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情報誌「瀬戸マーレ」

地元通と歩く瀬戸内 【神戸淡路鳴門エリア】長田のこなもん

大人が居心地のいい街 長田を歩いて食べて楽しんで

震災で焼け野原となった神戸・長田の街を前に、誰もが途方にくれた時期がありました。
今、新名所の「鉄人モニュメント」や、名物グルメ「そばめし」などが人気を博し、
長田は再び元気を取り戻しつつあります。

そばめし・お好み焼・ぼっかけのまち
こなもんの店が70軒以上

人口約10万人の神戸市長田区。マッチ・ゴム・ケミカルシューズなどの地場産業を中心に、地域に根ざした商店街や小売市場が軒を並べ、職住が一体となったコミュニティーが形づくられてきた街です。

そんな工場で働く人たちに好まれたのが、〝こなもん〟。新長田駅から歩いて約15分以内には、70軒を超える鉄板こなもん店があり、なんと世界一のお好み焼集積地だそうです。

お好み焼といっても、生地と具材を混ぜ込むタイプではありません。薄く引いた生地に、粉カツオ、たっぷりのキャベツ、好みの具をのせるのが、いわゆる長田焼。新たな名物として今注目を浴びる「ぼっかけ」は、すじ肉を煮込み、うどんにかけるなどして親しまれてきた長田の庶民の味。長田では定番メニューのすじ焼や名物・そばめしにも広く使われています。

人通りが絶えない新長田1番街
人通りが絶えない新長田1番街

すじ肉が自慢の「ゆき」のそばめし

「鉄人のモニュメントを一つのきっかけに、長田のよさを知ってもらえれば」と期待を寄せるのは、「ゆき」の池端信二郎さん。
鉄板に油はひきません。熟練のすばやいコテさばきであっという間に、パラパラで香ばしいそばめしの出来上がり。「昔は冷蔵庫がなかったやろ。冷やご飯をお好み焼き屋に持って行って温めてもらうのが習慣やってん。そのついでにそばも混ぜて、自然とそばめしが誕生したんや」と教えてくれました。

「ゆき」
ゆき
住所/神戸市長田区久保町4-2-5 TEL/078(611)4785
営業時間/午前11時30分~午後9時 休み/水曜、第3火曜

こなもんから生まれるコミュニティー
お客のわがままを聞くのが「万味」流

元気なおばちゃん・狩野一代さんが経営する「万味」は、口コミなどで噂が広がり、遠方からのお客さんも多く訪れます。
燃料は、今は珍しくなった練炭を使用。そのおかげで、震災後も2週間ほどでお店を再開できました。

隠し味にちょっと「油かす」を入れるのが、万味流。
常連のタクシー運転手さんは「万味の味がナンバー1」と絶賛。「卵で巻いて」とか「カレー粉を入れて」なんて、客のわがままも受け止めてくれる懐が深い狩野さんと、常連さんとのかけあい漫才のような会話も名物です。

「万味」
万味
住所/神戸市長田区駒ケ林町6-10-8
TEL/078(733)8671 休み/月曜
営業時間/午前11時~午後2時30分、4時30分~8時

まさに長田の「おふくろさん」
たこ焼きを食べて元気をもらって

長田でたこ焼きといえば、「おふくろさん」。長田で生まれ育って73年の城野邦子さん(写真左)が一人で切り盛りし続けてきたお店です。

たっぷりのだしに浸かった「長田たこ焼き」は、15個400円、10個300円。常連さんは親子3代に渡って、震災のときボランティアなどでこの地を訪れた人も、いまだに食べにきます。みんな、城野さんから「元気をもらっている」と口を揃えます。帰るときは必ず、「また来るわな」「がんばりや」と声をかけて帰って行くお客さんたち。

少々口は悪いが心をぽっとあったかくしてくれるおっちゃん、おばちゃんの存在も、長田独特の味わい。のれんをくぐれば、十年来の知り合いのように迎えてくれますよ。

「おふくろさん」
おふくろさん
住所/神戸市長田区海運町8-2-23
TEL/078(732)6136 休み/日曜、祝日
営業時間/午前11時~午後5時
※材料がなくなり次第終了(土曜日は2時まで)

丸五市場

昭和の香り漂うレトロな市場「丸五市場」。そば焼とミックスジュースの「いりちゃん」、とれたてのさとうきびが真空パックで届く「さとうきび畑」、日本で唯一ミャンマーカレーが食べられる「TeTe」など、個性豊かなお店が揃っています。毎週日曜(午前11時~午後3時)には、「丸五アジア横丁 ランチ屋台」も開催。
下町グルメの味を堪能しませんか。


丸五市場

地ソース

長田の人のお好み焼、たこ焼きには欠かせない地ソースのメーカー「ばらソース」。
どろっとした辛口のソースです。
兵庫区にある「ブラザーソース」や、今はなき「二見ソース」も、長田創業の地ソースメーカーです。




地ソース

昭和の時代へ
レトロ地図片手に大人の遠足

兵庫区と長田区の南部は、神戸でも数少なくなった、古き良き「下町」のぬくもりが残る地域です。

兵庫区の和田岬にある「淡路屋」は、クレープと駄菓子のお店。
生地をぱりぱりに焼いて、クリームをつけて食べる「ミニクレープ」100円は、子供たちの大好物。トランプやオセロで遊びながら、ゆっくりいただきます。

同店3代目の伊藤由紀さんは、兵庫・長田に残る下町情緒を愛する会「下町レトロに首っ丈の会」の会長でもあります。同会隊長で、1級建築士の山下香さんと一緒に「下町レトロ地図」を作成。下町の味を試食したり、住民の方によるお教室を体験する「下町遠足ツアー」を定期的に実施。ただ今人気沸騰中です。10代から80代の老若男女、毎回20人以上の人が参加して、交流を広げています。


問い合わせ「下町レトロに首っ丈の会」

神戸市兵庫区笠松通7-3-6「淡路屋」
TEL&FAX/078(671)1939
http://citamatiretro.com/
citamatiretro@yahoo.co.jp

「淡路屋」3代目の伊藤由紀さん
「淡路屋」3代目の伊藤由紀さん

駄菓子とクレープ「淡路屋」
駄菓子とクレープ「淡路屋」
住所/神戸市兵庫区笠松通7-3-6
TEL/078(671)1939
営業時間/午前7時~午後7時
休み/日曜(土曜祝祭日は営業)

駄菓子や歌でよみがえる
幼き頃の風景

「おばちゃんがおごったるわ。このくじ引いてみい」

子供たちから「おばちゃん」と親しまれている中川つや子さんは、兵庫区吉田町で駄菓子「中川」を営んで60年。
子供が悪い事をしたら容赦なく叱ります。それでも、子供たちはおばちゃんが大好き。放課後には、子供たちが店にあふれます。

駄菓子「中川」
駄菓子「中川」
住所/神戸市兵庫区吉田町1
営業時間/正午~午後7時 休み/いないときがお休み

新曲でも25年前の曲という、なつメロ喫茶「二人は若い」の店主は尾形成雄さん80歳。
「リクエストに応じて、なんでもかけますよ」。
所有レコードは5,000枚。店内には、往年のスターの写真やポスター、レコードジャケットが、所狭しと飾られています。

なつメロ喫茶「二人は若い」
なつメロ喫茶「二人は若い」
住所/神戸市兵庫区松原通4-4-7 TEL/078(652)0165
営業時間/午前7時~午後7時 休み/日曜、祝日
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横山作品を復興のシンボルに 鉄人28号や三国志石像が出現

1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災で長田区は神戸市内でも特に被害が大きかった地域の一つ。900人以上の尊い命が犠牲になりました。

震災からの復興とまちの活性化のシンボルとして、JR新長田駅南西の若松公園に建設されたのは、神戸出身の漫画家・横山光輝さんの代表作の一つ「鉄人28号」の巨大モニュメント。
垂直設定で18m、重量50t。アニメキャラクターとしては、世界一の大きさを誇ります。

また、同じく横山さんの代表作「三国志」をテーマとした施設の整備やイベントを開催。商店街の各所では、三国志の「等身大武将石像」がお出迎え。
地元の商店街や企業で構成されたまちづくり機関「(株)神戸ながたTMO」の統括マネージャー・東朋治さんは、「まちづくりの大きなコンセプトは〝大人が3時間楽しめる町〟。鉄人前が待ち合せの場所になることは悲願だった。お好み焼きなどとセットで、ぜひ新長田を回遊してもらいたい」とアピールします。

(写真左)鉄人28号(写真右上)三国志旗(写真右下)三国志石像
(写真左)鉄人28号
(写真右上)三国志旗(写真右下)三国志石像
(c)光プロ/KOBE鉄人PROJECT2010

見どころ

●兵庫大仏 能福寺

1891(明治24)年に寄進、1991(平成3)年に再建された大仏。身丈11mで、日本三大仏の一つと言われています。


住所/兵庫県神戸市兵庫区北逆瀬川町1-39
開園/午前9時~午後5時


兵庫大仏 能福寺
●メリケンパーク

神戸のランドマーク・神戸ポートタワーが望めるさわやかな海辺の公園。


住所/兵庫県神戸市中央区波止場



メリケンパーク

●スプラッシュ神戸

メリケンパークから乗船できる水陸両用船。
市街地や、海に入水し、遊覧しながら神戸の港を楽しめます。


大人3,000円、子ども(小学生以下)2,000円
予約/078(335)2538
(平日午前9時~午後5時)



スプラッシュ神戸

●神戸市立須磨海浜水族園

9つの展示館がある水族館。イルカのショーなどが人気。


入館料/大人(18歳以上)1,300円ほか
住所/神戸市須磨区若宮町1丁目3-5
TEL/078(731)7301
開園/午前9時~午後5時(季節によって変更あり)
水曜休み(12月~翌3月)


神戸市立須磨海浜水族園

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