはせられます。
弘法大師が屋島寺伽藍を南嶺に移す際、経文と宝珠を納めて池にしたと伝えられる瑠璃宝の池。源平合戦に勝った源氏の兵士たちはこの池で血のついた刀を洗い、赤く染まったことから血の池とも呼ばれています。
源平の戦いに勝った源氏の兵士たちが陣笠を投げ、勝ちどきをあげたことにちなんで行われるかわら投げ。獅子の霊巌展望台から海に向かって素焼きのかわらを投げ、開運や厄除けを祈ります。
[住所]香川県高松市屋島東町1808
[宗派]真言宗御室派 [本尊]十一面千手観世音菩薩
[開基]鑑真和上 [創建]天平勝宝年間
[真言]おん ばさら たらま きりく
神戸市在住。仕事を持ちながら休日だけの札所めぐりを続けて、現在までに20回以上巡拝。そのほとんどが歩き遍路である。歩くたびに新しい出会いがあり、新しい自分を発見すると言う。四国八十八ヶ所霊場会公認大先達。NPO法人遍路とおもてなしのネットワーク理事・女性お遍路相談員。www.omotenashi88.net
〈公認先達〉四国八十八ヶ所霊場巡拝を重ね、弘法大師の教えに帰依し、新しく巡拝する人たちにお遍路の心得などを指導し、手本となることができると認められた人。四国八十八ヶ所霊場会が審査、認定している。