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情報誌「瀬戸マーレ」
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せトラベル 幸せ感じに四国山地に抱かれた高知へ

龍馬脱藩の道で時空を旅する<

高知県の中西部、山あいにある梼原(ゆすはら)町は、標高が高く、
天候によっては町の下に雲が張ることから雲の上の町と呼ばれている。
古くから街道の要所で、坂本龍馬をはじめ勤王の志士たちは維新を夢見てこの地から
脱藩していった。今も残る脱藩の道を歩き、龍馬の熱い思いを感じたい。

日本の原風景に心和む

須崎市から国道197号を進む。山が次第に深くなり、山肌を這うように切り開いた田畑が点々と見える。50分ほど走っただろうか。神在居の千枚田の看板が見えた。司馬遼太郎が絶賛した棚田だ。眼前まで山々が迫り、静寂が漂う中、天まで昇るかのように水田が連なっている。その神々しい美しさに思わず息をのみ、自然と共存する人間の知恵に感動した。

司馬遼太郎が絶賛した神在居の棚田

しばらく走ると視界が開け、茅葺きの家が見えた。ここだ、脱藩定食が味わえる農家レストランくさぶきは。まずはきじ肉の炊き込みご飯をほおばる。口の中にじわっと旨味が広がる。太くて短い梼原そばはつなぎが入っておらず、モチッとソバ団子みたいな食感だ。ほんのり酸味があるチーズのようなものは伝統食の豆腐の梅酢漬け。龍馬も食べたのだろうか。ナスのたたきも、煮物も優しい味がする。あー落着く。でもそろそろ行こう。脱藩の道が待っている。

【DATA】住所/高知県高岡郡梼原町太郎川3799-3 Tel/0889-65-0500 営業時間/10:00~15:00 休み/年中無休

脱藩の道ウォークで龍馬に会えた

さらに2㎞ほど走り、梼原町の中心部に着いた。脱藩の道ウォークはここから始まる。 案内してくれたのは、龍馬の装束をまとったゆすはらであいの会の田村俊夫さん。雰囲気満点じゃないか。
小道を進む。山裾に龍馬と同じく新時代の幕開けに奮闘した梼原ゆかりの六志士の墓がひっそり佇む。 近くにはその六志士のひとり、掛橋和泉の屋敷もある。清流・梼原川にかかる神幸橋を渡れば三嶋神社。 境内には豊臣秀吉の朝鮮出兵の際、戦に赴いた梼原開拓の祖、津野氏が持ち帰ったハリモミの木がそびえる。 「好奇心旺盛な龍馬のこと、『これが朝鮮からきた松かよー』とさわっちゅうはず」と田村さんは笑う。 目を閉じると、神社の横のうっそうとした山道を龍馬が駆ける姿が浮かぶようだ。小高い場所から町を見下ろし、土佐に別れを告げ、未来に向かっていったのだろう。 維新の門に立つ龍馬たちの銅像は今にも動き出しそうで、「おまんもがんばらないかんぜよ」といわれている気がして力がわいてきた。

維新の門に立つ龍馬たちの銅像

地元のボランティアガイドが脱藩の道を案内してくれる。

【DATA】住所/高知県高岡郡梼原町梼原1428-1 Tel/0889-65-1187(梼原千百年物語り内) 実施時間/応相談(通年) 所要時間/町中コース約90分 予約/1週間前までに必要 定員/ガイド1人につき1~20人 料金/ガイド1人につき3,000円

町内を歩くと小さな茅葺きの建物に出合う。これは古くから街道を行き来する人をお接待した社交の場、茶堂。現在もその風習が息づき、太郎川公園内の茶堂では「ゆすはら 風早茶屋の会」や高校生ボランティアにより茶菓子のお接待が行われている。

【DATA】開催期間/4月29日~10月末日の日祝(雨天中止) 料金/番茶とあられは無料、抹茶と羊羹は200円

「梼原には龍馬ゆかりの場所がたくさん残っちょります。今年は梼原の地が拓かれて1100年の節目の年。ぜひ歴史の奥深さを感じに来てください」と田村さん。

脱藩の道ウォーク。地元のボランティアガイドが脱藩の道を案内してくれる。
町内を歩くと小さな茅葺きの建物に出合う。これは古くから街道を行き来する人をお接待した社交の場、茶堂。現在もその風習が息づき、太郎川公園内の茶堂では「ゆすはら 風早茶屋の会」や高校生ボランティアにより茶菓子のお接待が行われている。
「梼原には龍馬ゆかりの場所がたくさん残っちょります。今年は梼原の地が拓かれて1100年の節目の年。ぜひ歴史の奥深さを感じに来てください」

こんな楽しみも

雲の上のホテル

空に浮かぶ飛行機の翼のような建物が目印。地元の杉材をふんだんに使った心いやされる空間は、世界的な建築家・隈研吾の設計。宿泊客は予約すれば幻の土佐あかうしを味わえる。

住所/高知県高岡郡梼原町太郎川3799-3
Tel/0889-65-1100
宿泊料金/1泊夕朝食付10,500円~
URL/http://kumono-ue.jp/


雲の上のホテル
ホテル特製
「手作りチーズケーキ」

無塩バターとチーズ、地鶏の有精卵のみを使用。濃厚だけど後味はさっぱり、日本茶によく合う。(1ホール1,260円、ケーキセットソフトドリンク付き700円)

レストラン アルブル
雲の上の温泉

源泉かけ流しの温泉でみずみずしい美肌に。大自然に包まれた露天風呂や、
神経痛に効く人気の薬湯がある。

住所/高知県高岡郡梼原町太郎川3799-3
Tel/0889-65-1126
営業時間/10:00~22:00(最終受付21:30)、毎週火曜のみ17:00~
入浴料/大人500円、小人300円
URL/http://kumono-ue.jp/


雲の上の温泉
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お山のてっぺんでリフレッシュ

雲が目線の高さにある。羽ばたく鳥たちの背中を見下ろす。 目の前をさえぎるものは何もない。 ここは天空の楽園、四国カルスト。 豊かな森林が生命を育み、地表に露出した石灰岩が 不思議な光景をつくりだす。 そこにいるだけで心と体が解き放たれていくようだ。

四国山地を見下ろす、これぞ絶景

梼原町の中心部から四国カルストへは、地元の人がすすめてくれた国道197号から公団幹線林道を経由するルートをとる。カーブが延々と続く。行けども行けども現れるのは木々の緑のみ。いくつ山を越えただろう。さえぎるものがなくなり、手の届く近さに真っ青な空となだらかな丘が飛び込んできた。やった! てっぺんだ。四国カルストの東端にある天狗高原に着いたぞ。
見渡すと遙か向こうまで四国山地の稜線が連なる。秋冬の昼夜の温度差が激しい風のない日には雲海が眼下に広がり、晴れた日は遠くに室戸岬や九州を望めるという。標高1400mからの眺めは想像以上に壮大だ。ずっと見ていても飽きない。
お楽しみはそれだけではない。ここには森のいやし効果が科学的に検証されたセラピーロードがあるのだ。自由に好きなだけ歩けばいいというが、魅力をいろいろ知りたくてセラピーガイドの掛水一彦さんに案内してもらった。

高原を吹き抜ける風を利用して風力発電、絵になる光景だ
高原を吹き抜ける風を利用して風力発電、絵になる光景だ

森のパワーにいやされて

森にゆっくりと足を踏み入れる。ヒノキチップが敷き詰められた遊歩道はフカフカで優しい感触だ。2、3歩進むと、あれっ気温が変わった。深く息を吸い込むと森の匂いがする。
「好きなところで立ち止まって、五感で自然を感じてください」。掛水さんがそっとサポートしてくれる。
歩くにつれ木や植物の種類が変わってきた。見上げるとさまざまな形の葉っぱが陽光に透かされて輝いている。緑といってもいろんな色があるんだなあ。鳥のさえずりも心地いい。苔むした木に触れるとしっとりと柔らかい。なんて気持ちがいいんだろう。雑念や余分な力が抜け、森の一部になったような気がする。時間にすればわずかな散策だけれど、頭のてっぺんから足の先まで清らかに洗われた気がした。
帰りは大野ヶ原方面へカルスト台地を通ってドライブしよう。ここはまた別世界。うねるように続く高原にゴツゴツとした石灰岩が突出し、牛たちがのどかに草を食んでいる。最高の開放感だ。自然に身をゆだねるって、こんなにも幸せを感じるものだったんだ。

雑穀米や山菜などヘルシーな食材を使用。2日前までに天狗荘に予約すれば用意してもらえる。(2個以上から)

谷間に立つとフレッシュな空気が下から吹いてくる

目をこらせばいろんな昆虫や植物に出合える

高い標高にありながらなだらかな遊歩道で歩きやすい

高山植物に紅葉、雪景色と季節ごとに森は表情を変える

ヒノキチップはクッション性があり、腰や膝に負担がかからない

セラピーガイド/天狗荘支配人 掛水一彦さん

おいしい空気の中で味わうお弁当は格別!
セラピーロードは高い標高にありながらなだらかな遊歩道で歩きやすい。また高山植物に紅葉、雪景色と季節ごとに森は表情を変える
セラピーガイド/天狗荘支配人 掛水一彦さん

【DATA】住所/高知県高岡郡津野町芳生野乙4921-22 Tel/0889(62)3188 森林セラピーガイド/通年 予約/1週間前までに必要 定員/ガイド1人につき10人ぐらいまで ガイド料金/コースにより5,000円~ 所要時間/応相談 宿泊料金/1泊夕朝食付 大人8,400円~
URL/http://www.tengusou.com/

ストレス度をチェック!

セラピーロードの拠点、天狗荘でストレス度を測定してもらえる(1回300円)。ストレスがたまると分泌されるアミラーゼの数値が、歩いた後はぐんと減少。


歩く前と後に唾液のアミラーゼ分量を測定


舌の裏にモニターを1分間入れる


判定が出るまでドキドキ。61以上だとストレス大!


79だった数値が、歩いた後は57に見事ダウン

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