
《伊万里柿右衛門様式色絵馬》17世紀後半(江戸時代)
柿右衛門様式の彫像としてはもっとも大きな部類で、型を使って作られた。磁器は焼成時に収縮するため割れることもあり、この大きさのものを焼き上げるのは難しい。よく見ると、衣装の柄は黒と赤で描いた細い輪郭線の中に色を載せるなど細かく絵付けされているのがわかる。
広島城の近く、名勝・縮景園の美しい庭園を眺めながらアートに親しめる広島県立美術館。1920年代から30年代の美術、日本とアジアの工芸、広島ゆかりの美術の3つを柱に約5千点を収蔵し、所蔵作品展がとても充実しています。
注目は、17世紀初頭から佐賀県有田町一帯で作られるようになった伊万里焼。とくに乳白色の素地に華やかな色で絵を描いた柿右衛門様式の磁器は、オランダ東インド会社を通じてヨーロッパへ輸出され、人気を博しました。
色絵馬もそのひとつで、どっしりとした躯体、目を見開き今にも動き出しそうな表情、華麗な衣装は、有田の陶工が注文に応えた力作です。世界で5体しか見つかっておらず、そのうちの2体がフランスから里帰りしています。
花びらの形をした美しい鉢は、ドイツのアウグスト強王が持っていたものです。彼は中国や日本の磁器をコレクションするだけでは飽き足らず、まだ作る技術を持っていなかった白磁の開発を錬金術師を幽閉して命じました。長年かかって開発は成功し、それが名窯マイセンにつながったというのですから、目が離せません。
華麗で宝石箱にたとえられるリヒテンシュタイン侯爵家のコレクションを紹介。宮殿を飾った北方ルネサンス、バロック、ロココを中心とする油彩画や、東洋・西洋の陶磁器を楽しめます。
豊富なコレクションの中から、広島出身の洋画家・南薫造や、中央アジアのスザニ(刺繍布)など代表的な名品を紹介。スザニには蔓草や満開の花など緻密な文様を女性たちが分担して刺繍する中央アジアの伝統文化を感じることができます。
住所/広島県広島市中区上幟町2-22
TEL/082-221-6246
営業時間/9:00~17:00(入館は16:30まで)
※金曜日は19:00まで(入館は18:30まで)
休館日/月曜日、12/25~1/1、展示替え期間
料金/一般510円、大学生310円、高校生・18歳未満・65歳以上無料[縮景園セット]一般610円、大学生350円
※特別展は各展覧会ごとに設定
駐車場/あり(有料)
美術館に隣接する縮景園は広島藩主・浅野家別邸の庭園として、家老で茶人の上田宗箇が作庭しました。大小の島が浮かぶ池、橋、茶室などが配され、四季折々の自然を楽しめます。築庭400年を迎えるにあたり、美術館では築庭の際に参考にしたと伝えられる中国の景勝地・西湖を描いた日本画が展示されます。