瀬戸内海沿岸で行なわれていた塩つくりの設備「流下式枝条架併用塩田」を再現。
伯方島は愛媛で最後まで塩田が残った地。
その塩田を復活させたいという願いから、こだわりの塩が誕生した。塩を追う旅だ。
雨の少ない瀬戸内海は、江戸時代から日本有数の塩田地帯だった。遠浅な海浜一面に塩田が広がる風景は穏やかな瀬戸内の風物詩だった。昭和46年に国の管理下で工業的製法で塩つくりをすることが決まり、日本中の塩田が廃止されたが、塩田の塩を残したいという声が消費者から起こり、一定の制約の下で生産できるようになった。そうして誕生したのが「伯方の塩」だ。にがりをほどよく残したおいしくて高品質な塩を味わえるのは、そうした人々の熱い思いがあったからだ。
そのこだわりの製法を大三島にある工場で無料で見学できる。外には昔の塩田が再現され、当時の風景が目に浮かぶようだ。不定期ではあるが「塩の日イベント」など一年を通じてイベントが開催されるのも楽しみで、売店ではここにしかない伯方の塩ソフトクリームも味わえる。塩つくりの歴史やおいしさの秘密を知ることができ、いっぱしの塩博士になった気分だ。
住所/愛媛県今治市大三島町台32
TEL/0897-82-0660
工場見学(10名様以上要予約)
営業時間/9:00~16:00(受付時間は15:30まで)
※工場の稼働時間は9:00~15:00。
昼休憩12:00~12:50、午前と午後に小休憩15分間がある。
機械が停止中でも見学は可。【所要時間】約20~40分
定休日/年末年始(12/28~1/7)、盆休(8/13~8/17)、地方祭など。
※土・日・祝日も見学可能。定期点検などにより休業している場合がある。
料金/無料
瀬戸内の穏やかな風景や、塩田の塩の優しさが感じられるラーメンがある。
そう聞いて、伯方島の塩田跡が残るエリアへ足を伸ばした。
伯方島のしまなみ海道が通る反対側のエリアに、かつて3カ所の塩田があった。その塩田で生まれ育った店主がつくった塩ラーメンが絶品だ。店の名前は「伯方の塩ラーメン さんわ」。
ひとくち食べて驚いた。今まで食べてきた塩ラーメンと全く違う。優しい。鶏ガラ、煮干し、昆布など17種類の素材の旨みが凝縮したスープを塩がまろやかに包み込み、あっさりしているのに深い。塩田や塩への思いを味で伝えようと試行錯誤し、しまなみ海道が開通する前年にようやく完成したという。その一杯に瀬戸内の海が感じられて幸せだった。
住所/愛媛県今治市伯方町木浦甲1650-1
TEL/0897-72-1211
営業時間/11:00~19:00(L.O.)、水曜日17:00(L.O.)
定休日/不定休
しまなみ海道はアメリカCNNが選ぶ「世界7大サイクリングロード」の一つ。瀬戸内の多島美を満喫しながらの走行は、「サイクリストの聖地」として世界中の人々の人気になっています。
尾道から今治までの一般道には推奨ルートがブルーラインでひかれ、迷わず走ることができます。気の向くまま島のあちらこちらに立ち寄れるのも自転車ならでは。沿道には、自転車のレンタルができるレンタサイクルターミナルも整備され、気軽にサイクリングを楽しめます。