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情報誌「瀬戸マーレ」
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こんぴらさん目指して丸亀街道気まま旅!

街道に残る道しるべをたどって歩こう

さあ、丸亀港から出発だ。目的地の琴平は、南方向へほぼ一直線。だけど、讃岐に来たんだから旨いうどんは絶対はずせない。有名な善通寺にもお参りしておきたい。長い一日、寄り道をしながらの気まま旅。すてきな出合いを楽しみに、マップ片手に歩き出した。

丸亀港の目印は埠頭の太助灯籠

60mの石垣の上に真白い丸亀城が

善通寺のシンボル五重塔が美しい

讃岐富士(飯野山)はどの方角から見ても同じ形

スイーツの森でひと休み

讃岐の旅にうどんは欠かせない

港から歩き始めて、すぐに丸亀城が見えてきた。見上げるような石垣に真白い三層の天守閣が美しい。お堀端の情緒を満喫し旧街道へ。街道筋には道標や石灯籠・常夜灯などが各所に残っていて、昔の風情を楽しみながら歩くことができる。最初の寄り道は四国霊場第七十五番札所・善通寺。丸亀と琴平のほぼ中間点だ。弘法大師生誕の地に建つお寺だけに、境内は一段と立派で風格がある。お遍路さんの列に続いてお参りをし、旅の無事をお願いした。

さあ、待望の讃岐うどんだ。少し遠回りだが、細麺ぶっかけが名物という上田うどん店へ行こう。お店は讃岐富士のすぐ下、間近に見上げる富士が絶景だ! 店主・上田良一さんのおすすめは、温玉海苔明太うどん。釜ゆで5分の麺は細いがコシが強くて、ぷるんとした食感。この弾力が讃岐うどんなんだなあ、少し甘目で濃い目の出汁がよく合っている。琴平に着いたら、今度はどんなうどんに出合えるかな。

上田うどん店と温玉海苔明太うどん

ぶっかけは細麺、かけには
太麺を使用。なめらかな
喉越しが特徴的で、具材にも工夫をこらすこだわりの店。
【DATA】住所/香川県丸亀市飯山町東坂元722-1 Tel/0877-98-0014 営業時間/10:00~15:00
定休/木曜日
URL/http://www.ueda-udonten.com/

適量の明太と温玉がうどんにからんで独特の味わい

現代の茶堂で参詣前のひと休み

丸亀街道には昔「茶堂」という、参詣者が休憩できる小屋が街道脇に何ヶ所か設けてあったそうだ。少し喉が渇いたので、現代の茶堂を探してみる。ほどなく見つけたのが、メルヘンチックな外観の西内花月堂というスイーツ店。男一人で入るのはちと気後れしたが、旅人だからね、気にしない。お好みでセレクトしたセットには、選んだケーキのほかにバニラアイスもついてきた。ケーキは甘さ控えめ、アイスが渇いた喉に気持ちいい。しばらく休憩して、外に出た。琴平の街まであと3kmくらいかな、もうすぐだ。

西内花月堂
県道脇の森の中にケーキや焼き菓子の店、パン店、カフェ等のお店が並んでいる。和三盆を使ったケーキやクッキーも評判の店。
【DATA】 住所/香川県仲多度郡まんのう町吉野宮東846 Tel/0877-79-3307 営業時間/9:30~19:30 定休/火曜日
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こんな楽しみも

うどん学校で、歌って・踊って・打った! - 中野うどん学校

讃岐うどんを自分で打ってみたいと、参道の中野うどん学校に入学した。うどん打ちの工程は、①粉と塩水をかき混ぜてコネる、②コネた生地を足で踏む、③麺棒で伸ばす、④包丁で切る、の4ステップ。この学校が楽しいのは、各工程ごとに先生の号令に合わせてぴーひゃら、ぴーひゃらと軽快な音楽が流れるのだ。「リズムに合わせてうどんを踏んで!」とタンバリンで拍子を取る先生。つられて体が自然に動き出す。愉快になって手を振り腰を振っていると、あっという間にうどん生地が完成だ。「あなたが好き。うどんが好き。押しの一手よ!」と指導されて押し切ったうどんは不揃いだが、自分で作った湯掻き立てのうどんは格別にウマい。最後に秘伝帳付きの卒業証書を受け取り、店をあとにした。いやぁ、うどんを打つのがこんなに楽しいとは知らなかった。

中野うどん学校
住所/香川県仲多度郡琴平町796
Tel/0877-75-0001(電話・HPから要予約)
開講時間/9:00~15:00
体験料/1人1,575円
所要時間/50分~90分(試食あり)
URL/http://www.nakanoya.net/

校長の松永先生
歌って、笑わせて、分かりやすく教えてくれる校長の松永先生は、この道25年。「面白いでしょ。楽しい思い出を持ち帰って、ご自宅でも手打ちにチャレンジしてくださいね」

うどん学校で、歌って・踊って・打った!

お参りは“いやしの旅"ゆっくりしていきまい。

200mほどの参道には土産物店やうどん店、老舗旅館などがずらりと並んでいる。江戸時代からきっと、こんなふうに賑やかだったんだろう。今にも目の前に旅装束の弥次・喜多や森の石松が現れてきそうな、そんな不思議な気にさせる門前町だ。

高さ27mの巨大な灯籠は琴平のシンボル、ここが丸亀街道の終着点だ

お休み処で元気を回復

駕籠に乗って記念撮影する人も

境内で5軒だけが商売を許されている。売っているのは名物の加美代飴

先は長いよ、杖をたよりにゆっくりと

森の石松がご本宮と間違えたという立派な社殿

静かなたたずまいのご本宮を参拝すると、疲れも取れる。金刀比羅宮は、海上交通の安全・農業・殖産・医薬などに広くご利益があり信仰を集めている。

785段のペース配分にコツが

家族連れや外国人観光客でにぎわう、参道の突き当たりが石段だ。ここから785段でご本宮にたどり着く。石段下には、こんぴら参りの風景に欠かせない石段駕籠があった。映画やTVでおなじみだが、実物を見ると嬉しくなる。訊くと、相撲取りを乗せたこともあるとか。慣れた腰つきで石段を上り降りする担ぎ手さんの技を見て、こちらも、よっしゃ上るぞと杖を片手に勢いよく上り始めたが、100段目あたりで失速。休憩がてら土産物店をのぞくと、店先にそこが何段目かを記した看板が出ているのが面白い。なるほど、こうやって所どころに出ている段数を見て、ペース配分をしながら上っていくんだな。後ろを振り返ると琴平の町が見えた。
石段に座って少し休もう。

一生に一度、と言わず何度でも

365段目には立派な大門があった。その先が境内だ。門前の喧騒が嘘のように静かで、周囲の巨木が発している木の香が心地よい。無意識に深呼吸をしていた。まだ続く石段を黙々と上っていると自然と心が静まってくる。前方に急な石段が見えてきた。御前四段坂だ。ここを上りきるとご本宮にたどり着く。あと100段と少し。ついに、785段目の石段に足をかけた瞬間に、ホォーッと長い息を吐いた。

石段駕籠を復活させた担ぎ手さん達
一時は消滅の危機にあった、石段駕籠を復活させた担ぎ手さん達。「最近は、若いお客さんも多いですよ」と代表の田中武彦さん。
【DATA】住所/香川県仲多度郡琴平町札の前 Tel/0877-75-3508 営業時間/7:30~17:00 年中無休
料金/往復6,800円、上り5,300円、下り3,200円
灸まん本舗石段や
江戸時代、石段で旅籠を営んでいたという老舗。宿泊客の旅の疲れをいやすために始めたお灸が評判になり、その後は転業してお灸の形をした饅頭を考案し、こんぴら名物の灸まんを販売。甘味とお茶の休憩処として繁盛している。
【DATA】住所/香川県仲多度郡琴平町798 Tel/0877-75-3220 営業時間/7:30~17:30 年中無休

ご本宮前の展望広場は、海抜251m。讃岐平野のすばらしい眺望に息を呑んだ。正面に讃岐富士、その左後方に丸亀城だ。瀬戸大橋から岡山の山並みまで望める。港から歩いてきた丸亀街道のコースを目でたどる。よくぞここまで歩いたもんだ。この達成感はクセになりそう。江戸の昔から「一生に一度はこんぴら参り」と言うが、いやいや一度と言わず何度でも味わいたい気分だ。

讃岐平野は地形がおだやかなので、瀬戸内海まで一望できる

讃岐平野は地形がおだやかなので、瀬戸内海まで一望できる

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こんな楽しみも

歌舞伎ファンあこがれの芝居小屋 - 旧金毘羅大芝居(金丸座)

1835(天保6)年に建築された現存する日本最古の芝居小屋で、1970年国の重要文化財に指定。1985年からは「四国こんぴら歌舞伎大芝居」が毎年、春に開催されている。小屋の内部は江戸時代の構造がそのまま残っていて、特に奈落では回り舞台やセリの仕組みがよく分かる。この装置は現役で、歌舞伎上演時は琴平町のボランティアの青年たちが舞台の下で回している。まさに、劇場装置の原型がここにあるのだ。歌舞伎公演が無い時は、内部を奈落まで見学できる。江戸の昔にタイムスリップした気分になれる、おすすめのスポットだ。

旧金毘羅大芝居(金丸座)
住所/香川県仲多度郡琴平町1241
Tel/0877-73-3846
開館時間/9:00~17:00、年中無休(但し、催事の時は見学不可)
入館料/大人500円、中高生300円、小学生200円
URL/http://www.town.kotohira.kagawa.jp/

公演を支えてきたボランティアの一人、二藤龍文さん
来年30年目を迎える「四国こんぴら歌舞伎大芝居」の公演を支えてきたボランティアの一人、二藤龍文さん。芝居小屋の構造から歌舞伎の約束事まで、博識でなめらかな語り口が観光客に人気。

奈落の仕掛け 舞台正面とマス席
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