ホーム > 瀬戸マーレ vol.61 > 食べ歩きも楽しい伊予の玄関口、三津浜
NIPPONIA HOTEL 大洲 城下町

右/徳島市中心部の新町川に架かる両国橋の親柱には、等身大のおどり子のブロンズ像が設置されている
左上/新町川と助任川を周回するひょうたん島クルーズ。頭上すれすれの橋を潜る場所もある
左下/クルーズしながら眺めるのは、徳島市のシンボル眉山

徳島県徳島市

「よしこの」に心が弾む
眉山(びざん)のほとり水都、徳島

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見る阿呆(あほう)からおどる阿呆へ
阿波おどりを学び、体感

本格的な夏の到来を前に、徳島のまちでは心地よい2拍子の音色が聞こえ始める。阿波おどりのお囃子(はやし)「よしこの」だ。8月の本番を前に、熱心な練習はもう始まっている。阿波おどりは、徳島城築城の祝賀行事として踊ったのが始まりとも、盆踊りや風流踊の流れを組むとも伝えられているが、400年の長きにわたって大切に受け継がれてきた風物詩だ。

衣装を身につけて華麗に舞いおどる様を見てみたい。そこで訪ねたのが、眉山の麓にある「阿波おどり会館」。貴重な資料や体験型アトラクションがある「阿波おどりミュージアム」で阿波おどりについて一通り学んだら、目指すは「阿波おどりホール」。ここでは1日5回の公演が行われている。昼公演は会館専属連「阿波の風」、夜公演は有名連が日替わりで登場。それぞれの妙技でホールを沸かせている。

「阿波の風」は、昔と現代の踊りの比較なども披露。はつらつとして、どこかユーモアを秘めた「男おどり」、抑えた中にも凛とした美しさをもつ「女おどり」の対比も興味深い。締めくくりは来館者も参加し、一体となっておどりの輪をつくる。こうなれば「よしこの」に合わせて、おどらにゃソンソン。無心に手足を動かしておどる阿呆になりきってみたい。

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鉦(かね)、太鼓、三味線、笛などの生演奏も阿波おどりの特徴。会館専属連「阿波の風」は花鳥風月を取り込んだおどりで魅了する。連とは阿波おどりの団体のこと

阿波おどり会館

住所/徳島県徳島市新町橋2-20
TEL/088-611-1611
営業時間/9:00〜21:00(館内施設で異なる)
休み/2・6・9・12月の第2水曜(祝日の場合は翌日)、
12月28日〜1月1日(あわぎん眉山ロープウェイは除く)
料金/ミュージアム入館、昼公演鑑賞、
眉山ロープウェイ往復料金セットで高校生以上1,830円
駐車場/有料あり
HP/https://www.awaodori-kaikan.jp

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名水仕立ての名物は
やさしい甘みの焼餅

標高290mの眉山の麓には、歴史ある寺社が点在し、界隈には眉山湧水群と呼ばれる6つの湧水がある。湧水は、酒造や生活用水として活用されてきた。寺町の一角にある「和田の屋 本店」の滝の焼餅は、江戸時代からの製法を受け継いでいる銘菓。石臼で挽いた餅米とうるち米を、眉山湧水群のひとつである錦竜水(きんりょうすい)で練り上げ、上品な甘さのこし餡を包む。これを鉄板でこんがりと焼き、菊紋を押し付ければ出来上がり。注文を受けてから焼くので、目の前に運ばれてきた焼餅は、表面がパリッと香ばしい。胡麻入り、抹茶入りもあり、いずれも風味豊かだ。

この時期のおすすめは、3色の焼餅に冷たい抹茶、小倉アイスがセットになった夏の「和田の屋セット」。敷地内には、滝が流れ落ちる涼味満点の庭もあるので、味覚と視覚で涼やかさを満喫できる。 歴史と名水が渾然一体となった味わいを、ぜひご賞味あれ。

一部が登録有形文化財に指定されている建物も歴史を語りかけている。

和田の屋 本店

住所/徳島市眉山町大滝山5-3
TEL/088-652-8414
営業時間/10:00~17:00
定休日/木曜日
駐車場/あり
HP/https://wadanoya.com

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夏の「和田の屋セット」は1,590円

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22本の橋を潜りながら
川面で学ぶ徳島の魅力

大小134本の河川が流れ込んでいる水都・徳島市。その中心部、新町川と助任川に囲まれたエリアはひょうたんのような形をした島になっており、これを周遊するのが「ひょうたん島クルーズ」だ。出航場所は、おどり子のブロンズ像がある両国橋の北詰め。浮き桟橋から船に乗り込めば、約30分の船旅で、異なる視点からまちの歴史や風物にふれることができる。何より特徴的なのは、航路上に22本の橋(鉄道橋や水管橋を含む)があるということ。橋によっては水面に近い位置に架けられているため、水位が高いときは頭を屈めないとぶつかってしまいそうなほど。

また、草花、野鳥や魚など自然との出会いも乗客の楽しみのひとつとなっている。クルーズを運営するNPO法人「新町川を守る会」は、川の清掃から活動を始めたという。川を愛するスタッフの説明も学びとなり、下船する頃には川の大切さを痛感しているに違いない。

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江戸時代に建築されたといわれる、福島橋の石積みの橋脚。新橋を架ける際に残されたもの
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錦竜水
かつて藩主の飲み物にも使われていたという逸話のある名水。自由に汲み、持ち帰ることができる。汲む際には近辺の有料駐車場に車を停めるなど、交通マナーの遵守を
住所:徳島市寺町6

ひょうたん島クルーズ
(ひょうたん島周遊船)

住所/徳島市南内町2(新町川水際公園ボートハウス前)
TEL/090-3783-2084(新町川を守る会)
営業時間/11:00~15:40
(40分毎に出航、7・8月は夜間運航あり)
定休日/元日、悪天候時
料金/中学生以上400円
駐車場/近隣有料P利用
HP/https://npo-shinmachiriver.jp

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不揃い麺と上品なかけ汁
お代わりだって易々

徳島ラーメン、半田そうめん、祖谷そばなど、気軽にさらりと食べられる名物麺が多い徳島。ユニークな名前に惹かれて選んだのは「鳴(なる)ちゅるうどん」。発祥はお隣の鳴門市。塩田で働く人のために、麺を柔らかく仕上げたことから地域に根付いたと言われている。その名のとおり、ちゅるっと喉を通り、短くて不揃いな麺が生み出す食感も特徴。提供店は複数あるが、手打ちの麺もさることながら、削り節などで取った透明感のあるかけ汁(つゆ)が絶品なのは「舩本(ふなもと)うどん 末広店」。トッピングは刻み揚げとネギで、ちくわや生卵、揚げ増しなどのオプションも用意。

真っ白なのれんが掛かった店構えや、気取りのない店内のしつらえもシンプルで潔い。やさしい味わいなので、1杯では飽き足らず、お代わりする常連さんも多いそうだ。

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舩本うどん 末広店

住所/徳島市末広2-1-17
TEL/088-624-0967
営業時間/11:00~14:00 ※売り切れ次第終了
定休日/水曜
駐車場/あり

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自家焙煎の老舗の一杯は
水都の旅の心地よい余韻

意外と知られていないことだが、徳島県内には自家焙煎珈琲店が多い。中心市街地にある「いかりや珈琲店」は、そんな自家焙煎のまちを象徴する老舗。1955年、現店主・馬場淳さんの祖母・芳子さんが開業した。「祖母は親戚に連れていってもらった東京のミルクホールに魅了され、神戸で焙煎技術を学んだんです」と馬場さん。彼は約30年前から祖母の手ほどきを受け、焙煎職人となった。芳子さんが生み出したハウスブレンド「Bブレンド」は、馬場さんに受け継がれ、今も変わらず店のファンから愛されている。

珈琲だけではなく、地元で知らない人はいないほどの人気を誇るメニューがある。ネルドリップで淹れた珈琲を贅沢に使う「コーヒーゼリー」だ。しっかりと苦味のあるゼリーにこぼれ落ちそうなほどのアイスクリームが圧巻。珈琲好きもスイーツ好きも納得できる。もうひとつ、馬場さんがブレンドした「よしこのブレンド」は、程よい苦味とまろやかさが調和。阿波おどりにちなんだ名前かと思いきや、「それもありますが、実は祖母の名前でもあるんです」と笑顔。三代で守る老舗の珈琲は、水都の旅に深い余韻を残してくれた。

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「コーヒーゼリー(660円)」には程よい甘さのオリジナルシロップも付いているので、お好みで。店頭では珈琲豆や器具を販売している

いかりや珈琲店

住所/徳島市通町1-12
TEL/088-623-0808
営業時間/8:00~18:30、阿波おどり期間は〜22:00)
定休日/日曜、祝日
駐車場/近隣有料P利用
HP/https://www.ikariya.net
Instagram/ikariyacoffees

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※掲載価格などは、変更される場合がございます。

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