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せとうち島めぐり

興居島ごごしま

愛媛県松山市

千年超の伝統芸能や島の味覚を楽しむ秋旅

松山市から最も近い離島は、高浜の西方約2㎞沖に位置する興居島で、フェリーでたった10分〜15分。高浜港から島の由良地区と泊地区まで、それぞれ1日に10往復便以上あるので、日帰りトリップも気軽に楽しめます!

私は、高浜港から由良へ向かい、泊から帰ることにしました。由良と泊は、海沿いの道をのんびり歩いて1時間かかりません。まずは、由良港の目前にあるコーヒー屋さん「cotton john coffee」でアイスコーヒーをテイクアウトし、気さくなオーナー夫妻とおしゃべりをしながら島の情報を教えてもらいました。

さっそく、おすすめの場所「gogoshima beer farm」へ。築150年の古民家をクラフトビール醸造所にリノベーションしたマイクロブルワリーです。お土産用に缶のクラフトビールを買って、島のレモンを漬けて作ったレモネードを飲みました。興居島は、愛媛県内でも有数の柑橘栽培地で、特にみかんはファンも多いとか。

その後、由良と泊の間にある船越地区で、船越和気比売神社を参拝。島の守護神とされる和気比売命が祀られています。ここでは、毎年10月に秋祭りが開催され、その時に神事で奉納される伝統芸能が「船踊り」。

興居島を含めた忽那諸島は、美しい多島景観を織りなし、かつて忽那水軍が拠点としてきた所です。「船踊り」の起源は不明のようですが、水軍が活躍していた千余年前の承平年間に、戦いを終えた水軍の武者たちが、島で出迎える家族や島民に船の上から戦いの様子を演じてみせたのが始まりと伝承されています。

泊では、集落の背後に島のシンボルとされる小冨士山の山頂部が顔を覗かせていました。集落の間を抜けたところに登山道があります。近年は、島内に一棟貸し等の宿や飲食店、カフェも少しずつ増えています。

伝統文化や自然に触れ、目や舌を肥やす秋の旅はいかがでしょう。

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興居島の氏神で、島のおよそ中央に鎮座する 船越和気比売神社
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島へのアクセスは…高浜港からフェリーが運航。泊まで10分、由良まで15分。

トリセツ

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cotton john coffee
松山市出身のオーナー夫妻が興居島に移住して2020年にオープンしたコーヒー屋さん「cotton john coffee」。「毎日飲める甘く柔らかい珈琲をつくりたい」「地元を盛り上げたい」という思いで、自家焙煎珈琲豆の卸業、焙煎豆の販売(全国発送も)、珈琲の抽出を行っています。港の目前にあるので、船から降りたらさっそく寄ってみて!
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gogoshima beer farm
営業日:木・金・土・日・祝
地元の柑橘を使ったり、cotton john coffeeとコラボしたりと、唯一無二の素敵なクラフトビールを販売しています。できれば、タップルームがオープンする日に合わせて(週末や祝日等)、出来立てのクラフトビールを味わってほしい! 缶のパッケージがとってもおしゃれで、お土産や贈り物にも最適。オンラインでも購入できます。
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小冨士山
泊の集落の後ろにある小冨士山は、標高282mの伊予小冨士とも称され、天気が良ければ山頂から松山市内の街並みや石鎚山まで一望できます。登山道が整備されているので、年間通して登山が可能。泊を出港した後に、振り返って、船上から山の全容を眺めるのも魅力的です。

※店舗営業情報等についてはHP等よりご確認ください。

小林 希さん

取材・写真・文 小林 希さん

旅作家・元編集者。著書に『週末島旅』(幻冬舎)や『週末海外』『大人のアクティビティ!』(ワニブックス)など。2014年に広島(香川県)で島の有志と『島プロジェクト』を立ち上げ「ゲストハウスひるねこ」をオープン。2019年に(一社)日本旅客船協会の船旅アンバサダーに就任。産経新聞などで連載中。

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