ホーム > 瀬戸マーレ vol.49 > 恵峰さんと巡ろう 四国おへんろ

恵峰さんと巡ろう 四国おへんろ

四国は行く先々に八十八ヶ所霊場の札所があります。旅のついでに足を伸ばしませんか。
参拝しながら歴史や由来を知り、建築、仏像などの美にふれ、心安らぐ充実した時間を過ごせます。

温泉が湧き出る400年の歴史ある駅路寺

第6番札所 温泉山 安楽寺
蜂須賀公により寄進され、宿坊の歴史を伝える茅葺き屋根の方丈。現在は泊まれないが、かつては廊下にまでお遍路さんがあふれていた。

温泉山と山号にあるように、この地に湧いている温泉を弘法大師が発見し、薬師如来を刻んで堂宇を建てたことに由来する安楽寺。1番札所から1日歩いてちょうどたどり着く距離にあり、400年前に阿波藩祖・蜂須賀家政によって遍路や旅人たちに宿や食事を提供、保護する「駅路寺(えきろじ)(官寺)」と定められました。現在も宿坊があり、大師堂の前から湧き出す温泉が宿泊する人々を癒やしています。また、八十八ヶ所では珍しいキャンピングカー宿泊プランも話題になっています。

「安楽寺を参拝するならぜひ泊まって、本堂奥にある灌頂窟(かんじょうくつ)で行われるくす供養(宿泊予約時に要確認)を体験してみてください」と恵峰さん。他言無用の修行で、亡くなった方のことを思って灯明流しや護摩焚きなどさまざまな仏教体験ができ、ご先祖様への感謝と命の尊さを感じることができます。

もちろん宿泊せずとも見どころいっぱいです。薬師如来やそれを守護する十二神将などの仏像や、弘法大師を猟師の弓矢から守ったというさか松、竜宮城のような形の鐘楼堂、優美な多宝塔など、美術館を巡るようにお参りできます。

本堂前の童観音の噴水は金の温泉、銀の温泉と名付けられている。温泉は神経痛・筋肉痛・病後回復などの効能がある。
川が流れる幻想的な灌頂窟。くす供養では性霊殿の阿弥陀如来や両界曼荼羅、壁に刻まれた弘法大師の書も見ることができる。

札所のみかた

松本明慶作の仏像が60体

運慶・快慶の流れをくむ現代の仏師・松本明慶師が無名時代から掘り続けた仏像がずらり。山門の仁王像、本堂の日光・月光菩薩と十二神将、大師堂の弘法大師像など美しさに見惚れます。

弘法大師の一代記が彫刻に

本堂前の金剛宝拝殿の欄干には、弘法大師の誕生から入定、今も人々と苦楽を共にする姿が美しい彫刻で刻まれています。干支や季節の花も添えられ、拝殿全体で方位と季節を表しています。

お砂踏みで八十八ヶ所巡り

多宝塔の周囲には四国八十八ヶ所の砂が埋められており、一周することで巡ったことと同じ功徳をいただけます。遍路に行きたくてもいけなかった人のために考えられました。

お土産に「お遍路ガチャ」

本堂にはガチャガチャの通称で人気のカプセル玩具販売機があります。十二神将フィギュアや、恵峰さんが提案した十二神将イラスト入りマスクなどがあり、楽しみながらお寺を身近に感じられます。

第6番札所 温泉山 安楽寺

[住所]徳島県板野郡上板町引野字寺ノ西北8
[宗派]高野山真言宗 [本尊]薬師如来(伝弘法大師作)
[開基]弘法大師   [創建]弘仁6年(815)
[真言]おん ころころ せんだり まとうぎ そわか

福田 恵峰(けいほう)さん

福田 恵峰(けいほう)さん

神戸市在住。仕事を持ちながら休日だけの札所めぐりを続けて、現在までに20回以上巡拝。そのほとんどが歩き遍路である。歩くたびに新しい出会いがあり、新しい自分を発見すると言う。四国八十八ヶ所霊場会公認大先達。NPO法人遍路とおもてなしのネットワーク理事・女性お遍路相談員。www.omotenashi88.net

〈公認先達〉四国八十八ヶ所霊場巡拝を重ね、弘法大師の教えに帰依し、新しく巡拝する人たちにお遍路の心得などを指導し、手本となることができると認められた人。四国八十八ヶ所霊場会が審査、認定している。

TOPに戻る